ここ最近読んだ本の感想を、メモ書き備忘録みたいな感じで書いていく、予定。
しばらく有川浩作品
・海の底
ゴジラなどの怪獣来襲モノと、無限のリヴァイアス的な監禁モノが同時に進行するような物語だった。
単純に、それぞれのドラマとしてはおもしろかった。
一方で、潜水艦に監禁された側の人間はただ助けられるのを待っていただけでしかなく、警察側は(法律上それしかできないと、作中何度も書かれていた事だけど)怪獣に対してあまりに無力で事件解決の際にも爽快感は乏しく、なんだかなーと思うところはある。
この作品における怪獣の存在ってなんだったのだろう? 舞台を仕立てる重要な存在ではあったけど、それ以上の意味合いはなくてなんだかちょっと肩すかしな気分。
……いや、そんなマイナス要素があっても理不尽に立ち向かう面々や子供たちの成長のドラマなんかはすごくおもしろかったんだけどさ。
・空の中
これは、知的生命体来訪モノ、といっていいのかな。
来訪者と、対話を試みようとする面々と、駆逐しようとする面々と、あと独自の接点を持つ子供の物語。(来訪者という言い方には語弊があるけど)
海の底と比べると事件やそれにまつわる登場人物が一つの道の上にいて、あらがない感じ。設定をよく表現できていて、来訪者との会話なんて特におもしろかった。
しかし、来訪者の知性や来訪者に対する国際社会や民衆といったマクロな反応が多く書かれていたためか、事件に深くかかわった人間のドラマが海の底に比べるとかけてるかなー、という印象がある。風呂敷を広げているときの細やかさに対して、たたむときのキャラのドラマがややおざっぱな気がした。物語の流れとして、それは必然的なモノなので、作品のおもしろさに傷をつけるようなものではないのだけど、もっと面白くなるんじゃないかな、って気分にはなる。
・クジラの彼
上記二作品の余話を含む、自衛隊がらみの短編集。
有川さんの本領発揮、ラブコメ全開でございます。
面白かったです。そして、多くを書き残す必要はありません。
有川さんの作品です。
以上。
・阪急電車
大阪方面のどこかの線を舞台にした短編連作集。
恋の芽生えあり、別れあり、失恋の恨み言もあればいじめ的なモノもある。
これも、心情描写が達者な有川さんの実力が惜しみなく発揮されてる作品だ。
以上。
・レインツリーの国
図書館戦争の小道具を、実際に文章化した作品。中途失聴者の恋について書かれたものなのだけど……。
有川さんの作品にしては、微妙です。
その障害に対して正面から取り組んだ、とはあとがきで書かれ事なのですが、押しつぶされたか引け目を感じたのか、そのテーマを扱いきれていない印象を受けた。
原因はおそらく、失聴する、ということが描かれていなかった事だと思う。
失聴した。その結果の事が描かれているのだけど、失聴して、環境や心がどのように変化して、というドラマがなく、ただその結果できたキャラがいるだけなのだ。なので、失聴する、という事はただの情報として文章に書かれるだけで、非常に淡泊。ただのキャラ構築の言い訳文章にしかなれていなかった気がする。
図書館戦争を読んで、そしてこれを買った人にはいろんな意味で物足りなかったんじゃないかなー。
以上。
……今日は以上です。
いろいろ読みながら思ったのは、有川さんの武器はキャラの心情の細やかさであり、登場キャラはみな男女ともにその細やかさを持ちキャラ間でその機微を理解し、通じ合う事の気持ちよさなんだなー、という事。
これは、強く感じた。
しばらく有川浩作品
・海の底
ゴジラなどの怪獣来襲モノと、無限のリヴァイアス的な監禁モノが同時に進行するような物語だった。
単純に、それぞれのドラマとしてはおもしろかった。
一方で、潜水艦に監禁された側の人間はただ助けられるのを待っていただけでしかなく、警察側は(法律上それしかできないと、作中何度も書かれていた事だけど)怪獣に対してあまりに無力で事件解決の際にも爽快感は乏しく、なんだかなーと思うところはある。
この作品における怪獣の存在ってなんだったのだろう? 舞台を仕立てる重要な存在ではあったけど、それ以上の意味合いはなくてなんだかちょっと肩すかしな気分。
……いや、そんなマイナス要素があっても理不尽に立ち向かう面々や子供たちの成長のドラマなんかはすごくおもしろかったんだけどさ。
・空の中
これは、知的生命体来訪モノ、といっていいのかな。
来訪者と、対話を試みようとする面々と、駆逐しようとする面々と、あと独自の接点を持つ子供の物語。(来訪者という言い方には語弊があるけど)
海の底と比べると事件やそれにまつわる登場人物が一つの道の上にいて、あらがない感じ。設定をよく表現できていて、来訪者との会話なんて特におもしろかった。
しかし、来訪者の知性や来訪者に対する国際社会や民衆といったマクロな反応が多く書かれていたためか、事件に深くかかわった人間のドラマが海の底に比べるとかけてるかなー、という印象がある。風呂敷を広げているときの細やかさに対して、たたむときのキャラのドラマがややおざっぱな気がした。物語の流れとして、それは必然的なモノなので、作品のおもしろさに傷をつけるようなものではないのだけど、もっと面白くなるんじゃないかな、って気分にはなる。
・クジラの彼
上記二作品の余話を含む、自衛隊がらみの短編集。
有川さんの本領発揮、ラブコメ全開でございます。
面白かったです。そして、多くを書き残す必要はありません。
有川さんの作品です。
以上。
・阪急電車
大阪方面のどこかの線を舞台にした短編連作集。
恋の芽生えあり、別れあり、失恋の恨み言もあればいじめ的なモノもある。
これも、心情描写が達者な有川さんの実力が惜しみなく発揮されてる作品だ。
以上。
・レインツリーの国
図書館戦争の小道具を、実際に文章化した作品。中途失聴者の恋について書かれたものなのだけど……。
有川さんの作品にしては、微妙です。
その障害に対して正面から取り組んだ、とはあとがきで書かれ事なのですが、押しつぶされたか引け目を感じたのか、そのテーマを扱いきれていない印象を受けた。
原因はおそらく、失聴する、ということが描かれていなかった事だと思う。
失聴した。その結果の事が描かれているのだけど、失聴して、環境や心がどのように変化して、というドラマがなく、ただその結果できたキャラがいるだけなのだ。なので、失聴する、という事はただの情報として文章に書かれるだけで、非常に淡泊。ただのキャラ構築の言い訳文章にしかなれていなかった気がする。
図書館戦争を読んで、そしてこれを買った人にはいろんな意味で物足りなかったんじゃないかなー。
以上。
……今日は以上です。
いろいろ読みながら思ったのは、有川さんの武器はキャラの心情の細やかさであり、登場キャラはみな男女ともにその細やかさを持ちキャラ間でその機微を理解し、通じ合う事の気持ちよさなんだなー、という事。
これは、強く感じた。