「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・鍵と暗号

2010-11-20 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」                   情報プラットフォーム、No.191、8(2003)
{鍵と暗号}


  鍵で扉を閉めて外出、帰宅して鍵で扉を開ける。これが出来るのは鍵を持っている人々に限られる。普通の文章(平文、ひらぶん)を「予め決めた手順」で暗号化し、その手順で復号(暗号文を平文に戻す)する。この手順(鍵)を知っている人だけが暗号を読むことが出来る。コナン・ドイルの「踊る人形」という短編では、人形の姿がA,B,C・・に対応する。この程度の単純な鍵ではシャーロック・ホームズに読まれてしまう。日本軍の暗号はアメリカに全て読まれていた。このような仕組みの暗号化を共通鍵暗号と呼ぶ。

  ホテルでは誰でも鍵なしで部屋を閉めることが出来るが、鍵(カード)を持っていなければ開けることは出来ない。これと同じような仕組みが暗号でも使われている。公開した鍵で誰でも暗号化できるようにしておく。しかし、復号化には私の持っている秘密鍵が必要なのである。ホテルの部屋を閉めることは人に頼めたが、鍵(カード)の所有者でなければ部屋に入れないのと似ている。このような方式を公開鍵暗号と呼ぶ。

 サイバー・スペースでは公開鍵暗号方式が用いられる。情報の秘匿の際には、どの通信相手にも公開鍵で暗号化させ、受信した暗号文を自分だけが持つ秘密鍵で復号することになる。本人であることの認証には、秘密鍵で署名文を作成し、どの相手にも公開鍵で検証させることになる。いずれの場合も秘密鍵は自分だけ、公開鍵は他の多数の人に使わせるのである。どの様な仕組みだろうか。考え方だけを示す。数学の話を少し我慢して欲しい。

 例えば、71×97=6887(p×q =N)である。この場合、6887(N)の数字を公開鍵とする。そして、71(p)又は97(q)が秘密鍵になる。掛け算はいとも簡単に出来るが、Nの桁数が大きくなればなるほど、素因数分解は困難になる。80ビット(280)では、現在の最速コンピューターを使っても解読に700年かかる勘定である。だから安全である。

   参考:「暗号と情報社会」辻井重男著、(1999)、文春新書078

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鈴木朝夫   s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

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