「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・伊能忠敬の地図

2010-11-24 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」                   情報プラットフォーム、No.235, 4 (2007)
{伊能忠敬の地図}

出典:伊能忠敬豆辞典


  「伊能忠敬が実地測量する前までの北海道の地図は渡島半島などの既知の部分が大きく、未踏の・・・・部分は小さく画かれている。金属間化合物の領域も当時の蝦夷地のような状態であるといっても良いであろう。座右の書とした・・・・本は伊能版以前の地図に対応していたように思える。

現在までに進めてきた高温構造材料としての金属間化合物のニーズに対応する・・・・研究の中から、今後の探査・開拓が必要であると思われる部分に焦点を当てたい。蝦夷地の地図を少しでも整備できればと思っている。」は日本金属学会の第40回本多記念講演(1995年)講師に選ばれ、「未知の領域、金属間化合物の魅力」と題して講演した時の緒言の抜粋である。


  金属間化合物とは、金属と金属の間に出来る化合物である。例えば、ニッケル(Ni)とアルミニウム(Al)の金属間化合物はNi3Al、NiAlなどである。化合物の融点は、それぞれの構成元素よりも高いことが普通である。


 1980年代に、高温でも強さを保ち、かつ軽量な材料のニーズが高まってきた。エンジン効率を良くするためには、可能な限り高温で運転することが得策である。

材料は温度が高くなると、柔らかくなるのが一般的である。そこで融点の高い金属間化合物が候補材料となる。しかし、常温で極めて脆いことが泣き所である。高温で強く、比重が小さく、常温の靱性が優れた金属間化合物の探索や性能の向上が望まれていた。私が研究対象としたこの分野を、「未知の領域」とか「蝦夷地」と表現したのはこのためである。

 
 伊能大図フロアー展が3月2~5日に高知県東部運動公園「くろしおアリーナ」で開催された。体育館のフロアーに1/36,000の日本列島が敷き詰められている。一枚が畳み一畳ほどの「大図」は全部で214枚あり、つなぎ合わされている。その上を歩き回れるのは圧巻である。馴染みのある四国に、特に高知県に大勢の人が乗っている。

距離と角度を正確に計り、天測を行い、図面に作っていくのは気の遠くなるような作業である。50歳になってから勉強を始め、蝦夷南東部の測量を手始めに、10次17年に亘り、北は宗谷岬から南は屋久島までの測量を達成した。忠敬が歩いた距離は39,000kmで、ほぼ地球一周に相当する。統率力、先々の根回し、そして資金力が大切と説明がある。納得である。


  「第34回本多記念講演(1989年)の講師に選ばれた和泉先生は『金属間化合物の研究分野は開拓の斧の音で賑やか』と表現した。それから6年が経過した。蝦夷地は北海道となった。現在は数ミリの隆起や移動が問題となる。

遺跡の調査、文化遺産の保護、環境保全の検討が必要である。社会資本整備、企業誘致、リゾート開発などの地域活性化の投資がまだまだ必要な段階にある。そして、何よりも重要なことは独創的なアイデアによる地域の村おこし町おこしである。」と結言を述べて私は講演を終えている。


  4日間の会期中に3度の見学をした。好奇心が強く、凝り性で、几帳面で、根気のある伊能忠敬に少しでも多く触れたいと思った。そして、精巧で美しい伊能大図の上で全国歩き旅をしたかった。そして、引用を報告し、感謝を表したかったのである。

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

 高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154

 

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