デストリビューターの被水が原因と思われるのですが、大阪から姫路への帰り道の高速道路上で車がエンストしました。
その日は大雨で視界も極めて悪く、アクセルがスコスコになっていくら踏み込んでもエンジンが吹き上がらずトロトロのスピードになってしまっている愛車を、後ろから追突されないことを祈りながら、なんとか非常停止帯のくぼみのところまでたどり着かせました。
停車と同時にエンジンはストップ。
しばらく待ってみたのですが、結局エンジンはかからず、保険屋さんに電話をかけて助けを呼んでもらうことに。
救助の車が到着するまでに40分ぐらいかかると言われ待つしかなかったのですが、僕らの停車している場所が、左にカーブしている3車線の道路の内側で、天候のせいもあって後方の視界がものすごく悪い。
運転席から右のサイドミラーで後を見ていると、突如現れるトラックがものすごい勢いで僕らの車のすぐ脇をすり抜けていくのです。
その日は交通情報で湾岸線で2件の事故渋滞を確認していたり、この場所に来るまでに3重衝突を目撃したりしていた僕の脳裏に不安がよぎり出すのに、さして時間はかかりませんでした。
「こんな天気やし、こんな場所やから、スリップした車がオレらの車にぶつかってくるような事がないとも限れへん。そっちは壁やから、もしぶつかってくるとしたらこっちからやから、その時は、オレはええからお前らは絶対助からなアカン。だから、気ィ抜かんと、気合入れといてくれ!」
家族3人で乗っていましたので、僕は助手席の奥さんにそう言いました。
娘は奥さんの腕の中で、スヤスヤと眠っています。
いつになく真剣な表情で話す僕の話を、目を見開いて大きく頷きながら聞く奥さんののっぺりとしてツルッとした顔には、
「そんなうまいことこの時間にどこぞの車がこの場所でスリップして、それがたまたまこんな小さい自分らの車に衝突するなんて宝くじに当たるようなことが起きるわけないやろ。」
ってデカデカと書いてありました。
僕にとっては長すぎる30分が過ぎ、後方の視界を覆い尽くして大きなトラックが僕らの車の後ろに止まりました。
車のドアを開け、トラックから降りてきたお兄さんと挨拶を交わした時、僕は年甲斐もなく、激しく安堵しました。
家族三人でトラックに乗せてもらい見た景色は、最悪の天候にも関わらず、清々しく見えました。
それでは、久しぶりの「BAR 無人島」です。
結局どんなに好意的に考えてみても自分を取り巻く世界に正しいことなど何一つないということに気づいて、男は部屋の明かりを消す瞬間、大声を張り上げた。
庭の木に止まっていた小鳥たちが一斉に飛び立った以外、あたりに別段変わった様子は見受けられないと感じた次の瞬間、男はバーにいた。
薄汚れた小さなバーで、男はカウンターの中程におり、カウンターの中にはバーテンが一人いた。
椅子に座る男のすぐ後ろには壁があり、男と壁の間をすり抜けるには体を横にする必要があるであろうほどに狭い。
けれども、奥行きは以外に広く、店の一番奥にはゴシック調の重厚なソファが置いてあり、店の者なのか客なのか、得体の知れない男が一人腰を下ろしていた。
その日は大雨で視界も極めて悪く、アクセルがスコスコになっていくら踏み込んでもエンジンが吹き上がらずトロトロのスピードになってしまっている愛車を、後ろから追突されないことを祈りながら、なんとか非常停止帯のくぼみのところまでたどり着かせました。
停車と同時にエンジンはストップ。
しばらく待ってみたのですが、結局エンジンはかからず、保険屋さんに電話をかけて助けを呼んでもらうことに。
救助の車が到着するまでに40分ぐらいかかると言われ待つしかなかったのですが、僕らの停車している場所が、左にカーブしている3車線の道路の内側で、天候のせいもあって後方の視界がものすごく悪い。
運転席から右のサイドミラーで後を見ていると、突如現れるトラックがものすごい勢いで僕らの車のすぐ脇をすり抜けていくのです。
その日は交通情報で湾岸線で2件の事故渋滞を確認していたり、この場所に来るまでに3重衝突を目撃したりしていた僕の脳裏に不安がよぎり出すのに、さして時間はかかりませんでした。
「こんな天気やし、こんな場所やから、スリップした車がオレらの車にぶつかってくるような事がないとも限れへん。そっちは壁やから、もしぶつかってくるとしたらこっちからやから、その時は、オレはええからお前らは絶対助からなアカン。だから、気ィ抜かんと、気合入れといてくれ!」
家族3人で乗っていましたので、僕は助手席の奥さんにそう言いました。
娘は奥さんの腕の中で、スヤスヤと眠っています。
いつになく真剣な表情で話す僕の話を、目を見開いて大きく頷きながら聞く奥さんののっぺりとしてツルッとした顔には、
「そんなうまいことこの時間にどこぞの車がこの場所でスリップして、それがたまたまこんな小さい自分らの車に衝突するなんて宝くじに当たるようなことが起きるわけないやろ。」
ってデカデカと書いてありました。
僕にとっては長すぎる30分が過ぎ、後方の視界を覆い尽くして大きなトラックが僕らの車の後ろに止まりました。
車のドアを開け、トラックから降りてきたお兄さんと挨拶を交わした時、僕は年甲斐もなく、激しく安堵しました。
家族三人でトラックに乗せてもらい見た景色は、最悪の天候にも関わらず、清々しく見えました。
それでは、久しぶりの「BAR 無人島」です。
BAR 無人島 6
結局どんなに好意的に考えてみても自分を取り巻く世界に正しいことなど何一つないということに気づいて、男は部屋の明かりを消す瞬間、大声を張り上げた。
庭の木に止まっていた小鳥たちが一斉に飛び立った以外、あたりに別段変わった様子は見受けられないと感じた次の瞬間、男はバーにいた。
薄汚れた小さなバーで、男はカウンターの中程におり、カウンターの中にはバーテンが一人いた。
椅子に座る男のすぐ後ろには壁があり、男と壁の間をすり抜けるには体を横にする必要があるであろうほどに狭い。
けれども、奥行きは以外に広く、店の一番奥にはゴシック調の重厚なソファが置いてあり、店の者なのか客なのか、得体の知れない男が一人腰を下ろしていた。