狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

新聞紙切抜綺譚 

2006-04-27 21:55:23 | 怒ブログ

 《私は、その一冊に何らかの挿話、物語が重なっている本にひかれる。
新聞切抜『濹東綺譚』。昭和12年、日華事変の直前に朝日新聞に連載され全知識階級を驚かせた作品で、すぐ岩波書店から出版された。その35回分を切り抜き、それぞれの意匠で綴じられたものが今でも稀に市場に出、高値(無論初版本よりも)を呼ぶ。これはこの傑作と切り結ぶようにして挿絵を描いた木村荘八自身が貼り付けた1冊。            青木正美》
その新聞切抜写真の下部に書かれた解説である。

「本それぞれ自体にも様々な物語がある。初版本蒐集、行き着いたところは自筆原稿」こんな見出しが付いていて、いろいろな珍本・奇書・稀覯本・ト本の写真がふんだんに挿入されている所謂「ムック」(「古書遊覧」別冊太陽 平凡社)に拠った。
ここにはもうひとつ、“『美しき地図』火野葦平が連載中、1愛読者が全編を毛筆で筆写、作者に送って題簽を依頼。火野は快くこれに応じ、序詩まで入れて手紙と共に愛読者に返した。”という筆写本(昭和18年)の写真もある。

今日ボクは、ドナルド・キーン金関寿夫訳の“『心の残りー私の交遊録』朝日新聞社1992.12.1初版 ”を見つけ出した。これは朝日新聞連載のコラム・エッセーを纏めて後で本にしたものだ。ボクはその新聞切抜を全部保存してある。

 暇人だと思われそうだが、当時ボクはまだ運送屋の現役時代であった。忙しい人生を送ってきた割には、心に残った新聞記事などを、随分切り抜いてスクラップ ファイルにしてため込んでおいた。運送店がダメになったのも無理もない事だったなあと納得している次第だ。

但し残念ながら整理するのが嫌いだから、何所に何が貼ってあるかさっぱり分からない。
考えると、連載記事を毎日切り取るのは確かに容易ではない事だったのだ。

最近ボクが切り抜いたものに朝日新聞の連載新聞小説「かわうその祭」がある。
 切り取るだけであるから、それほど時間を要する作業ではないのだが、それ
でも、日記を付けると同じように、忘れることが度々ある。後になって、バックナンバーを、友人知人宅から捜してもらったことも10数回くらいはあっただろう。

ボクは田舎住まいなので夕刊紙が入ってこない。それを知ってか町に住んでいる1友人が、夕刊にだけ掲載された、
“1枚の紙くずから「小説『かわうその祭り』を終えて」出久根達郎〟の切抜きをボクのためにわざわざ切り取っておいてくれたこともある。2004年10月20日付夕刊である。

いずれの場合も、本文のほうは、日付が時々入っているだけで、何冊にも分冊
されたクリアーブックに収まっているので、纏めたり調べたりすることになると、かなりの時間と根気か必要となる。そのままになっている。

しかし前記のようなムックを見ると、整理せねばならぬ気分にもなるのだが、今となっては、部屋中散らかし放題の紙くずの山は如何しようもないことになってしまった。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
曳舟・向島界隈 (ましま)
2006-04-28 09:45:00
 最近の玉の井あたりを散歩してもだめですね。やはり本の中で遊ばないと。
トラックバックありがとうございました (VIVA)
2006-04-28 19:40:13
先輩、26日の分がなかったので、オヤっと思っておりましたが、やっぱりお出ましになられました。しかもタイミングよくTBまでいただき恐縮です。私も続けております。失礼しました。またおじゃまします。
26日記事投稿忘却の件 (tani)
2006-04-29 20:57:22
VIVAさま

26日休場のご指摘有難うございました。全く気がつきませんでした。

本文で弁解させていただきます。

「朝青龍」関の連勝より長く続くのが目標でした。

ましまさま、共々今後益々宜しくご指導のほど奉上願ます。