GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

ワカコ酒8巻 お一人様の楽しみ

2017-02-03 16:34:24 | BOOK/COMICS
新久千映さんの「ワカコ酒」最新刊8巻が出た。
アニメ化や武田梨奈主演で実写ドラマ化もされた、人気の女子一人呑み漫画だ。

昔は一人で飲んでると言えば近所の小料理屋やスナックのおっさんってイメージだったが、最近では居酒屋をはじめバルとか立ち飲みでも、女子お一人様も多い。
この漫画の主人公も独身OL(26歳)で、夜な夜な一人呑みを楽しむ。そこらのグルメ漫画のように、レシピや店紹介の漫画ではないのも良い。
俺は男だが内容も「あるある」とか共感でき、料理やお酒も美味しそうに描かれてて「うーん、これ食いてえ」と思ってしまう。この漫画はかなり気に入ってて、単行本(コミックス)以外にもタブレットにDRして入れてる。

俺も最近は一人で飲みに行くことが多くなった。
友達が減ったとか、仕事仲間に嫌われてるとかではない(と思う)。

「パワハラ」とか「アルハラ」なんて言われるご時世では、仕事関係を誘うのも気がひける。
ツレとじっくり飲むのは好きだが、東京タラレバ娘じゃあるまいし、この歳になると友達とはそんなにしょっちゅう飲みに行かない。
全国各地に仕事や講師で呼ばれ、講習後に接待で地元の隠れ家みたいなお店に連れて行かれて飲むのも嫌いじゃないが、気を使う。みんなでワイワイ飲むのは嫌いではないんだが、飲むのは一人か少人数に限る。女の子と二人きりで飲むのは好きだが、最近はご無沙汰だ(悲)

ひとり呑みも悪くない。
最近では「おひとり様」とか「ボッチメシ」とか「孤食」などと言われてるらしいが、お一人様ほど楽なのはない。

店選びも楽だ。
誰かと一緒に行くと「何食べたい?」とか「何飲む?」などを聞きかなければならないし、またそれに合わせて店をチョイスしなければいけない。
その点「さぁ今日は何を食べようか」とか「何を飲もうかなぁ」とぶらぶら歩きながら決めれる。
一人飲みは常連になってる店に行くのもいいのだが、新規開拓も楽しい。
「この店良さげだなぁ」とか、「暖簾から“美味いオーラ”が出てるぞ」とか、など、【孤独のグルメ】の井之頭五郎のように呟きながら探すのも楽しみだ。

お店の前に出してる看板やメニュー一覧を眺めるだけでも楽しい。
「ここは産地直送の魚介をウリにしてる店かぁ」(地酒と刺身で一杯も悪くないね)
「なんだ?この“地獄焼き”ってのは」(失敗はしたくないが冒険も大事だ)
「アンコウ鍋かぁ、残念2人前〜か」(さすがに一人じゃ2人前食えねぇよ)
ダンジョンに迷い込んだように
「どうしよう」「どこにしよう」「さっきの店でいいか」「いやこの先にいい店が待ってるかもしれない」と悩むのも楽しい。

オーダーも気楽だ。
「とりあえずビールでいいな」と決めつけられる事もない。
生ビールから始めるのに異論はないが、ビールに合う「唐揚げ」とか「焼き鳥」とかって時間かかるのよ。かといってすぐ出てくる「一品モノ」って、枝豆以外はほぼ日本酒や焼酎に合うモノなのよね。とりあえずと適当に頼まれた塩辛や土手焼きを肴にしながら「これは早々と日本酒にチェンジだな」と思いつつビールを飲む。しかし結局、唐揚げとかが出てきてしまうと「これには日本酒よりビールだな」と二杯目のビールを頼むハメになってしまうのよ。下手すりゃまだ一杯目を飲み終わってないのに、相方がペース早い(喉渇いてたんか?)と、一緒に俺の分の生ビール二杯目を頼まれてしまってたりする。

その点お一人様は、何を飲むか、何を肴にするか、組み立てはどうするかなどを、じっくり考えることができる。
壁のお品書きや黒板の本日のおすすめなんかを眺める。「当店自慢のカツオの塩たたき」と書かれた気合メニューや、「人気No.1!たらの白子ホイル焼き」など見つけるとそれで組み合わせを考える。「今日は焼酎のロックからだな」とすぐ決めれる時もあれば、「うーん困った、鮎の塩焼きにはビールだが、鯵のなめろうには日本酒のひやだな」とチョイスやオーダー順を考え悩む時もある。それも楽しい。

飲み物メニューをじっくり見るのも楽しい。「地酒はこんなのまで置いてるのか」とか「あれ?この焼酎は知らないなぁ」とか。
日本酒や焼酎は定番しかないが、チューハイやソフトドリンクメニューが結構充実してるところは「ここは料理に力入れてるのかな」とか考えたりね。【返し】や【ホッピー】(しかもちゃんとナカ・ソトもちゃんと記載してる)があるところは「ここは結構古くからある店なのか」などと、時間と相手を気にせずじっくり選べれる。

そして出たい時に出れる。
一人飲みなら、居酒屋で適当に食べながら飲んでる最中に、無性に「パスタが食いたい」とか「寿司が喰いてぇな」ってなった時すぐ出れる。誰かと一緒に飲んでると相手が飲み終わるか食べ終わるまで待たなければいけない。一区切りつくまで待ってるのに「追加でホッケ」とオーダーされてたり、「締めは焼きおにぎりでいい?」などとなると断りきれない。一人飲みはいつでも自由だ。

ハズレの店に入った時でもすぐ出れる。
店構えもメニューも良さげだからって入ったのに、店員の態度がめっちゃ悪いとか、常連がうるさいとか、店主がやたら偉そうとか、気に入らなければそのまま出ることもできる。
お目当のメニューが品切れだとか、黒板の本日おすすめメニューがほとんどバツがついてるとか、不味いとか(これ肝心ね)でも、ビール1杯だけ飲んですぐ退散することもできる。

一人飲みって毎回が冒険。最初にドアを開ける時に勝負は始まってる(何と勝負してるのかは知らないが)。
常連さんの凍てつく目が向けられたりするが、気にしない。どうせ他の常連が来たのかと勘違いしたとか、「ここに一人で来るとはこいつはどんなやつだ?」と思ってるくらいだ。(先日は「殺し屋が入ってきた」と言われたが・・・)こっちだって客だ。常連にビビる事はない。ただ、店主が常連とばっかり話し込んでるような店はさっさと出よう。

カウンターが空いてるとラッキー、満員だったら諦めて出る。
ちなみに一人でも二人ででも、初めて行った店でガラガラに席が空いてるのに変な場所の席に通すような店は、ダメな店の典型だ。来るか来ないかわからない4人客、常連客のために、新規の客をぞんざいに扱うような店は、何も頼まずとっとと帰ったほうがいい。

当たりの店だった時は嬉しい。
料理も酒も美味しい。雰囲気がいい。店主や女将の気遣いがいい。常連もさりげなく言葉をかけてくれる。(一人だと寂しいだろうと勘違いされてベラベラ喋りかけられると鬱陶しいが)
「この時間には無いんだけど早い時間ならあるよ」とか「夏頃なら何々(酒銘柄や料理名)は入荷してるよ」なんて言われると、「また来なくっちゃ」って思う。
いい店は「今度誰か連れて来よう」でもいいし、「ここは密かな隠れ家として愛用しよう」でもいい。

そんなわけで最近は一人飲みが結構好きだ。
決して飲み友達がいない訳ではない。



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