僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

母親の思い

2017年04月27日 | 日記
実家のお寺の月忌回向を、お手伝いに行きました。
最後に訪れたのは、久しぶりにお伺いする、お宅でした。

ここは、十数年前に、幼いお嬢さんを亡くされた、ご家庭です。
お母さんが目を離した間に、浴槽に落ちてしまいました。

悔やんでも、悔やみきれない・・・。
自分を責め続けて、毎日を過ごされてきたようです。

私がお伺いしても、お嬢さんのお話をすることはありませんでした。

私の姉も、娘を突然死で失っていました。
だから、いつも、お嬢さんのお位牌を前にしたとき、胸に痛みを感じていました。

そんなお母さんが、口を開きました。

 「先日、お母さんが留守の間に、幼い姉弟が火事でなくなる事件があったでしょう?
  私、あの子たちのことを思うと、悲しくて涙が止まらない」

私は、お茶を頂ながら、黙って聞いていました。
返す言葉が、見つかりませんでした。

目の前いる彼女の心に、どんな感情が渦巻いているのか。
彼女の瞳に、どんな光景が見えているのか。

そこには、呵責の念に包まれた母親の姿がありました。

この世界には、決して癒えない、悲しみがあります。

言葉の見つからない自分に、苛立ちを感じながら、私は家を後にしました。
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