極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ピンチに攻め上げる

2017年08月10日 | デジタル革命渦論

   

    

               宣公13年~襄公20年 鞌(あん)の戦い   / 晋の復覇刻の時代 

                                 

       ※ 甲を擐(つらぬ)き兵を執るは、もとより死に即くなり

       さて、翌朝、斉の高固は、敢然として晋の陣内に兵車をのりいれた。そして
       晋の兵めがけて大石を投げつけ、倒れた兵を捕えて車にのせ、さらに、手近
       にあった桑の木を根もとから引き抜いて車にくくりつけた。自軍のとりでに
       馳せもどるや、大声で叫んだ。
       「勇者になりたいやつはわしを見習え」
       この日、両軍は鞌の地に対陣した。斉侯の軍には、邴夏が御を、逢丑父が右
       をつとめ、一方、晋の郤克の軍には、解張が御を、鄙丘緩か右をつとめてい
       た。
       「朝飯前に、片をつけてしまおう」
       斉侯はこう言いすてると、馬に甲も着せずに鞭をくれた。
       戦端がひらかれるや、郤克は矢傷を負い、流れる血がくつを侵した。それで
       も気力をふりしぼって鼓を打ちつづけていたが、
       「もうだめだ。これ以上は戦えぬ」
       すると、解張が励ました。
       「弱音を吐いてはいけません。わたしも早々に、腕に矢を突き立てられまし
       たが、それを折りとって、馬を御しています。左輪は私の血ですでに真っ赤
       に染まっています。それでも私はくじけません。しっかりしてください」
       鄭丘緩も言った。
       「気をたしかにもってください。いままで兵車がぬかるみにはまったときに
       は、私はかならず降りて車をおしているのです。それはあなたもご承知のは
       ず。もうだめだなどとおっしゃっているときではありません」
       さらに、解張は力づよく、
       「全軍の耳目は、わが旗鼓にあつまっています。進かも退くもすべて将軍の
       下知ひとつ。将軍おひとりが、この兵車に頑張ってさえおられれば勝利はわ
       がもの。負傷したぐらいで、主君のこの大事を失敗させるわけにはまいりま
       せん。いったんよろいを着け武器を手にしたからには、死はもとより覚悟の
       はず。これしきの傷、まだまだ戦えます」
       こう言うと、左手だけでもち、右手に郤克の手から撥(ばち)をとった。そ
       してはげしく鼓をたたく。馬もいきりたち、すさまじい勢いで走り出した。
       全軍、遅れじと後につづく。斉車はこの勢いに抗しきれず敗走をはじめ、華
       不注山のふもとをぐるぐると逃げまわった。
 

  

 No.50

♞ 蓄電池の品質❂コストが世界を制す

✔ 世界最軽量クラスを実現 6.5kWhリチウムイオン蓄電システムを事例に

先月27日、京セラは住宅用の定置型リチウムイオン蓄電池の販売を開始。住宅太陽光の自家消
費ニーズの高まりを見据えた製品で、同社のHEMS「ナビフィッツ」と連携し、生活パターンの
学習による最適な充放電制御などが行えるもの(下写真)。このホームエネルギーマネジメント
システムと連携可能な6.5kWh(キロワット時)の蓄電システム「EGS-ML0650」は、重量は52kgと
蓄電池ユニットとしては「世界最軽量クラス」としており、屋内と屋外双方での設置が可能となっている。
希望小売価格は屋外向けが270万円(税別、付属品含む)、屋内向けが268万7000円(同)。

2012年にスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」の買い取り価格は毎
年低下を
続ける中、今後は電力の自家消費を目的とした太陽光発電システム、蓄電システムの導
入が増加する見込み
。2019年をめどに住宅太陽光発電システムの余剰買い取り期間が終了する住
宅も増え始める。
その結果、新たに蓄電システムを導入し、既設の太陽光発電システムを有効活
用して自家消費を行う動
きが広がると予想される。
このようなニーズに向け、天気予測や電力消
費パターンから、太陽
光発電システムによる発電量や余剰電力量などを試算し、蓄電システムや
「エコキュート(ヒートポンプ給
湯機)」の自動制御を可能にするHEMS「ナビフィッツ」を
2017年1月に発売した。今回発表した蓄電シス
テムは、ナビフィッツと連携可能な初のモデルで
ある。

 



✔ エネルギー分散型社会のキーテクノロジー・蓄電システム

欧州などの相次ぐ地下化石燃料自動車から電気自動車への政策転換が報道される中、トヨタ自動
車が
マツダと共同で進める電気自動車(EV)の開発について、スバルなどの出資先や提携協議
中のスズキ
に幅広く参加をさせる動きが報じられ、日本政府内にも影響をあたえている。ここで
屋上屋を重ねるつもりはないが、デジタル革命渦論が波及している証であり、蓄電池と電動機と
いう2つの要素技術の研究開発競争の激化し驚くべき早さで技術革新が進行し、同一性能を基準
にして、コストダウン、ダウンサイジング、ボーダーレス、シームレス、イレージング、エクス
パンションが実現されていうだろう。ここではそのことを踏まえ、❶リチウムイオン蓄電システ
ム(京セラ)の2件、❷セパレーター(王子製紙)の1件の計3件の特許公開事例を参考掲載し
今後の技術開発の指針を小考する。対応遅延(誤謬?)に
「ピンチに攻め上げる」姿勢で臨む他な
しであることを確認しておこう。



❏ 特開2017-118715 電力管理装置、電力管理システム、および電力管理方法

節電・省エネルギーに対する意識の高まりから電力管理装置(EMS:Energy Management System
が着目され、さまざまな領域で活用されてきている。ここで、商業施設などの高圧受電者に課さ
れる電力料金の一部(基本料金)は、例えば直近の1年間における最大のデマンドに応じ決定
される。デマンド値は、所定時限(デマンド時限)における需要電力量を、この時限の平均値で
ある最大需要電力値(デマンド値)に換算した値である。デマンド値が大きい程、基本料金が高
くなる
。したがって、電力料金を抑制するために、当月のデマンド値、または、過去11ヵ月の
最大のデマンド値を越えないようにデマンドカットが従来行われる。具体的には、予め設定され
た目標とする電力値(デマンド目標値)よりも予測デマンド値が大きい場合に、負荷機器の動作
を制御して、負荷機器の消費電力を低減することによって、実際のデマンド値がデマンド目標値
を超えないように制御
される。ところが、負荷機器の動作抑制にとして電力制御を実行するデマ
ンドカットは必ずしも適切でない――所要の常時動作負荷機器の電力制御を行うと不測の不具合、
あるいは、エアコンまたは照明装置などの電力制御の実行に伴う、需要家施設の快適性が損なわ
れる――可能性があり、デマンドカット手法の改善余地があった。このように、負荷機器に対す
る電力制御の実行を抑制しつつデマンドカット可能な電力管理装置、電力管理システム、および
電力管理方法を提供するにあたり、下図のように負荷制御装置17および蓄電装置14を備える
需要家施設における電力管理を行う電力管理装置18は、負荷制御装置17及び蓄電装置14と
通信可能な通信部22と、制御部25と、を備える。制御部25は、蓄電装置14の残量に係る
情報を蓄電装置14から取得し、現在時刻が属する時限以降の時限のうち予測需要電力量が第1
閾値を超過する予測時限と、予測時限における予測需要電力量のうち第1閾値を超過する予測超
過電力量と、を負荷制御装置17から取得し、蓄電装置14の残量と、予測時限と、予測超過電
力量と、に基づいて、負荷機器16に対する電力制御を決定する。
 


【符号の説明】

10    電力管理システム 11    分電盤 12    電力量計 13    最大需要電力計 14    蓄電装置
15    発電装置 16    負荷機器 17    負荷制御装置 18    電力管理装置 19    電力系統
20    ネットワーク 21    サーバ装置 22    通信部 23    表示部 24    記憶部 25    制御部

【図1】本発明の一実施形態に係る電力管理システムの概略構成を示すブロック図
【図2】図1の電力管理装置の概略構成を示すブロック図
【図3】電力管理装置の動作を示すフローチャート

【特許請求の範囲】

  1. 負荷機器に対する電力制御を行う負荷制御装置、および前記負荷機器に電力を供給可能な
    蓄電装置を備える需要家施設における電力管理を行う電力管理装置であって、前記負荷制
    御装置及び前記蓄電装置と通信可能な通信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記
    蓄電装置の残量に係る情報を前記蓄電装置から取得し、現在時刻が属する時限以降の時限
    のうち予測需要電力量が第1閾値を超過する予測時限と、前記予測時限における前記予測
    需要電力量のうち前記第1閾値を超過する予測超過電力量と、を前記負荷制御装置から取
    得し、前記蓄電装置の前記残量と、前記予測時限と、前記予測超過電力量と、に基づいて、
    前記負荷機器に対する電力制御を決定する、電力管理装置
  2. 請求項1に記載の電力管理装置であって、前記制御部は、前記負荷機器に対する電力制御
    を留保させる第1制御信号を前記負荷制御装置へ送信する、電力管理装置
  3. 請求項2に記載の電力管理装置であって、前記制御部は、前記予測超過電力量が、前記予
    測時限に前記蓄電装置からの放電を許可する上限電力量以下である場合、前記負荷機器に
    対する電力制御を前記予測時限の少なくとも一部に亘って留保させる前記第1制御信号を
    前記負荷制御装置へ送信する、電力管理装置
  4. 請求項3に記載の電力管理装置であって、前記制御部は、前記予測超過電力量が前記上限
    電力量以下である場合、前記予測時限において前記蓄電装置を定格出力で放電させるとき
    の放電電力量が前記予測超過電力量以上であるときに、前記第1制御信号を前記負荷制御
    装置へ送信する、電力管理装置
  5. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の電力管理装置であって、前記通信部は、ネットワー
    クを介した通信機能を有しており、前記制御部は、前記ネットワークを介して、時限毎の
    電力料金を示す情報を取得し、対象時限における電力料金が第2閾値以上である場合、前
    記対象時限において前記蓄電装置に充電よりも放電を優先させる第2制御信号を前記蓄電
    装置へ送信する、電力管理装置
  6. 請求項5に記載の電力管理装置であって、前記制御部は、前記対象時限における電力料金
    が前記第2閾値以上である場合、前記予測時限に前記蓄電装置からの放電を許可する上限
    電力量が前記蓄電装置の残量未満であるときに、前記第2制御信号を前記蓄電装置へ送信
    する、電力管理装置
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の電力管理装置であって、前記通信部は、前記需要家
    施設に備えられた発電装置と通信可能であり、且つ、ネットワークを介した通信機能を有
    しており、前記制御部は、前記ネットワークを介して、時限毎の電力料金を示す情報と、
    前記発電装置による発電電力の時限毎の売電料金を示す情報と、を取得し、  対象時限に
    おける売電料金が電力料金未満である場合、前記対象時限において、発電電力の売電より
    も前記需要家施設への供給を優先的に行わせる第3制御信号を前記発電装置へ出力する、
    電力管理装置
  8. 負荷機器に対する電力制御を行う負荷制御装置と、前記負荷機器に電力を供給可能な蓄電
    装置と、電力管理装置と、を備え、前記電力管理装置は、前記蓄電装置の残量に係る情報
    を前記蓄電装置から取得し、現在時刻が属する時限以降の時限のうち予測需要電力量が第
    1閾値を超過する予測時限と、前記予測時限における前記予測需要電力量のうち前記第1
    閾値を超過する予測超過電力量と、を前記負荷制御装置から取得し、前記蓄電装置の前記
    残量と、前記予測時限と、前記予測超過電力量と、に基づいて、前記負荷機器に対する電
    力制御を決定する、電力管理システム。
  9. 負荷機器に対する電力制御を行う負荷制御装置、および前記負荷機器に電力を供給可能な
    蓄電装置を備える需要家施設に設置される電力管理装置が実行する電力管理方法であって、
    前記電力管理装置が前記蓄電装置の残量に係る情報を前記蓄電装置から取得するステップ
    と、現在時刻が属する時限以降の時限のうち予測需要電力量が第1閾値を超過する予測時
    限と、前記予測時限における前記予測需要電力量のうち前記第1閾値を超過する予測超過
    電力量と、を前記負荷制御装置から取得するステップと、前記蓄電装置の前記残量と、前
    記予測時限と、前記予測超過電力量と、に基づいて、前記負荷機器に対する電力制御を決
    定するステップと、を含む電力管理方法。
     

❏ 特開2017-139953 管理システム、管理方法、制御装置及び蓄電池装置

複数の機器と、複数の機器を制御する制御装置とを有する電力管理システムが提案されている。
複数の
機器は、例えば、エアーコンディショナー、照明装置などの家電機器、及び、太陽電池、
蓄電池、燃料発
電装置などの分散電源である。制御装置は、例えば、HEMS(Home  Energy  M-
anagement  System)、SEMS(Store  Energy  Management  System)、BEMS(Building  Energy 
Management  System)、FEMS(Factory  Energy  Management  System)、CEMS(Cluster/Comm-
unity  Energy  Management  System)
などと称される。これらの管理システムの普及には、複数
の機器と制御装置との間のメッセージフォーマットを共通化することが効果的であり試みられて
いる。そこで、下図のように機器を適切に制御することを可能とする管理システム、管理方法、
制御装置及び蓄電装置を提供するにあたり、下図のように、EMS200は、蓄電池装置140
が対応するコード群を要求するコード群要求を蓄電池装置140に送信し、蓄電池装置140か
らのコード群応答に運転モード要求に対応するコードが含まれている場合に、運転モードの通知
を要求する要求メッセージを蓄電池装置140に送信し、蓄電池装置140は運転モードを指定
する応答メッセージをEMS200に送信する。

【符号の説明】

10…需要家、20…CEMS、30…変電所、31…配電線、40…スマートサーバ、50…
発電所、51…送電線、60…ネットワーク、100…エネルギー管理システム、110…分電
盤、120…負荷、130…PV装置、131…PV、132…PCS、140…蓄電池装置、
141…蓄電池、142…PCS、150…燃料電池装置、151…燃料電池、151A…改質
器、151B…セルスタック、152…PCS、153…ブロワ、154…脱硫器、155…着
火ヒータ、156…制御基板、160…貯湯装置、170…給湯装置、180、181、182
…電流計、200…EMS、210…受信部、220…送信部、230…制御部、
300、310、320…ユーザ端末

【図1】図1は、第1実施形態に係るエネルギー管理システム100を示す図

【図2】図2は、第1実施形態に係る需要家10を示す図
【図3】図3は、第1実施形態に係る燃料電池装置150を示す図
【図4】図4は、第1実施形態に係るネットワーク構成を示す図

【特許請求の範囲】

  1. 蓄電池装置と、前記蓄電池装置と所定プロトコルを用いて通信を行う制御装置とを有する
    管理システムであって、前記制御装置は、前記蓄電池装置に対して、前記蓄電池装置が対
    応するコード群を要求するコード群要求を送信し、前記蓄電池装置は、前記制御装置に対
    して、前記コード群要求に応じて、前記蓄電池装置が対応するコード群を応答するコード
    群応答を送信し、前記制御装置は、前記コード群応答に前記蓄電池装置の運転モードの通
    知を要求する運転モード要求に対応するコードが含まれている場合に、前記蓄電池装置に
    対して、前記蓄電池装置の運転モードの通知を要求する要求メッセージを送信し、前記蓄
    電池装置は、前記制御装置に対して、前記蓄電池装置の運転モードを指定する情報要素を
    含むメッセージとして、前記要求メッセージに対する応答メッセージを送信することを特
    徴とする管理システム
  2. 前記複数の運転モードは、前記蓄電池装置以外の分散電源と前記蓄電池装置が連携する運
    転モードを含むことを特徴とする請求項1に記載の管理システム
  3. 前記蓄電池以外の分散電源は、太陽電池であることを特徴とする請求項2に記載の管理シ
    ステム
  4. 前記運転モードは、前記蓄電池を充電するモード又は前記蓄電池を放電するモードである
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の管理システム
  5. 前記制御装置は、所定トリガーを検出した後に、前記コード群要求を前記蓄電池装置に送
    信し、前記所定トリガーは、前記蓄電池装置の初期設定を行うタイミング、停電から復旧
    したタイミング、前記蓄電池装置の電源が投入されたタイミング、前記制御装置の電源が
    投入されたタイミング、及び前記蓄電池装置の設定を確認する必要が生じたタイミングの
    少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の管
    理システム


❏ 特開2017-053075 多孔性を有する3層積層シート及びその製造方法、
            並びに3層積層シートからなる蓄電素子用セパレータ

電池、コンデンサー、キャパシターなどの蓄電素子用のセパレータには安全性、コンパクト化、
長寿命化等の観点から高度な性能が求められている。特にリチウム2次電池用のセパレータには
ハイブリッド自動車、電気自動車、高性能電池等の普及に伴い、セルサイズの大型化、電池の
総重量ダウンのための大幅なコンパクト化、大幅なコストダウン、さらには耐熱安全性の改良
に関して緊急な対応が求められている。このリチウム2次電池用のセパレータは、電解質を均一
に保持し、正極、負極の両面に密着して電極間を確実に絶縁するという基本機能が求められる。
また、他の機能として、電池の単位容量を上げるため40μm以下という薄層化と、高速組み立
てに耐える加工性、そして多回充放電に伴う金属デンドライトの発生による物理的損傷に耐える
強度、さらには極地の極低温、熱帯砂漠の極高温に耐える耐候性、寸法安定性も求められる。こ
の様な多くの機能を達成するには、単体、単層の構成では難しく、多層化や他種機能材との複合
化がされたセパレータが望ましい。

従来からこのリチウム2次電池用のセパレータとしてはハイポア(旭化成株式会社の商標)に代
表されるようなオレフィン系の多孔膜が使用されてきた。近年では、耐熱性の向上の必要から、
耐熱性に優れ、電気化学的に安定性のあるセルロース素材をセパレータ素材として利用する開発
研究がおこなわれている。このようなセルロース素材としては、特に超微細径をもつミクロフィ
ブリル化セルロース(MFC)を高圧ホモジナイザーによりさらに微細化を進めたナノセリッシ
(ダイセル商標)、酢酸菌の培養、分離、精製によって得られるバイオセルロース等のセルロ
ースナノファイバーの開発が行われている。以上のような超微細径をもつセルロース繊維から薄
層化したセパレータを得ようとすると下記のような2つの大きな問題がある。

  1. 微細径をもつセルロース繊維は水和性が巨大で、水素結合性が強力のためその水和状態のまま
    シート形成するといわゆるパーチメント化したフィルム状シートとなる。その結果、多孔構造は消滅
    し、もはやイオンの透過性はほとんどなくなる。
  2. セルロース分子の水酸基を疎水性官能基で置換したり、アルコール類による溶媒置換等により水
    素結合の形成をブロックして多孔構造を維持したままのシートを得ようとすると、自着性を喪失し
    必要なシート強度を維持することが出来ない。

これらの問題の解決手段としては、たとえば特許文献1、2及び3に提案されているように、水
素結合の度
合いを化学的にコントロールする試みがある。このような方法により連続的に薄層化
シートを製造しようと
すると、条件設定が難しくプロセスも複雑になるので、商業化生産に際し
ては著しく不利である。また、他
の手段としては、不織布を強度支持体として、多孔構造をもつ
超微細径セルロース繊維層と不織布を積層してシートを得る方法である。微細セルロース層を成
型する支持体として疎水性シートたとえば不織布を使用し、積層した状態で脱溶媒,乾燥を終っ
たのちに、その支持体不織布を剥離して取り除き、微細セルロースのみからなる薄層を得る方法
が提案されているが、支持体不織布を適切に選択して微細セルロース繊維層と不織布を積層一体
化した状態で利用するほうがより合理的と思われる。また、この一体化したシート方法は条件設
定もしやすくプロセスも比較的簡単で商業化しやすい利点があるが、反面セルロース繊維層にも
不織布にもある程度以上の厚さと目付が必要となり薄層化、超薄層化が難しい。特に不織布は少
なくとも15g/mを超えないとセルロース繊維層の乾燥収縮によりセルロース繊維層側に大きく
カールしてしまう。セルロース繊維層も単層のため10g/m以上でないとピンホールの発生を防
止するのが難しい。したがって積層体の目付も25g/m以上の厚いシートになり、厚さも100μ
m前後になって、リチウム2次電池用のセパレータとしては使用には難点がある。これらを踏ま
え、下図のようにシート強度性及び生産性並びに通気性に優れた3層積層体シート、及び商業的
に連続生産可能な製造方法及びその3層積層体シートからなる蓄積素子用セパレータの提供にあ
たり、熱可塑性の繊維を主たる構成成分とする不織布を中芯材Sとして、その上層及び下層とし
て微細径セルロース繊維を主たる構成成分とする多孔性繊維層P,Qを備えた3層積層シートに
おいて、ガーレ法で測定された3層積層シートの透気度が1,000秒/100ml以下であり、3層積層
シートの目付が2~155g/mの範囲に在り、3層積層シートの厚さが5~40μmの範囲にあ
り、不織布Sが、EVA,PE,PP,PET等から選ばれた連続フィラメントを構成成分とす
る3層積層シートとした。



【符号の説明】P,Q  多孔性繊維層 S  中芯不織布

【図1】本発明に係わる3層積層シートの代表的な構造を示す構成図
【図2A】比較例として示した2層積層状態の1例を示す模式図
【図2B】単に積層、接合した状態を示す3層積層の構成を示す模式図
【図2C】上下の多孔性繊維層が不織布層に噛みこんだ3層積層の構成を示す模式図
【図2D】上下の多孔性繊維層が相互に近接し薄層化が進行し3層積層の構成を示す模式図
【図3】不織布として4g/mとより薄く目開きの大きい材料を選択して積層・一体化した3
    層積層シートの例を示す模式図
【図5A】本発明に係わる3層積層シートの製造方法の一実施形態のフローを示す図
【図5B】本発明に係わる3層積層シートの製造方法の他の実施形態のフローを示す図
【図5C】本発明に係わる3層積層シートの製造方法の他の実施形態のフローを示す図
【図5D】本発明に係わる3層積層シートの製造方法の他の実施形態のフローを示す図

【特許請求の範囲】

  1. 熱可塑性の繊維を主たる構成成分とする不織布を中芯材として、その上層及び下層として
    細径セルロース繊維を主たる構成成分とする多孔性繊維層を備えた3層積層シートにおい
    て、 ガーレ法で測定された3層積層シートの透気度が1000秒/100ml以下であり、
    3層積層シートの目付が2g/m~15g/mの範囲に在り、3層積層シートの厚さが
    5μm~40μmの範囲にあり  前記不織布が、EVA,PE,PP,PET,EVA/
    PE,PE/PP,PP誘導体/PP,PE/PET,PET誘導体/PETのいずれか
    の連続フィラメントを構成成分とする3層積層シート
  2. 中芯材となる前記不織布が、繊度2デニール以下の熱可塑性合成繊維を少なくとも50%
    wt以上含み、目付が1g/m~10g/mの範囲に在り、厚さが2μm~40μmの
    範囲にある請求項1に記載された3層積層シート
  3. 中芯材となる前記不織布が、「繊維間目開き率」が50%以上である請求項2に記載され
    た3層積層シート
  4. 中芯材となる前記不織布が、スパンメルト不織布である請求項2又は3に記載された3層
    積層シート
  5. 中芯材となる前記不織布が、繊度1.7デニール以下、繊維長20mm以下のEVA,P
    E,PP,PET,EVA/PE,PE/PP,PP誘導体/PP,PE/PET,PE
    T誘導体/PETのいずれかの繊維を構成成分とする、湿式不織布である請求項2又は3
    に記載された3層積層シート
  6. 微細径セルロース繊維を主たる構成成分とする前記上層及び下層の多孔性繊維層それぞれ
    が目付が0.5g/m~5g/mの範囲に在り、 厚さが2μm~15μmの範囲にあ
    る請求項1~5のいずれか1項に記載された3層積層シート
  7. 前記多孔性繊維層が微細径セルロース繊維としてセルロースナノファイバーを少なくとも
    20wt%以上含有する請求項6に記載された3層積層シート
  8. 前記多孔性繊維層が微細径セルロース繊維としてセルロースナノファイバーとMFCの2
    成分を含有し、その合計含有量が少なくとも40wt%以上である請求項7に記載された
    3層積層シート
  9. 前記多孔性繊維層に平均粒径5.0μm以下の電気絶縁性のある無機物微粒子からなる多
    孔化促進剤を前記微細径セルロース繊維重量に対して10wt%~150wt%添加する
    請求項6~8のいずれか1項に記載された3層積層シート
  10.  前記上層の多孔性繊維層と前記下層の多孔性繊維層が不織布との接触面において、相互に
    前記不織布の繊維間空隙を貫通して、上層構成繊維と下層構成繊維が混和、接合状態にな
    り一体化されている請求項1~9のいずれか1項に記載された3層積層シート
  11. 前記上層の多孔性繊維層と前記下層の多孔性繊維層が易溶融性不織布との接触面において
    相互に前記不織布の繊維間空隙を貫通して、上層構成繊維と下層構成繊維が混和、融着、
    接合状態になり一体化されている請求項10に記載された3層積層シート
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の3層積層シートにより形成された蓄電素子用セパ
    レータ
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載された3層積層シートの製造方法であって、前記上
    層の多孔性繊維層を層P、前記下層の多孔性繊維層を層Q、前記不織布を布Sとしたとき、
    前記層P及び層Qを、あらかじめ準備された前記布Sの両面に重ね合わせ、重ね合わせた
    状態で圧着一体化する3層積層シートの製造方法
  14. 請求項13に記載された3層積層シートの製造方法であって、
    前記層Pと前記層Qのそれぞれの最表面を保護する役割の2枚の疎水性不織布をそれぞれ
    保護シートR1、R2としたとき、前記保護シートR1と前記層Pとの合体シートR1P、
    及び前記層Qと前記保護シートR2との合体シートQR2をそれぞれ成形し、前記合体シ
    ートR1P及び前記合体シートQR2を前記布Sの両面に前記保護シートR1,R2が外
    側にくるように重ね合わせて圧着一体化し  圧着一体化されたシートR1P/S/QR2
    から2枚の保護シートR1,R2を取り除き、3層積層シートP/S/Qを得る3層積層
    シートの製造方法
  15. 前記層Qあるいは前記層Pと、前記布Sとで、合体シートS/Qあるいは合体シートP/
    Sを成形し、前記層P、前記布S、前記層Qの順の層構成になるように、前記合体シート
    S/Qに層P、あるいは前記合成シートP/Sに前記層Qを重ね合わせて圧着一体化する、
    請求項13に記載された3層積層シートの製造方法
  16. 前記層Pと前記層Qのそれぞれの最表面を保護する役割の2枚の疎水性不織布をそれぞれ
    保護シートR1,R2としたとき、前記保護シートR1と前記層Pとの合体シートR1P、
    あるいは前記層Qと前記保護シートR2との合体シートQR2を成形し、 前記布Sと前
    記Q及び前記保護シートR2とで合体シートS/QR2を成形するか、あるいは前記布S
    と前記層P及び前記保護シートR1とで合体シートR1P/Sを成形し、前記合成シート
    R1P、前記布S、前記合成シートQR2の順の層構成になるように、前記合体シートS
    /QR2に前記合成シートR1P、あるいは前記合体シートR1P/Sに前記合成シート
    QR2を重ね合わせ圧着一体化し、圧着一体化されたシートR1P/S/QR2から2枚
    の保護シートR1,R2を取り除き、3層積層シートP/S/Qを得る請求項15に記載
    された3層積層シートの製造方法。
  17. 溶媒含有状態の前記層Qあるいは前記層Pと、前記布Sとで、前記合体シートS/Qある
    いはP/Sの成形が溶媒含有状態で行われ、前記層P、前記布S、前記層Q順の層構成に
    なるように、前記合体シートS/Qに層P、あるいは前記合体シートP/Sに層Qを重ね
    合わせ圧着一体化する工程が溶媒含有状態で行われ、圧着状態を経て脱溶媒、乾燥が行わ
    れる請求項15に記載された3層積層シートの製造方法。
  18. 前記合体シートR1PあるいはQR2の成形が溶媒含有状態で行われ、  布Sと、層Qあ
    るいは層P及び保護シートR2又は保護シートR1とで、前記合体シートS/QR2ある
    いはR1P/Sの成形が溶媒含有状態で行われ、前記合体シートS/QR2あるいはR1
    P/Sに前記合体シートR1PあるいはQR2を重ね合わせ圧着一体化する工程が溶媒含
    有状態で行われ、圧着状態を経て脱溶媒、乾燥が行われ、前記シートR1P/S/QR2
    から2枚の保護シートR1,R2を取り除き、3層積層シートP/S/Qを得る請求項15
    に記載された3層積層シートの製造方法。

                                        

  

    

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