極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

虎パンダとカホコ

2017年08月03日 | 時事書評

  

            

             宣公十二年(- 597) 邲(ひつ)の戦い   / 楚の荘王制覇の時代


                                                

    ♞ 舟中の指、掬きくすべし

    ※ 晋軍の方では、魏錡(ぎき)、趙旃(ちょうせん)の二人が一晩帰らなかったので、
      あるいは楚軍を怒らせたのではないかと心配し、軘(とん)車と称する防備用の兵
      車で迎えにやった。魏錡を追っていた楚将藩党(はんとう)は、その兵車のあげる
      塵埃を望み見て、本陣に急使をやって知らせた。「晋軍の来襲です」 楚車の方で
      は、楚王が深入りして晋軍に包囲されては一大事と、ついに兵をくりだした。
      楚の令尹孫叔敖(そんj¥しゅくごう)は言った。
      「進んで戦おう。人に追るとも、人に追られるな。『先頭の兵車十乗、まっさきに
      道をひらく』と詩(小雅、六月)にもある。敵に先をかけよと教えたのだ。兵書に
      も、『敵に先んずれば敵の戦意はくじけ
 る』とある。敵に迫れと敦えたのである」
      かくてただちに出陣、兵車と兵車と、もみにもんで駈せ、晋軍に襲いかかった。
      桓子(荀林父)はなすすべを知らず、あわてて太鼓を叩いて軍中に告げさせた。
      「先に河を撹った特には恩賞を取らせようぞ」
      そこで中軍・下軍の兵士はわれがちに舟に乗ろうとした。そのために舟の中には切
      断された指が両
手ですくうほどだった。
      かくて晋軍は中軍も下軍も総崩れになって右に移勤し、動かぬのは上軍だけとなっ
      た。そこで楚の
工尹斉(こういんせい)は右拒(右翼)の軍をひきいて晋の下車を
      追撃した。


      〈舟中の指掬(きく)べし〉 大勢の者が争って舟に乗ろうとし、先に乗った者はあ
      とから大勢が乗って
舟が転覆することを恐れ、舟べりにつかまった者の指を斬り落
      した。そのため舟中に指が両手に
すくえるほどになったというのである。



【ZW倶楽部とRE100倶楽部の提携 Ⅳ】

✪  エネルギータイリング事業篇

● ソーラータイルのリサイクル事業

先回、ソーラールーフタイル事業開発と技術課題を考察。その折り、廃棄物回収ループ事業について
は保留
したが、今回はシリコン結晶系太陽電池(変換効率20%超)に絞り小考する。なお、このブ
ログでもシリコンの回収に関して掲載――例えば、『太陽の道の技術』(2011.07.06)では、半導体
用シリコン製造工程から廃棄されるシリコン屑あるいは廃棄物(不良品、デバイス廃棄物など)から
の回収、あるいは「籾殻から金属シリコンをつくる錬金術(特開2011-6316)事例掲載、『二つのリゾ
ットと金属シリコン』(2012.01.23)では下図の【シリコンリサイクル】を掲載している。さらに、
今年に入り「リチウムイオン電池の大容量化に産業廃棄物を活用した新たな道筋- 東北大/阪大の研
究グループ、シリコン切粉を用いて従来容量比3.3倍に」(2017.02.22) 「廃シリコン粉末のレーザ
焼結による多孔質複合厚膜の創製に成功-産業廃棄物からリチウムイオン電池製造の可能性」(慶応
大 2017.01.08)などが成果報告が公表されている。



このように、半導体、蓄電池、太陽電池、バイオ(農産物)産業からの廃棄物は再生可能エネルギー
産業の興隆などの動向を類推すれば、金属シリコン、半導体シリコンのリサイクル事業はここにきて
ビッグビジネスとなりつつあることが了解でき、リサイクルループ構築競合が加速していくものと考
えられる。
 

♞  高容量の次世代リチウムイオン電池、産廃シリコンで実現

 

7月20日、慶應義塾大学の研究グループは廃シリコン粉末から単結晶シリコンピラーを形成する手
法の開発に成功。リチウムイオン電池の性能を高める手法に、シリコンを利用した負極の研究開発が
進んでいるが、容量を従来の3
倍程度に高められるが、充電時にリチウムを貯蔵すると体積が3倍以
上に増え、電極割れ、導電経路崩壊する。このように電池寿命の急速低下回避には複雑な負極の構造
をとる必要がありコストが嵩む。同グループは、体積膨脹を完全に緩和できる単結晶シリコンピラー(
シリコンで作る微小柱)の形成に成功。原料には産業廃棄物として処分されている、廃シリコン粉末
活用するのが特徴で、高容量、長寿命、低コストのシリコン負極を作るための新しい製造プロセスと
して期待されている。半導体デバイスや太陽電池の生産では、単結晶シリコンのブロック(インゴッ
ト)を切断し、シリコンウエハーを製造する。その際に、粒径サブミクロン~数ミクロン程度のシリ
コン粉末が大量に発生する。現在そのシリコン粉末は、砥(と)粒などの不純物を含むことから再びイ
ンゴット生産に再利用されることはなく、産業廃棄物として処分されている。

研究グループはシリコン粉末に導電助剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリイミドを加え集電体と
して銅箔(はく)上に塗布し、これに対してレーザー照射を行うことで、シリコンマイクロピラーを形成する手法
を確立。 レーザーを吸収した最表面のシリコン粒子は加熱され、融点を超えると溶融する。このとき、粒径が
小さい粒子は素早く蒸発するが、大きい粒子は溶融し、液相となる。液相となった粒子は周囲の粒子を取り込
みながら沈殿していき、凝集しつつ銅箔表面に達する。一方、導電助剤として加えたアセチレンブラックはレー
ザー照射で気化し、高圧プラズマになる。このプラズマの圧力によって液相のシリコンはピラー状に成長し、液
相シリコンの再凝固によって、シリコンマイクロピラーが形成されるという仕組み。 



❏ 関連特許:特開2017-081770:シリコンナノ粒子の製造方法及び装置

シリコンナノ粒子は、サイズや結晶構造に応じて光学的・電気的特性を制御できるため、次世代太陽
電池やデータ記憶素子、量子コンピューターなどのデバイスの高効率化と高機能化に使用される需要
が増加している。したがって、サイズや結晶構造を安定して制御できるシリコンナノ粒子製造プロセ
スが必要不可欠である。これまでに、イオン注入法、プラズマCVDによるシリコンナノ粒子合成法
や、化学析出法、電気化学エッチング法によりシリコン粉末あるいはシリコンウエハからシリコンナ
ノ粒子を製造する方法が提案されている。また、エキシマレーザーアブレーション法によるナノ粒子
堆積方法も提案されている。さらにに、パルスレーザを用いる方法も提案されている。

しかし、上記方法のいずれも、粒径や結晶性の揃ったシリコンナノ粒子の合成が困難であり、生成能
率も低いのが現状である。また、いずれも純シリコンを使用しており、生産コストの増加も問題とな
っている。さらに、生成したシリコンナノ粒子を有効に回収する方法も課題となっている。従来の問
題点の解消したもので、原料コストの安価な材料を用いて、安価で大量生産に適したシリコンナノ粒
子製造プロセスで、粒子サイズや結晶構造が均一であるシリコンナノ粒子を製造可能とすることを課
題とする。

JP 2017-81770 A 2017.5.18

 ● 消費者は売電より“自家消費”に期待

7月26日、ソーラーフロンティアは新築一戸建ての住宅購入を検討している消費者を対象に、家庭
のエネルギーに関する意識調査――5年以内に新築一戸建て住宅の購入を検討している全国の既婚男
女約1000人を対象に、家庭のエネルギーに関する意識調査を実施。その中でZEHや、ZEHの実現に必
須の太陽光発電システムに対する印象を実施。
その結果、 住宅の購入にあたり、電気代を削減する
ための施策を行う意向があるかを聞いてみたところ、意向がある人は92.2%で大多数を占めた。その
具体的な施策としては「こまめに電気を消す」が68.2%と最多で、「電力会社を比較・検討する」
(30.1%)、「家電の電源コードをこまめに抜く」(28.9%)などソフト面での取り組みが続く。工
事を伴うようなハード面での施策を検討するユーザーは少数派となったが、ハード面の施策の中では
「太陽光パネルを導入する」と回答した人が21.7%で最多となっている。



次にZEHの導入時に必須の条件となる太陽光パネルの導入についての印象を聞いた。最も多かったのは
「月々の電気代が安くなる」で、「とてもそう思う」(28.3%)と「まぁそう思う」(54.4%)の合
計が82.7%を占めた。「災害時の電源として安定する」(79.8%)、「家庭内で使用するほとんどの
電源を賄える」(70.5%)が続く。太陽光パネルは、家計負担を軽減する手段として期待されている。
一方で、「初期投資の費用負担が少ない」(35.1%)、「投資が短期間で回収できる」(37.5%)の
印象は低く、初期投資が導入のハードルになっている。次に太陽光発電システムを設置する利点につ
いて聞いたところ、「発電した電力を自家消費できるが68.1%で、「発電した電力を売電できる」
の55.1%を上回る結果となった。

Q11.あったらいいなと思う太陽光パネルの機能(n=1045)



 

 

【過保護のカホコ】

テレビドラマが面白いと彼女が言うので観る。結構面白い。はじめ、高畑充希扮するカホコ(根本加
穂子)は発達障害者、あるいは行動障害者なのかなと思わせるほど異常なもの感じたのだが、翌日、
そのことを話すと、それこそ、母親の根本泉(いずみ)過保護に育てられたからよ。と、説明する。

観たのは第4話――カホコ(高畑充希)が生まれて初めて泉いずみ(黒木瞳)に反抗したことで、固
い絆で結ばれた母娘の関係は冷戦状態に突入→間を取り持とうと奮闘する正高(まさた)か(時任三
郎が、お互い譲らない2人の板挟みにあう。そんな中カホコは、勢いで告白したまま逃げ出してきて
しまった竹内涼真扮する、麦野初(はじめ)と顔を合わせづらく悩む。人は誰かと出会うことで自分
を変えることができるとい中島ひろ子扮する叔母の並木環(たまき)の言葉に励まされ、改めて初に
会うカホコだったが、変な期待をさせない方がいいと思った初から、過保護でガキっぽいところがタ
イプではないとフラれ、ショックから部屋に引きこもるが、失恋中もしっかり空腹を感じることに自
己嫌悪で落ち込むカホコに、正高は泉に隠れてカホコに差し入れをするが、そのことが泉にバレて過
保護だと責められる。



一方、退院した並木糸(イト)はカホコを通じて知り合った初を訪ねるが、チェロを弾けなくなった
ことを親のせいにするイトに、初は冷たく接してしまう。部屋に引きこもったまま『失恋から立ち直
る方法』を調べるカホコに、正高は気分転換のため泉の実家を訪ねることを提案。しかし、集まった
親戚もタイミング悪く各々の家庭の問題を抱え、泉がいないこともあり気分は沈んだまま。失恋の痛
手を忘れるにはお酒が効くと聞いたカホコは、初めてお酒をガブ飲みしてしまうが、その勢いのまま
初の元へ向かうという。というストーリー。なんとなく、自分と母親の関係もこれとにたところがあ
るのではと重ね合うところあり。



全ての行動を親任せにする過保護の性格を持つ箱入り娘のカホコ、外泊はおろか買物すらしたことが
ない。そんなカホコとは性格が全く反対な青年・麦野初との出逢いで人生観が一変するという、2017
年7月12日から始まった日本テレビ系水曜ドラマ『過保護のカホコ』。毎週水曜午後10時の時間帯は
要約済み!


 

       

読書録:村上春樹著『騎士団長殺し 第Ⅱ部 遷ろうメタファー編』        

    第44章 人がその人であることの特徴みたいなもの 

  あたりがもうかなり暗くなった頃、私は懐中電灯を手に、秋川まりえを「秘密の通路」の少し
 手前まで送っていった。夕食までに家に帰らなくちやならない、と彼女は言った。夕食が始まる
 のはだいたい七時だ。

  彼女は私にアドバイスを求めてやってきた。しかし私にもうまい考えは浮かばなかった。しば
 らく事態の推移を見ているしかないだろう。私に言えるのはそれくらいだった。もし二人が性的
 な関係を持っているとしても、結局は独身の成人男女が合意の上で進めていることなのだ。私に
 いったい何かできるだろう? そしてその背景となっている事情を私は誰にも(まりえにも、そ
 の叔母にも)明かすことはできなかった。そんな状態で誰かに有効なアドバイスを与えることな
 んて不可能だ。利き腕を背後で縛られてボクシングをしているようなものなのだから。

  私とまりえはほとんど口をきかずに雑木林の中の道を並んで歩いた。歩いている途中でまりえ
 は私の手を握った。小さな手だったが、力は予想外に強かった。彼女に急に手を握られて少し驚
 きはしたが、たぶん子供の頃によく妹の手を握って歩いていたせいだろう、とくに意外には感じ
 なかった。それは私にとってはむしろ懐かしい、日常的な感触だった。
  まりえの手はとてもさらりとしていた。温かくはあるけれど、汗ばんだりはしていない。彼女
 は何か考えごとをしているらしく、おそらくは考えていることの中身によって、ときどき握る手
 がぎゅっと強くなったり、またそっと緩んだりした。そういうところも妹の手が与えてくれた感
 触によく似ていた。

  祠の前にさしかかると、彼女は握っていた手を放し、何も言わずに一人でその裏手に入ってい
 った。私はそのあとをついていった。
  ススキの茂みはキャタピラに踏みつよされた痕跡をまだしっかり残していた。そして穴はいつ
 もどおりひっそりとその奥にあった。穴の上には厚板が何枚か蓋としてかぷせられ、蓋の上には
 重しの石が並んでいた。それらの石の位置が前と違っていないことを私は懐中電灯の明かりで確
 認した。この前見たときから、誰もその蓋をどかせてはいないようだ。

 「中をのぞいてかまわない」とまりえは私に尋ねた。
 「のぞくだけなら」
 「のぞくだけ」とまりえは言った。

  私は石をどかせ、一枚の板を取り除いた。まりえは地面にしやがんで、その間いた部分から、
 穴の底をのぞき込んだ。私はその中を照らした。穴の中にはもちろん誰もいなかった。金属製の
 梯子がひとつ立てかけてあるだけだ。もしそうしようと思えば、その梯子を便って穴の底まで降
 りて、また上ってくることができる。深さは三メートルもないが、もし梯子がなければ、地上に
 出るのはほぼ不可能になってしまう。壁はつるつるしていて、普通の人にはとてもよじ登れない。
  秋川まりえは片手で髪を押さえながら、その穴の底を長いあいだのぞき込んでいた。目を凝ら
 し、そこにある暗黒の中に何かを深し求めるように。その穴のいったい何か彼女の興味をそれほ
 ど惹きつけるのか、私にはもちろんわからない。それからまりえは顔を上げて私を見た。

 「誰がこんな穴をつくったのかな」と彼女は言った。
 「さあ、誰が作ったのかな。最初は井戸なのかと思ったけど、そうでもないみたいだ。だいいち
 こんな不便なところに井戸を掘る意味もないからね。いずれにせよ、かなり昔に作られたものみ
 たいだ。そしてとても丁寧に作られている。ずいぶん手間がかかったはずだ」

  まりえは何も言わず、じっと私の顔を見ていた。

 「このあたりは昔からずっと君の遊び場だった。そうだね?」と私は言った。 まりえは肯いた。
 「でも、祠の裏手にこんな穴があることを、つい最近まで君も知らなかった」

  彼女は首を横に振った。知らなかったということだ

 「先生がこの穴をみつけて、開いたのね」と彼女は尋ねた。
 「そう。みつけたのはぼくということになるかもしれない。こんな穴があるとはわからなかった
 けど、積まれた石の下に何かがあると思った。でも実際に石をどかせて、この穴を間いたのはぼ
 くじやなくて、免色さんだ」、私は思い切ってそのことを打ち明けた。きっと正直に話しておい
 た方が良いはずだ。

  そのとき樹上で、鋭い声で一羽の鳥が鳴いた。仲間に何かの警告を与えるような声だった。私
 はそのあたりを見上げたが、鳥の姿はとこにも見えなかった。葉を落とした彼が幾重にもかさな
 りあっているだけだ。その上にはのっぺりとした灰色の雲に覆われた、冬も近い夕暮の空か見え
 た。

  まりえは顔を少しだけしかめた。でも何も言わなかった。
  私は言った。「でもどういえばいいんだろう、この穴は誰かの手で開かれることを、強く求め
 ていたみたいだった。そしてまるで、ぼくがそのために召喚されているみたいだった」
 「ショウカンされる?」
 「招き、呼び寄せられていた」
  彼女は首を曲げて私の顔を見た。「開かれることを先生に求めていた」
 「そう」

 「この穴が求めていた?」
 「ぼくでなくても、誰でもよかったのかもしれない。たまたまぼくがそこに居合わせたというだ
 けかもしれない」
 「そしてじっさいにはメンシキさんがこれを開いた」
 「うん。ぼくが免色さんをここに連れてきたんだ。もし彼がいなかったら、この穴はたぶん開か
 れなかっただろうな。人の手ではとても石はどかせられなかった、ぼくは重機を手配したりす
 るようなお金も持ち合わせていないし。つまり巡り合わせみたいなものだよ」

  まりえはそれについてしばらく考えていた。

 「そんなことしない方がよかったかもしれない」と彼女は言った。「前にも言ったと思うけど
 「そのままそっとしておけばよかったと、君は思うんだね?」

  まりえは何も言わず地面から立ち上がって、ブルージーンズの膝についた土を手で何度も払っ
 た。それから私と二人で穴に蓋をかぶせ、その上に重しの石を並べた。私はその石の位置をあら
 ためて順に刻み込んだ。
 「そう思う」、彼女は両手の手のひらを軽くこすり合わせながら言った。
 「ぼくは思うんだけど、この場所には何か伝説というか、言い伝えみたいなものが残っているん
 じやないかな。特殊な宗数的背景があるとか」
  まりえは首を横に振った。彼女は知らない。「うちのお父さんならなにか知っているかもしれ
 ないけど」
  彼女の父親の一族は明治以前からずっと、地主としてこの一帯を管理してきた。この隣の山も
 丸ごと秋川家の所有物だ。だからこの穴と祠の意昧についても何かを知っているかもしれない。

 「お父さんに訊いてもらえるかな?」
  まりえは小さく唇を曲げた。「そのうちにきいてみてもいい」、それからしばらく考えて小さ
 な声で付け加えた。「もしそういう機会があれば」
 「いったい誰がいつ、何のためにこんな穴をこしらえたのか、それについて何か手がかりがある
 といいんだけど」
 「この中になにかを閉じ込めて、重い石をかぷせて積んでいたのかもしれない」とまりえはぽつ
 んと言った。
 「つまり何かが抜け出してこられないように、穴の上に石の塚を積んで、そして崇りを避けるた
 めに小さな祠をこしらえたそういうことなのかな?」
 「そういうことかもしれない」
 「でも我々がそれをこじ開けてしまった」

  まりえはまた小さく肩をすくめた。

  私は雑木林が終わるところまでまりえを送っていった。そこで、あとは自分一人にしてほしい
 と彼女は言った。暗くても道はちゃんとわかるから大丈夫。「秘密の通路」を通って自宅に帰る
 ところを、誰かに見られたくないのだ。それは彼女だけの知っている大事な抜け道だった。だか
 ら私はまりえをそこに残し、一人で家に帰った。空はもうほとんど明るさを残していなかった。
 冷ややかな闇が訪れようとしていた。

  祠の前を通ったとき、同じ鳥がまた同じような鋭い声を上げた。でも今回は私は頭上を見上げ
 なかった。ただまっすぐ祠の前を通り過ぎ、家に戻った。そして自分のために夕食をつくった。
 料理をしながら、シーヴァス・リーガルを少しの水で割って一杯だけ飲んだ。瓶にはあと一杯分
 か残った。夜は深く静かだった。空の雲が世界中の音を吸収しているみたいに。

  この穴はひらくべきではなかった。

  そう、秋川まりえの言ったとおりかもしれない。おそらく私はあの穴に関わるべきではなかっ
 たのだ。私はここのところ、見当違いなことばかりしているみたいだ。

  秋川笙子を抱いている免色の姿を私は想像してみた。白い大きな屋敷の、どこかの部屋にある
 広いベッドの上で、二人は裸で抱き合っている。それはもちろん私とは関わりのない世界で起こ
 っている、私とは関わりのない出来事だ。しかし二人のことを考えるたびに、置き場のない気持
 ちが私の中に生まれた。駅を通過していく無人の長い電車を目にしているときのように。
  やがて眠りが訪れ、私にとっての日曜日が終わった。私は夢を見ることもなく、誰に妨げられ
 ることもなく、ただ深く眠った。
                                
      この項つづく  




● 虎パンダに優勝を託す! 

8月2日夜、テレビ放送がなく仕方なく、今朝、阪神-広島戦(セ・リーグ、広島3-4阪神、16
回戦、8勝8敗、マツダ)のダイジェストで結果――阪神が逆転勝ちで連敗を2で止めた。1点ビハ
インドの9回、4番のジェイソン・ロジャース内野手が左翼線に逆転2点打を打った
。チームはこの
日敗れるか、引き分けの場合は自力優勝の可能性が消滅という瀬戸際。「パンダ」の愛称を持つ新助
っ人が危機を救ってくれたのだ。
試合は1回に2番・菊池の11号2ランで広島が先制すると、阪神
は3回に3番・福留が10号2ランを放ち、同点。
その後は両軍得点のないまま、展開。広島は8回、
松山が3番手の中継ぎ高橋から右中間スタンドへ勝ち越しの7号ソロを放つ。
阪神は9回一死満塁と
好機を作ると、4番・ロジャースが4番手今村投手の2球目を左翼線へと弾き返し勝ち越す。その裏
守護神のドリスが無失点で締め競り勝つという展開。
ロジャースは、いい仕事できる自信があったの
で、回してくれて、いい仕事ができたとインタビューにそう答えている。ここは、ロジャースに優勝
の願いを託すしかない。

  Jason Douglas Rogers                                 

  ● 今夜の一曲

※ 外見や行動から「Panda(パンダ)」という愛称が付いていることにちなんで、メジャーリーガー
  時代から登場
曲に使用されている。


 
  

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