大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です。多くのジャンルをさすらいます。

『古川ロッパとエロ・グロ・ナンセンス 2016秋のぐらもくらぶ祭り』

2016年10月12日 | 大衆芸能

SPレコードの収集家で有名な保利透さんのぐらもくらぶ祭りとして『古川ロッパとエロ・グロ・ナンセンス』が江戸東京博物館ホールで行われた。

                        

 

二部構成で、第一部は、保利さん、毛利真人さん、さらに大谷能生さんとの鼎談で、昭和初期のエロ・グロ・ナンセンス・ブームの様々なメディアを駆使しての紹介。

言うまでもなく、エロティシズムは、人類誕生以来あったはずで、日本の『古事記』の「天の岩戸」の話も、大和最初のストリップ・ショーである。東宝映画の『日本誕生』では、乙羽信子のアメノウズメノミコトが踊って、原節子の天照大神様を岩戸から出すことに成功する。この時の大男は、相撲の朝潮である。

エロは、江戸時代でも浮世絵や春画として存在したが、メディア上で「エロ」と言われたのは、昭和4年の朝日新聞でのコラムとのことだ。

このサイレント映画末から、昭和12年にレコードでの検閲が始まるまでの時期が、レコードなどでのエロ、グロ、ナンセンスの短い全盛時代だったとのこと。

そのものズバリの『エロ感時代の歌』などもあり、映像で見れば、日本最初のトーキー映画『マダムと女房』での隣の伊達里子が演じたマダムが典型的な姿である。

途中では、歌の山田参平とギターの武田篤彦のユニットの泊によるライブもあり、エノケンのSP『電話』は非常によくできたコント会話だった。

休憩後は、二部で佐藤利明さんの司会で、「古川ロッパ・リスペクト・ショー」、佐藤さんの話とロッパの映像、レコード演奏、さらにロッパ日記の片岡一郎さんによる朗読で、戦前のロッパの姿が立体的に描かれた。

その白眉は、昭和11年2月26日のロッパの日記で、言うまでもなく2・26事件の日だが、この日彼は東宝砧撮影所に行き、徳山暲と『歌う弥次喜多』の撮影をしていた。

終了後、銀座に出て食事して満足することで、この日は終わるが、まさにロッパにとっては、世間の情勢よりもその日の食い物の方が大事だったのだ。だが、3日後の2月29日の日記では、有楽座の彼の公演は満員で、「革命後のロシアを見るまでもない、日本人にも娯楽は必要だ」と自慢している。

この日の最大の映像は、この大ヒット作『歌う弥次喜多』の舞台の映像と音楽のライブ映像で、佐藤さんにお聞きすると、公表はできないそうだが、完全な映像が残されているのだそうだ。

どこかの旅館の場面で、ロッパや徳山と共に、三益愛子の女中がドタバタ劇を演じている。

以前から私も古川ロッパが大好きだったが、あらためてその偉大さを認識した一日だった。

ぐらもくらぶ祭りも、12年前のエノケン、去年の二村定一、今年の古川ロッパときたので、この次は柳家金語楼となるだろうが、個人的には徳川夢声による『夢声戦争日記』の朗読と映像による立体ショーをやってもらいたいと思った。

ここにもライブがあり、平成ロッパの北園優さんによる、ロッパそっくりの歌と形態模写には感心した。

また、保利さん得意の当時のマイクロフォンの使用があり、片岡さんの朗読が当時のマイクで行われたが、「これは当時のラジオの声だ」と思った。

来年もぜひやってほしいイベントで、新発売されたCDを2枚買ってしまう。

 

 

ジャンル:
文化
コメント (4)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『さくら盃 仁義』 | トップ | ワイダと石原慎太郎 »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
古川ロッパ (弓子)
2016-10-13 10:20:32
ウィキペディアを検索したら作品の数が沢山で凄い経歴です。
数ヶ月前のラジオで、中村メイコさんが、ロッパ氏が吝嗇と言われてたけど
度々プレゼントを頂いたこと、唯一とっておいたお気に入りの縫いぐるみを
昨年終活した際、ごめんなさい!と謝り、泣く泣く処分した。と話しておられました。
古川ロッパは (さすらい日乗)
2016-10-14 08:17:19
ロッパの全盛時代は、戦時中で、元は華族ですが、貧乏華族だったそうです。

戦後は、戦時中の時代迎合と人気凋落で、本当に貧乏だったようです。
唯一の監督作品『陽気な天国』の撮影を古賀政男邸で行ったとき、「ここに比べれば、内は鶏小屋だ」と書いています。
確かに映画で見ると、古賀邸は凄い、今は財団等の敷地になっています。
当時の芸人さんは (弓子)
2016-10-17 07:16:50
タップダンスも得意としてたそうですね。

前にTVで見た映像で、ジェームスギャグニーが「リトルマリー」という曲に合わせ
軽快にタップダンスを披露していたのを見たことありました。
古賀政男 (弓子)
2016-10-17 07:40:55
親がラジオ好きで、子供の頃たまたま聴いていた番組で
素人コンクールで、何段階に挑戦しそのコースをクリアする都度
鳥がないて、鳥の名前が違うコースに出世していくような
記憶に自信ありませんが、そんな番組があり
何人かの審査員の中に古賀政男さんもおられました。

ある日の回で全盲の方が出場して、司会者が古賀政男さんに感想を求めたら
言葉を何回も詰まらせ、「、、、よく一生懸命、、、歌いましたね」、、、
それからの歌の批評は覚えてなく、最初のねぎらいの様子だけ
幼いながらハッキリと記憶に残っています。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。