僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

「無償の愛」 星降る街

2017年04月21日 | Wish
「お上人さん、先程家内が亡くなりました」
この言葉を聞いたのは、月忌回向に向かう車の中でした・・・。

数カ月前より、ご婦人の体調を気遣うご主人の表情が、曇りがちなのは知っていました。

いつかこの日がくることを、私は覚悟していました。
しかし、あまりに突然の訃報に、車窓を流れる風景が一瞬白く染まりました。

道路のわきに車を止め、深くまぶたを閉じると、初めて出逢た日のことが、よみがえってきました。

今から二十年前、私と家内は生まれ育った福岡を離れ、山口にやってきました。

人々の祝福に包まれ、まるで夢のように過ぎ去った、入寺式。
そして、汐が引くようにだれもいなくなり、さみしいばかりの翌日からの、生活。

ひっそりとした境内に、私はたたずんでいました。
これからの苦労を考えると、目に見えぬ不安で胸は一杯です。

右も左もわからぬまま「さて、これからどうしようか」と、思案にくれるばかりでした。

そのとき、佐藤さん(仮名)夫妻が、お寺にみえられたのでした。

 「昨日の生ゴミを片付けにきました」
そう言って、にっこりと微笑んだ姿を、私は今も鮮明に覚えています。

ほとんどの人が、見て見ぬふりをすることなのに・・・。
やさしさが、じんわりと身体に染み込んでいきました。

こんなにやさしい人がいるなら、なんとかやっていけるのかもしれい。
小さな勇気を持てたのは、このときでした。

あれから、二十年。
他人の見ていないところで、お寺に奉仕をされ、私を助けてくださいました。

そして、地域福祉活動についても、同じお気持ちだったと聞いています。

無償の愛という言葉を、私たちはしばしば口にします。
しかし、この言葉の真の意味と貴さを、実はほとんどの人が理解していないのだと、教えられました。

ご婦人は、多くの人にとって、母親のような存在であったような気がします。
小さな身体に、驚くほどの愛情を携えて、生涯を駆け抜けていきました。

苦労をした人だけに、長生きをしてほしかった・・・。

心より、ご冥福をお祈り致します。
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