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普天間問題を動かす日米双方の「民意」

2010年04月14日 | 基地・有事体制
■ 普天間移設、北マリアナが「誘致」

 米国の属領に北マリアナ諸島という地域があります。14の島々から成る、人口約8万人余りの島国です。
 かつてスペイン領からドイツ領となり、第一次大戦のとき日本が占領して以後、日本の委任統治領となり、先の大戦では米国が旧日本軍を破って占領した地域です。
 その北マリアナ諸島が、普天間に駐留する米海兵隊ヘリ部隊の「誘致」を目指しています。
 これは、沖縄2区選出の照屋寛徳氏を団長とする社民党の視察団が、現地での会談内容を明らかにしたものです。

■ 知事・市長・議長が受け入れを「歓迎」

 これまで社民党は政権内で、この諸島にあるテニアン島などへの移設を強く主張してきました。
 今回この案に対して、北マリアナ議会の下院議長が「米国海兵隊がテニアンに来ることは、疑いなく歓迎される」と語るなど議会を挙げて誘致決議の採択を目指す考えを示し、同席したテニアン市長も「海兵隊の恒久的な基地建設を強く希望する」と発言するなど、かなり積極的な発言が相次いだことが報じられています。
 これに先立って2月に現地を訪れた、社民党の阿部知子氏や、沖縄1区選出の国民新党の下地幹郎氏と会談した北マリアナの知事も「ウェルカムだ」「北マリアナとして賛同する」と語っています。
 この「国外移設」案は、社民党のみならず沖縄県の多くの皆さん、米軍基地に苦しむ多くの周辺住民の皆さん、そして移設候補地に挙げられた地域の皆さんにとって、大きな「希望」であり、「悲願」だと思いますが、北マリアナ諸島を代表する皆さんの「誘致」への動きは、その案を前進させる「大きな一歩」だと思います。

■ 「スーパーマニフェスト」と「民意」

 社民党・国民新党など与党内少数政党の熱心な取り組みは、現地の皆さんを動かしました。
 さて、最大与党の民主党はどうでしょうか。
 社民党・国民新党に、連立政権入りを依頼したのは民主党です。そこで生まれた「政策合意」は、各党のマニフェストを超えるという意味で「スーパーマニフェスト」だと鳩山首相も認めていますが、その中には「沖縄県民の負担軽減」がしっかりと明記されています。
 そればかりか、昨年の総選挙のとき鳩山代表が「国外移設。最低でも県外」と沖縄で約束したのです。
 ところが出てきたのは、「嘉手納統合案」、「キャンプ・シュワブ陸上案」、「ホワイトビーチ埋め立て案」など、全て沖縄県内です。平野官房長官などは、社民・国民新を排除して移設先を決めようと画策したほどで、そこで出てきたのは「徳之島案」ですが、現地は「絶対反対」の構えです。
 もはや民主党は「スーパーマニフェスト」どころか、「民意」さえも踏みにじるのか、という怒りが込み上げてきます。

■ 「地元の同意」という条件

 一方、米国の民主党政権はどうでしょうか。
 12日から開かれた核安全保障サミットに出席する鳩山首相が、「普天間移設問題への協力」を求めるはずだった会談を断り、「非公式協議」に留めました。前代未聞のことです。
 この「非公式協議」とは、言わば首脳間の「立ち話」を意味します。「それほど鳩山首相が馬鹿にされているのだ」という捉え方も一理ありますが、曲がりなりにも日本を代表する人物です。「どこの軍隊の基地の話なのか」と考えれば、会談拒否など失礼千万ですし、「国辱」と言っても差し支えないと思います。
 米国のルース駐日大使も、日本政府が提案した実務者協議を断っています。
 ルース大使は米国の考えとして「地元自治体との同意がない限り、日米が協議するのは時期尚早だ」というものでした。

■ 沖縄と北マリアナの双方の「民意」

 さて、ここまで述べてきた中で、一つだけルース氏が語った「日米が協議する」ための条件をクリアした移設案がありました。それは北マリアナへの「国外移設」案です。
 鳩山首相、オバマ大統領とも「民意を受けて政権交代を実現した」ということを誇示していたはずですが、同じように選挙で「民意」を受けているのは現地の首長や議員も同じです。そして彼らが言っているのは、沖縄では「国外移設」、北マリアナでは「基地を歓迎」です。 
 つまり、海兵隊を出す側の沖縄も、受け入れる側の北マリアナもそれを望んでいるのです。
 日本も米国も、政権政党が「民主」という看板を掲げる以上、それぞれの「民」である、沖縄や北マリアナの「民意」にこそ、真剣に耳を傾けるべきだと思います。


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