褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 クラッシュ(2004) 人種差別、偏見を描きます

2013年11月23日 | 映画(か行)
 アメリカ映画において黒人に対する差別、偏見などを描いた名作、傑作は多くあるが、今やアメリカも黒人の大統領が誕生する時代。もはやそんな時代において黒人だけに対する差別や偏見の映画を描いても時代遅れであり、それほどウケない。今回紹介する映画クラッシュは、まさに他民族国家ならではのアメリカが描かれ、異なる人種、人間同士によるぶつかり合いが楽しめる映画だ。
 白人、黒人、ヒスパニック系、ペルシャ系、中国系などの人種が登場するが、人種の違いによるぶつかり合いだけでは無く、時には家族間でのぶつかり合いが辛辣に描かれている。早い話が異なる人種が一緒に過ごすことの難しさを感じると同時に、同じ家族同士ですらも理解することが難しいということを、本作を観ると痛感するストーリーだ。
 
 しょっぱなから車が衝突していると思わしきシーンから始まるが、そこからのストーリー展開はまさに人間同士のクラッシュの連続。人種的偏見は更なる偏見を呼び、人間同士の馴れ合いの交流ですらロクなことをもたらさない。黒人の2人組みが白人エリート夫婦を襲って車を奪って逃亡したり、白人警官が黒人女性に対して権力を使ってのセクハラ、ペルシャ系なのにアラブ系と間違えられていることに不満を持ちその腹いせにメキシコ系の人間に対して銃で撃とうとしたり等等、次々とトラブルが起きる展開。
 しかし、この映画の凄いところは人々は憎しみ合いながら、そして傷つけ合いながらも、やっぱり人間同士はお互いが寄り添って生きているという希望が見られること。ナンでもカンでも相手の言いなりになれば良き人間関係が出来上がると思っている人が多いようだが、本当の人間関係を構築するのに馴れ合いでは決して成立しないという主張は個人的に多いに賛同できるところだ。

 さて、差別、偏見、憎しみを乗り越えた人間同士のつながりを描いたストーリーとはいかなるものか。
 アメリカ、ロサンゼルスの深夜において。ロサンゼル市警の黒人警察であるグラハム(ドン・チードル)と彼の恋人であり、仕事上でもパートナーであるヒスパニック系のリア(ジェニファー・エスポジート)の乗った車が衝突される。リア(ジェニファー・エスポジート)は相手の中国系の女性と言い争い、その間グラハム(ドン・チードル)は車を降りて、偶然近くで発見された死体を見て驚く。衝突されてから36時間前に戻るのだが、果たしてその36時間の間に一体何が起こったのか?
 人種差別、偏見、憎悪、汚職、罵り合い、人間はどうしてここまで争うのか?争った末に見えてくる希望の光とは?そして驚愕の真実が明らかに・・・

 ブラッド・ピットやジョニー・デップ級の大スターは登場しないが、けっこうなスターが多く登場する群衆劇。巧みな伏線、構成が光る脚本によるストーリー構成のおかげで、人間関係に悩むことなく見ることができる。
 人間同士の衝突が数多く描かれ、それらが修復されていく過程が感動的。一度にたくさんのストーリーを観た気分になれる非常にお得感を得られる映画だ。しかしながら登場人物全員がハッピーな気分で終わるわけではなく、俺が見たところ、生き残っている人間にも2名ほど、これからの人生を厳しい十字架を背負って生きていかなければならないように思える。しかも、その2名が最初から人種偏見、差別に染まっていなかったという点が、この映画を奥深く、いつまでも余韻が残る効果をもたらしている。 
 アメリカ映画によって、これからも人種差別、偏見を描いた映画は、今後もたくさん生まれると思うが、今のところその分野において決定版とも言えるクラッシュはお勧めです

クラッシュ [DVD]
サンドラ・ブロック,ドン・チードル,マット・ディロン,ブレンダン・フレイザー,テレンス・ハワード
東宝


クラッシュ [Blu-ray]
サンドラ・ブロック,マット・ディロン,ブレンダン・フレイザー,テレンス・ハワード,タンディ・ニュートン
東宝


 監督は本作が初監督作品であるポール・ハギス。本作品では監督として凄い力量を見せていますが、トミー・リー・ジョーンズ、シャリーズ・セロン共演のミステリー仕立ての反戦映画告発のときは骨太の傑作でお勧めです。

 
 キャスト陣が豪華。しかも演技派が揃っているのが素晴らしい。
 黒人刑事でドン・チードルが出演しています。脇役でもオーシャンズシリーズブギーナイツ天使のくれた時間などヒット作、名作への出演が多いですが、主役級としてホテルルワンダ、スティーヴン・ソダーバーグ監督のトラフィックがお勧め。

 人種差別主義者の刑事としてマット・ディロンが出演しています。今となってはフランシス・フォード・コッポラ監督の青春映画アウトサイダーランブル・フィッシュの2本が懐かしい。
 キャメロン・ディアス主演のメリーに首ったけ、ケビン・ベーコン共演のエロサスペンスワイルド・シングスがお勧め。

 マット・ディロン演じる白人刑事にセクハラされる黒人女性を演じるのがンディ・ニュートンミッション・インポッシブル2でトム・クルーズ役が有名か。他のお勧めとしてはガイ・リッチー監督のロックン・ローラー。他に出番は少ないですがウィル・スミス主演の幸せのちから

 マット・ディロンと組まされる若手白人警官にライアン・フィリップ。ロバート・アルトマン監督のゴスフォード・パーク、クリス・クーパー共演のアメリカを売った男がお勧め。

 他にサンドラ・ブロックテレンス・ハワードマイケル・ペーニャ等も出演しています

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