ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

《リアルな現状から世界を見上げてほしい》と。

2017-03-21 06:27:18 | 日記
辺見庸氏は私の好きな作家の一人です。
『自動起床装置』で芥川賞を受賞した頃ですから、26年程以前から数回、
少人数の講演会などにも参じていました。
体調を崩されてからも、出版された書籍は殆ど読んでいます。

3月18日 NHK こころの時代  ~宗教・人生~
                 「父を問う」 今と未来を知るために
を、観ました。
思想などと大仰な言い方でなくとも、モノを考える時の〈自分自身の立ち位置〉
について、考えさせられました。
これから何が起きるのか。
それを予感するために、辺見さんは過去を振り返り、中国へ出征した辺見氏のお父様が
戦場で見た残虐行為に対してどう振舞ったのか、と父に問い、自らにも問い詰めています。

   《歴史の中の実時間(リアルタイム)にあって、
    自分(自己)と出来事を客観視することは至難の業》
   《日本兵による残虐行為の現場に身をおき、その同心円を生きること》
と、述べています。
そして、
   《自分の思考の拠点をどこに置くのか。
    今の世界を最も低い視線、無用のもの 役に立たないもの 
    その視線から考えたい。
    リアルな現状から世界を見上げてほしいと》

政治や、社会のあれこれに対するもの言いが、えてして「自分」抜きの一般的評論に
堕してしまいがちな私には、反省を迫られる辺見氏の「言葉」でした。

私にとっては、いい番組でした。
辺見氏の故郷・石巻は3.11の津波で壊滅的な被害を被りました。
『この光景を、父親が見ないでよかった』
と辺見氏は語ります。
   《父親は青春の大事なところを戦争で埋め尽くされ、挙句の果てに 
    こうした破壊された風景を見せるのは酷だ。
    十分に過酷なモノ(中国で)を見てきている》
と、語るのは辺見氏の優しさであったのでしょう。

そして、
   《「歴史は相似的に反復する」それを、3・11以来感じ続けている》
とも語られました。
第三回城山三郎賞を受賞した『増補版 1★9★3★7』(イクミナ)
まだ読んでいません。
早速、書店へ。
                            〈ゴマメのばーば〉
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2 コメント

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おはようございます (kao)
2017-03-21 09:27:50
日本兵が残虐行為を行ったのは
ほんとだったんですね・。。・。
ほとんどのマスメディアがそんな
事実はなかったと書いているから、
何が本当なのかわからなくなっていました。・
やはりあったのですね。
辺見さん・・私もこのかたのご本を
読んでみようかと思います。
もしや初心者におすすめの本が
ありましたら、教えていただけると
とてもうれしいです。・・。
こんにちは。 (ゴマメのばーば)
2017-03-21 16:41:48
 (kao)さま。
戦地、戦場では、平常での人間性も失われますし、また恐怖心から、攻撃に出ることもありますし、「無い・無かった」とは考えられません。
ただ、現状を見たわけではなく、様々な記事や証言で知り得るだけですので、規模その他、詳細はわかりません。
辺見庸氏の作品ですが、私にとっては、それぞれに示唆を与えられました。
ただ、かなり表現が、シビアな部分もありますから、その辺りを、チョッピリ意識しておいた方がいいかと思います。
書店で、あるいはネット販売等で、内容を、少し当たってみてから お選びなってはいかがでしょうか。

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