NIKKEI NETで面白いコーナーがある。
テーマは、「スポーツから学ぶ経営戦略」で、その中心となるポイントは「勝利への執念(Desperate efforts to win)」である。
スポーツとは多少異なる分野であるが、羽生善治氏が取材対象になっており、「面白い」、「決断力」について、興味のある指摘を行なっているので取り上げる。
記事を引用しながら、「面白い」、「決断力」に言及していくことにする。
なお、「『決断力』棋士・羽生善治氏」のNIIKEI NET記事にリンクを張っておくので、興味のある方はチェックすることをお勧めする。
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記事引用
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(羽生善治氏)
○「変化」の捉え方と「変化」への対応
背泳ぎがバサロ泳法によって勝負の仕方が変わったように、将棋の世界もITによって変化しました。昔は、一つの戦術を武器に戦うこともできました。しかし戦術に著作権はありません。今は、インターネットなどで対局の状況が公開され、すぐにコンピュータなどを使って昔とは比べものにならないほど効率的に研究されてしまいます。昨日勝ったからといって、同じ手が今日も通用するとは限らない時代なのです。
…(中略)…
だから古いものは勇気を持って捨て去り、新しい何かを吸収し、新しいアイディアを試すことが必要だと思います。変化に適応し、自分のスタイルを時流にフィットさせていくことが重要になるのです。
意外に思うかも知れませんが、最先端の将棋はトップクラスの棋士がつくっているわけではありません。3段、4段を中心とする若手が研鑽を重ね、編み出した手、初めは異端ともいうべき奇手・妙手が始まりです。異端というのは異端で終わることが多いのですが、その手筋を多くの棋士が研究することで淘汰され、残ったものが新しい定跡になっていくのです。
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自分のスタイルに固執するのではなく、時流にフィットさせ変化に適応していく、とのことである。
この点は、企業経営においても、「過去の成功体験を脱ぎ捨て、変化に適応していく」ことがあることに通じるところがある。
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記事引用
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○「面白い」とは
深さのあるテーマが潜んでいることですかね。たとえば、画期的な手筋だけどすぐに廃れるだろうと思うものは後に回し、今は異端だがいずれは定跡になりえる、あるいは発展性のある手筋だと判断したものから取り組んでいくということです。
もっとも、その判断自体が間違っていることもあります。そこで重要になるのは、間違いを発見したら軌道修正をためらわないことです。
…(後略)…
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面白い視点である。
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記事引用
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○決断力
物事が上手く行っているときや、好調なときは踏み込みがいいものです。場面、場面での見切りがつけられるため、決断にさほど難しさを感じることはないように思います。
…(中略)…
決断をする時に一番難しいのは、答えがない、あるいは結論が出ない状態での決断です。しかも、後になっても正解が見えないようなテーマではないでしょうか。
…(中略)…
やはり、失敗したときのリスクを受け入れながら踏み込んでいく、というのが理想的な決断ではないでしょうか。
難しい決断の場面では、誰しも答えを単純化したい、明確化したい欲求に襲われます。でも、あえて答えを決めず、方向性だけを決める。そうした曖昧さや漠然とした状況を残しておくことも大切なことだと思います。ある意味、それは答えを出さないことに対する不安や恐怖に打ち勝つことができるかどうかという問題です。結局、決断の難しさというのは、心の問題なのかも知れません。
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「勝負師の感覚」が企業戦略の立案や、戦略実行の面で参考になるところがたくさんあるように感じられる。
特に、「失敗したときのリスクを受け入れながら踏み込んでいく、というのが理想的な決断」と指摘されているように、企業が戦略実行を通じて「大きな果実を手にしたい」と考える場合に、「リスクを取ること」も必然的に伴うことになるのだから。。。
Written by Tatsuro Satoh on 23rd Nov., 2007
決断力 (角川oneテーマ21)
羽生 善治
角川書店
歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論
羽生 善治,二宮 清純
日本経済新聞出版社
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