極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

日本型不況の根治法

2011年02月25日 | 政策論



雨上がり 白梅の道 杖つき 強く老婆は 挨拶を返す  



【日本型不況の根治法】

「今後は内需が回復しないことを前提に行動しなければならない。問題はGDPの総額で世
界第3位に落ちたことではなく、1人当たりのGDPが30年前の水準に戻ってしまっているこ
とであり、これは企業が営業利益率の維持に腐心したり、利益を配当に割いたりする行動
などに原因がある。日本企業は不況後にコストカットによって営業利益率を維持しようと
したため付加価値を生み出す力が落ち、投資効率が下がって、新しいものを生み出せなく
なっている。
日本では上場企業の有配率が90%に達している一方、米国企業は30%にすぎ
ない。これは米国企業が利益を配当ではなく、将来に向けた投資に振り向けているためで
あるこれも日本企業の付加価値を生み出す力に悪い影響を与えている原因の1つだ」(EE
TIMES Japn
エコデバイスに不可欠なマイコン、何が求められているのか」)と指摘し
日本企業が復権するためには、新しい付加価値を生み出すことが必要であり、その上で、
20世紀初頭に当時世界で最も高い給与を支払ったフォードのように行動すべきだ。賃金な
どのコスト削減よりも、新しい付加価値の創出が優先すべき」と米倉誠一郎は提言する。

具体的に、新興国に車を売り込むのではなく、交通渋滞を解消する交通ソリューションの
売り込み、地下鉄に関する日本企業の多様な製品と技術、ノウハウ。新幹線の建設時、約
10年で世界銀行に借入金を全額返済した金融のノウハウの売り込み、新興国の発電・送電
インフラ不全による携帯電話機の充電用の小型太陽電池普及から太陽電池で動く家電の開
発を提案する。英米型金融資本主義の行き過ぎた密輸入で痛んでしまったのだから当然の
揺り戻し思考であることに変わりない。流れとはそんなものだが「日本型不況の根治法」
の1つには違いない。その開発売り込みのキーワードが「スマートシティ」であり、新技
術や新手法を利用してCO2の排出量を減らした地球環境に優しい未来都市構想でその世界
市場規模は、2020年は1250兆円→2030年には3000兆円(日本経済新聞による予測値)。ス
マートグリッド市場向け半導体に絞っても2020年に8兆円→2030年には56兆円の市場規模
に成長(IHS iSuppliの予想値)。※マイコン全体の世界市場は現在1兆円。家電、スマート
グリッド、照明のエコ&スマート市場のうち3つである。



家電製品の消費電力量は大きな順に、エアコンが25%、冷蔵庫が15%、照明器具が16%、
テレビが10%を占め、省エネラベリング制度などの基準達成が求められている。スマート
グリッドでは、通信ハードウエアや家庭内センサーネットワークなどを通じてCO2発生量
を10%~15%削減できるという。照明では、LED照明採用によりCO2削減が可能だとされる。
つまりは、もう賢明な読者ならお気づきのことと思うが「スマートシティ」「エコ&スマ
ート」とは『デジタル革命』そのもので「エネルギー」と「地球環境」との融合の顕れで
これは『デジタル革命』の6つの特徴-①シームレス、②ダウンサイジング、③ボーダレ
ス、④デフレーション、⑤イレージング・エフェクト(=技術の還元)つまり既成概念の
破壊(destruction of the established concept)、⑥<未体験ゾーン>の拡大-の第5則に該当す
る。ブログでも「いま政治が先行するべきは、この革命の行方を見定め、社会性を如何に
担保するかにかかっている。ちまちました利権、権威、虚栄保身時代ではない。折角の進
歩を確かなものにする諸施策だ」(『柘植にダウンサイジング』)と書いたが、これも日
本型不況の根治法の1つであるという思いに変わりはない。



さて、同上のパネルディシカッション記事で「すでにエコ&スマートを実現できる技術が
あることは分かった。では、マイコンをいかにうまく製品化し、低利益率から脱出するの
か」との米倉誠一郎の問いかけに各パネラー以下のように答えている。

(1)エアコンや冷蔵庫はコンプレッサを内蔵し、モーターで動作する。モーターのイン
バータ化は省エネに大変有効であり、国内ではほぼ100%インバータ化されている。国内
にはエアコンが1000万台出荷されており、消費電力は5340億kW時に達する。これは国内の
全消費電力の5%に達する。インバータ化の効果はCO2の排出量を500万トン削減している
ほどだ。だが、中国では7%しかインバーター化されておらず、米国やブラジルではほぼ
0%である。
(2)中国やインドにはASICを設計できる技術者がまだあまりいない。そのため汎用マイ
コンを提供する。中国やインドの顧客は低コストなシステムを求めているが、長期的に見
るとスマートグリッドを目指している。目先の製品と将来の製品をよく吟味して、機能と
コストのバランスを取りつつ製品を展開したい。



(3)中国は経済成長率が高く、自国内で電力が賄えない可能性があり、インフラ立ち上
げや化石燃料の要望もあるだろう。インドでは発電した電力の30%~40%が電力会社の管
理を離れて失われている。つまり、地域によってスマートグリッドに求められるものが異
なっており、マイコンの使われ方も違うだろう。
(4)YouTubeの1日当たりの動画再生数は全世界で1億本を超えており、日本国内ではヤ
フーが1カ月に30億ページビュー以上を得ている。IC自体のコストよりもサービス提供に
必要な電力料金の方が支配的である。そこで、マイコンを使った電力コスト削減に意味が
出てくる。例えばGoogleのデータセンターの消費電力のうち30%が冷却装置向けだ。マイ
コンをセンサーネットワークと結んで、熱を発生している所だけ冷却するようにすれば消
費電力を削減できる。
(5)
日本国内では1戸当たり約100個のマイコンが利用されているが、今後はマイコンが
多数のセンサとネットワークを形成しより快適な暮らしをサポートする
。このような流れ
が世界的に展開する(
センサと結びつくマイコンは応答性が高いことが電力の制御に重要。
マイコン内の動的消費電力と静的消費電力のバランスを用途ごとに最適化→自律的センサ
でネットワークを形成させることで、付加価値が生まれる)。クラウドに全ての処理を任
せるのではなく、セキュリティ機能を備えたマイコン側でデータ処理を施す必要が生まれ
てくる。

尚、(5)は
富士通の大須賀吉彦講演要約を付則。

ところで、米倉誠一郎の主張には、「もう国内は期待できないからマスゾーンに売り込め」
と旗振りしているように見えながら(新自由主義で痛んでしまった民間など組織の)研究
開発に投資してこ入れしろと主張するがこれは少々誤解を与える。開発企画、開発研究を
狭く捉えているが、「内需」=「公共」≠「開発」→「内需」=「公共」=「開発」とい
うスマート・ブレイン(柔軟思考)を通して考えれば、「医療」「福祉」「安心」「長寿」
「少子」「バリアフリー」などのカテゴリの逆光から見えてくるものは「ビック・ビジネ
ス」のシーズであり「未来づくり」(アラン・ケイ)であるはずだ。老婆心までに付け加
えておく。





中国南西部で、節足動物の祖先にあたる約5億年前の未知の生物の化石が見つかったと、
中国の研究チームが23日の英科学誌ネイチャーに発表した。研究者らは「歩くサボテン」
と呼んでおり、カニやクモなどの節足動物の進化の謎に光を当てる発見だとしている(
2月24日 AFP)。体長は約6センチで、細くて柔らかいミミズのような胴体にとげ状の突起
のある10組の脚が生えており、これまで知られているなかでは現在の節足動物に最も近い
生物だとみられるという。この発見は、節足動物の祖先にあたる生物は胴体より先に脚が
堅い外骨格で覆われたという理論
を支持するという。こういった話題は化石採取で山に出
かけた経験から親和する。大らかな時空を背景とした微細な考察や洞察はわたしの性格の
一部をなしている。そいえば、近くの白梅林の帰り、ご近所の独居婦人に後ろから挨拶を
かけたところ、杖のにグゥ~っと重力が掛かると同時に、曲がった背中をこちらに反転さ
せながら下斜めからこちらを仰ぎ見るように老眼鏡の顔をのぞかせ挨拶を交わした。時間
にすればものの数秒だがスローモーションビデオで観察しているようで面白いと感じ、そ
れを歌に書き留めた。








 

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