極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

高性能PMSM時代

2016年11月04日 | 環境工学システム論

 

               自分自身の体験と思索によって到達した考えは、たいがいの場合われわれは
               おだやかにつつしみ深く口にするものである。

                                                                      美しき惑いの年 / ハンス・カロッサ



                                               

                                                                        Hans Carossa  Dec. 15, 1878 - Sep. 12, 1956

 

  Oct. 24, 2016

【水力発電ポンプ工学の此岸:永久磁石埋込型電動機の高性能化】 

先月、東京ビッグサイトで開催された展示会「第6回 水イノベーション」に三相電機とアシアティ
ック・エンジニアリング・ジャパンと共同開発・参考出展した「小型水力発電ポンプ」――ポンプ
に水を逆に流し、通常とは逆方向に回転させて発電を行う「ポンプ逆転式」の発電機で、大きさは
430×441×180ミリメートル、重さ約30キログラム。水車と発電機の一体構造で小型で、狭いス
ペースに設置しやすく大掛かりな工事不要で、最短で1日で設置可能な―――例えばビル空調の循
環水が流れる配管や工場排水設備の配管に接続することで、供給圧の残圧を利用して水力発電が行
え、こうした配管残圧が利用できる安定水源があれば有効で、さらにため池や河川から配管を通
して取水して発電を行うことも可能という、管水路用マイクロ水力発電システムの発電ポンプが話
題となっている。

 

この発電機の発電機の主な利用条件は2つ。(1)10~21メートルの有効落差を確保でき、(2)
水量が1分あたり300~450リットル確保できることである。売電機能は搭載しておらず、自立型の
独立電源システムとしての利用を想定した製品となっている。発電機の最大出力は750W(ワット)
で、最小が200ワット。未利用エネルギーを電力に変えてバッテリーに充電したり、ビルや工場内
の照明などに利用したりできる他、災害時の電源としても使用可能。なお、設置の際には整流回路
ユニットと、直流電力を交流に変換するための市販のパワコン(インバータ)も併設する。三相電
機とアシアティックは、今月をめどに小型水力発電ポンプの実証を兼ねたモニター販売を開始し、
17年の前半には一般販売開始する考え。正式価格は決まっていないが百万円以下をめざす。
 Oct. 24, 2014

これらの高性能な小型発電ポンプの進展には、(1)ポンプインペラー(あるいは、タービン、水
車)の高性能ととも、(2)ネオジウムなどのモーター磁石の高性能化が寄与があり、永久磁石の
コンパクト化(ダウンサイジング)などの研究開発が行われきている。参考までに、下記の新規考
案事例を掲載する。

● 特開2014-039355 駆動装置および駆動方法


冷蔵庫やエアコン等に設けられている圧縮機、車両、車両に搭載されている車載機器)を駆動する
駆動装置は電動機を備えている。このような電動機として、下図のような、永久磁石を有する回転
子を備える電動機が用いられている。軸方向に直角な断面図で示されている電動機は、固定子と回
転子から構成され、固定子は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って配置されている複数の
ティース532、隣接するティースで成される複数のスロット535に挿入されている各相の固定
子巻線540で構成。回転子は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って交互に配置されてい
る主磁極部と補助磁極部をもつ。主磁極部には、磁石挿入孔561が設けられ、磁石挿入孔は、永
久磁石が挿入され、磁石挿入孔と永久磁石、主磁極部の外周面の周方向中心と回転子の中心Oを結
ぶd軸に直交する方向に沿って直線状に延る。永久磁石には、保持力が大きい希土類磁石が用いて
磁石挿入孔に挿入されている永久磁石の回転子を備える電動機は、永久磁石埋込型電動機Perma-
nent Magnet Synchronous Motor:
PMSM)と呼ばれ、(1)誘導電動機・電磁石同期電動機などより
高効率、(2)整流子・ブラシ・界磁励磁回路・スリップリングがなく、保守が容易である、(3)
界磁の損失による温度上昇がなく、界磁温度上昇に対する保護が不要などの特徴をもつ。  
Feb. 27, 2014

近年、このような電動機(永久磁石埋込型電動機)に電力を供給する電力供給装置として、インバ
ータ装置が用いられている。インバータ装置は、回転子550が回転方向Rの方向に回転するよう
に、回転子550の位置に基づいて制御される。さらに、電動機のトルクを高めるために、各相の
固定子巻線540に誘起される誘起電圧より設定角度αだけ進んだ時点で各相の固定子巻線540
に電圧が印加されるように制御される(「進角制御」と呼ばれている)。例えば、図10に示され
ているように、回転子550の主磁極部のd軸が、固定子巻線540により形成される磁極の中心
Zより設定角度(「進角」と呼ばれている)αだけ進んだ位置に達した時点で固定子巻線540に
電圧が印加されるようにインバータ装置が制御される。

ここで、電動機500を進角制御する場合、図10に矢印で示されているように、固定子巻線54
0により発生する磁界が、回転子550の永久磁石571に、永久磁石571の着磁方向と逆向き
に印加される。このように、永久磁石571の着磁方向と逆向きの外部磁界が永久磁石571に印
加されると、永久磁石571が減磁されて電動機の特性が低下する。 永久磁石571の減磁を抑
制する方法としては、永久磁石571の厚さを大きくする方法が考えられる。しかしながら、永久
磁石571の厚さを大きくすると、永久磁石の使用量が増大する。

このため、永久磁石の減磁を抑制しながら永久磁石の使用量を低減することができる技術が要望さ
れている。特に、希土類磁石は価格が高いため、永久磁石として希土類磁石を使用する場合には強
く要望される。なお、特開2004-350345号公報には、最大トルクの低下を抑制しながら
トルク脈動を抑制するために、永久磁石と回転子の外周面の間に、径方向に沿って延びているスリ
ットを設ける技術が開示されている。しかしながら、特開2004-350345号公報には、永久磁石の減
磁を抑制しながら永久磁石の使用量を抑制
するための技術は開示されていない。本発明は、この
ような点に鑑みて創案されたものであり、永久磁石の減磁を抑制し、また、永久磁石の使用量を
低減しながら電動機を進角制御することができる技術を提供することを目的とする。

● 特開2012-114970 永久磁石埋込型電動機

回転軸9の方向に永久磁石収容孔8が複数形成された回転子鉄心7と、回転軸9に直角な面におい
て、永久磁石収容孔8に回転子6の周方向で隣り合う永久磁石10の長手方向の端面どうしが同極
どうしとなるように挿入した永久磁石10を備えた回転子6からなり、磁極数の個数に対して永久
磁石収容孔8の個数が同数であり、回転軸9に直角な面において、全ての永久磁石収容孔8の長手
面が、回転子6の内周側から外周側へと延びる方向で、かつ、隣り合う永久磁石収容孔8が干渉し
ない範囲で、回転子外周側8aを径方向に対して同一周方向へ傾けることで永久磁石量を増やすこ
とが可能な形状とし、永久磁石収容孔8に永久磁石10を有する永久磁石埋込型電動機であること
で、永久磁石の個数を磁極数と同一としながら、性能面を改善した永久磁石埋込型電動機を提供す
る。

 

 

【発電機を搭載した電気自動車が登場】 

高性能でコンパクトな電動機の進化は、小型発電ポンプのような再生可能エネルギー分野だけでな
いこ
とは当然。今月2日、日産自動車が新しいタイプの5人乗り電気自動車を発売。発電専用のガ
ソリンエンジン
で作った電力をバッテリーに蓄えながら、モーターだけで走る仕組みになっている。
従来の電気自動車のように充電する必要がなく、しかも同型のガソリン車と比べて燃費を約1.4
倍に改善するという。これは電気自動車なのか、それともハイブリッド車なのか。しかし内部の構
造はどちらとも違う。ただしガソリンエンジンでは走らずに、エンジンを回して電力を作ってモー
ターだけで走る。エンジンとモーターを組み合わせて走るハイブリッド車ではなくて、ガソリンエ
ンジン発電機を搭載した電気自動車である(上図参照)。バッテリーだけを搭載した電気自動車と
違い、充電を必要としない点が最大の特徴。ガソリンを補充しながら長距離を走るというもの。発
電専用のエンジンには発電モーターが組み込まれ、ガソリンを燃料にエンジンが回転して、モータ
ーで発電した電力を駆動用バッテリーに蓄電する仕組みは、前述した水力をここではガソリン燃料
の内燃機関を置き換えたモーター発電方式。モーターの最高出力は80kW(キロワット)を発揮。駆
動用バッテリーも同様にリチウムイオン電池を採用したが、リーフのように大量の電力を蓄えてお
く必要がないために小さな容量で済む。



高価なリチウムイオン電池が小容量で済んだことで価格を安く抑えることができた。本体価格はグ
レードによって139万円~224万円と手ごろな範囲だ。一方の日産リーフは247万円~40
7万円の価格帯。新発売の「NOTE e-POWER」には4種類の電力供給モードで、平坦な道を走って
いる状態では、バッテリーの残量によってエンジンをON/OFF。電力の残量が多ければ、通常の電
気自動車と同様にバッテリーから駆動モーターに電力を供給して走行する。エンジンが停止してい
るため走行音は極めて小さい。



電力の残量が少なくなるとエンジンを動かして発電する。発電モーターからバッテリーに電力を送
り充電
しながら、バッテリーの電力を駆動モーターに供給して走る。エンジンの最高出力は58kW
通常の走行状態であれば駆動モーターが消費する電力よりも多くの電力を作ってバッテリーに蓄え
る。
急な加速や坂道を登る時には、発電モーターから駆動モーターに電力を直接送って、バッテリ
ーからの電力と合わせてモーターをフル回転させる。逆に減速時や坂道を下る時には、駆動モータ
ーの回転に逆らう作用で回生エネルギーが発生する。そのエネルギーで駆動用モーターが電力を作
ってバッテリーの充電量を増やすことができる。こうした4つの電力供給モードを組み合わせてガ
ソリンの消費量を抑える。「NOTE e-POWER」の燃費はJC08モードで34.0~37.2キロメート
ル/リットル)になる。ガソリン車の「NOTE」の燃費は23.4~26.2km/lで、約30%の燃費節減と
なり、因みに、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の標準モデルの燃費は37.2km/l
電力供給モード切り替えがあっての燃費削減の実現である。ここでも、第5次産業革命の『デジタ
ル革命渦論』の真価が発揮されるというわけである。

 

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