日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 年末に予定されているといわれる福田首相の訪中を控えて、中国が台湾問題でにわかにピリピリし始めました。

 日中首脳会談では経済・環境・エネルギー問題などが議題となるそうですが、中国側としてはそんなことより、むしろ
「台湾」についてより一歩踏み込むよう日本側に対して強く求めてくるかも知れません。

 「経済・環境・エネルギー」については基本的に「共同文書を勝手に一部削除」の日中ハイレベル経済対話を追認する形になるのではないかと思います。焦点があるとすればその「削除」部分の人民元切り上げと環境問題への中国の取り組みにについてですが、中国側は「削除」という形で反発を示しただけに、日本側の「共同文書」の線まで持ち込めるかどうかは疑問。

 加えて世界銀行がロバート・ゼーリック総裁の訪中に合わせるかのように「世界経済統計」を発表、購買力平価(PPP)ベースでのGDPにおいて、中国は市場為替レートでの統計に比べてGDPが40%も少ない数値となったとのこと。人民元切り上げ慎重論を主張する中国にとっては追い風となりそうです。逆に農産物対日輸出問題などで日本が切り込まれるかも知れません。いまは福田首相が余計な御祝儀を持っていかないよう祈るばかりです。

 ●中国GDP、購買力ベース統計で40%減でも(Record China 2007/12/19/11:50)
 http://www.recordchina.co.jp/group/g13804.html

 ●世銀総裁が北京に御祝儀(蘋果日報 2007/12/19)
 http://www1.appledaily.atnext.com/

 ●日本の対中投資27%減…1~11月、税制・労働環境が悪化(FujiSankei Business i. 2007/12/17)
 http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200712170031a.nwc

 ●中国野菜、輸入3割弱減 安全性への懸念広がる(共同通信 2007/12/17/21:15)
 http://www.47news.jp/CN/200712/CN2007121701000590.html

 ――――

 で、中国がむしろ気にしているのは台湾問題ではないかという話。まずは来春に行われる台湾次期総統選挙に向けて与党・民進党(台湾独立派)が押し立てた候補者の謝長廷・元行政院長(首相)が12月16日に来日。李登輝・台湾前総統と同じく京都大学に留学経験のある知日派で、来日してからも日本語でスピーチを行ったりしています。

 ●台湾・総統候補の謝氏、日台関係強化に意欲 来日講演で(asahi.com 2007/12/16/21:48)
 http://www.asahi.com/international/update/1216/TKY200712160143.html

 ●台湾与党総統候補の謝氏、陳路線を継承・京大で講演(NIKKEI NET 2007/12/17/07:03)
 http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M1600C%2016122007&g=G1&d=20071217

 ●外国特派員協会で講演 台湾総統候補の謝長廷氏(MSN産経ニュース 2007/12/18/18:41)
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/071218/chn0712181841001-n1.htm

 ●台湾:総統選は安全保障など争点 与党・民進党の謝候補(毎日新聞 2007/12/18/19:47)
 http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20071219k0000m030071000c.html

 日本での一連の講演において謝氏は、

「台湾は事実上、主権独立国家である」

 としたほか、中国国内メディアの報道によると、

「私たちはすでに中国人ではない。正真正銘の台湾人だ」
「『一つの中国』は断じて受け入れられない」

 と語ったとしています。少なくとも
中国側はそう受け止めているということです。また日本の政治家と会見するなど、日本との関係強化に積極的であることにも中国としては神経質にならざるを得ないでしょう。

 ●「人民網」(2007/12/17/12:57)
 http://tw.people.com.cn/GB/14812/14875/6663622.html

 ●「環球網」(2007/12/18/18:54)
 http://taiwan.huanqiu.com/news/2007-12/36538.html

 ――――

 この「政治家との会見」について、見落としもあるので日本側で報道されたかどうか私はわかりませんが、中国側が無視できないであろうニュースがひとつありました。謝長廷氏が京都滞在中の16日夜、その
宿泊先を麻生太郎・元外相が密かに訪れて約40分間にわたり密談を行ったというものです。

 謝氏は
「プライベートのことだから」と具体的なコメントは避けましたが、「密会」自体は否定していません。このニュースは台湾では大きく報じられ、中国国内メディアもそれを転載する形でニュースにしています(上の「環球網」の記事など)。

 ●中央通信(2007/12/17/15:29)
 http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/071217/5/q33r.html

 ●東森新聞網(2007/12/18/00:17)
 http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/071218/17/q46l.html

 ●TVBS(2007/12/18/07:27)
 http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/071218/8/q4me.html

 麻生・元外相はいうまでもなく小泉政権下ではさりげなく中国を挑発するなどしたファンタジスタ。安倍政権下では
「自由と繁栄の弧」「価値観外交」を推進した中国にとっては全くもって目障りな人物です。しかも自民党総統選に立候補するなど将来の宰相とも目される現役の大物政治家。その言行から「親台派」としても知られており、この「未来の日台首脳会談」に中国はピリピリしない訳にはいきません。

 ちなみにローゼン麻生閣下の外相時代における華麗なるパフォーマンスの数々はこちらで御堪能下さい。楽しめます。

 ●ファンタジスタ。・上(2005/11/04)
 ●ファンタジスタ。・下(2005/11/04)
 ●ファンタジスタはボール持ち過ぎ?それともやっぱり政争の香り?(2005/11/14)
 ●外相の妄言?なぁに、かえって免疫力がつく。(2006/02/06)
 ●ほーら外交部が電波モードに。やっぱ制服組でしょ。・下(2006/03/12)
 ●ファンタジスタが新ネタ連発、そしていよいよ神光臨か?(2006/03/16)

 ――――

 そして、日本からの最大のピリピリが最後にやってきました。これですね。


 ●海自イージス艦、SM3発射=ミサイル迎撃試験成功-ハワイ沖(時事ドットコム 2007/12/18/09:06)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007121800120

 防衛省は18日、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」(基準排水量7200トン)がハワイ沖で17日午後(日本時間18日午前)、弾道ミサイルを撃ち落とす海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の発射試験を実施、迎撃に成功したと発表した。SM3の搭載、発射は米国以外では初めて。

 SM3は、発射された弾道ミサイルを大気圏外で迎撃。日本のミサイル防衛(MD)の要となり、防衛省はSM3が撃ち漏らした際に地上で迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)とともに、配備を進めており、来年度以降、3隻のイージス艦に毎年1隻ずつ搭載する。




 解説はこちらを。

 ●MD発射成功 弾道ミサイルの脅威へ対抗(MSN産経ニュース 2007/12/18/23:31)
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071218/plc0712182331014-n1.htm

 さて、これでなぜ中国がピリピリするかというと、台湾有事に大きく影響しかねないからです。中国による台湾武力侵攻に際して中国はまず台湾に対するミサイル飽和攻撃を第一撃として想定しているとされています。ところが日米は台湾有事への介入を日米安保「2プラス2」で表明。仮にそうなったとき、このMDを使われると中国としては台湾占領作戦が出だしから狂いかねません。

 今回のMD発射実験について中国がただなならぬ関心を示していたのは、事前から関連報道を行い、前日にも改めて報じ、さらに実験成功のニュースを新華社と中国新聞社が速報したことからもうかがえます。私は零戦ファンではありますが軍事には素人です。ミサイル迎撃システムなのですからあくまでも防衛戦力だというのに、中国がそれを警戒し脅威と捉え、軍拡の口実にする理由が理解できません。日本にミサイルをぶち込むシナリオでもあるのでしょうか(笑)。

 ともあれ台湾。日本のミサイル迎撃実験成功に対しては、中国外交部も即座に報道官談話を発表しています。例によって記者の質問に報道官が答えるという形式なのですが、

「日本がミサイル迎撃実験に成功したことは台湾海峡情勢にとって脅威となるものか?」

 と「記者」はいきなりピンポイント(笑)。これに対し秦剛・副報道局長は、

「日本の動きがこの地区の平和的安定に寄与するよう望む」
「台湾問題は中国の内政であり、中国は他国がいかなる形であろうと台湾の一件に介入することに反対する」

 とお決まりのコメントで返しています。ともあれMDでまず気になるのは台湾問題への影響(あと日米同盟の強化)だということがよくわかりますね。

 ●「新華網」(2007/12/18/19:00)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-12/18/content_7275149.htm

 ――――

 とはいえ、報道官談話は「お決まりのコメント」であって、基本的には日本のMD実験成功をことさらに騒ぎ立てることなく、抑制された印象です。これが胡錦涛政権のスタンス(建前)といったところかと思います。福田首相訪中に際して融和ムードを乱すまい、といったところでしょう。

 もっともより仔細にみると、MDによって台湾問題への影響を受けるのは胡錦涛政権ではなく、軍事的恫喝や侵攻作戦を実施する立場にある軍部、ということになるでしょう。

 実はこの軍部筋がMD実験成功を受けてことさらに騒ぎ立て始めているのです。

 ●日米のMD合作は「平和」憲法が禁ずる集団的自衛権に違反している(新華網 2007/12/18/16:13)
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-12/18/content_7273966.htm

 ●日米共同MD実験は東アジアの戦略的バランス安定に対する新たな脅威だ(新華網 2007/12/18/21:51)
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-12/18/content_7276474.htm

 集団的自衛権は単に日本政府による憲法解釈の問題であって、別に「違憲」ではないと思うのですが。……ということは相手も先刻ご承知なのでしょうが、この世の中は往々にして大声を出した方が勝つものです。むろん、対内的な宣伝工作でもあるでしょう。

 それからこれは軍部の意向なのか、あるいは胡錦涛政権の本音を流すよう指令されたものなのかはわかりませんが、外交部の代わりに香港の親中紙がやはり脅威だ脅威だと騒いでいます。これに親中紙ではないものの『明報』も足並みを揃えています。MD実験成功は香港各紙が報じてはいますが、これを「脅威だ脅威だ」と騒いでいるのは親中紙を除けば明報だけです。恥を知れ。

 ●日本艦のMD実験、狙いは台湾海峡?(大公網 2007/12/18)
 http://www.takungpao.com/news/07/12/18/YM-838984.htm

 ●日本艦がMD実験に成功(明報 2007/12/19)
 http://hk.news.yahoo.com/071218/12/2lkk1.html

 ●ミサイル防衛の名を借りて台湾問題に介入の恐れ 東アジアの戦力的平衡を崩す(明報 2007/12/19)
 http://hk.news.yahoo.com/071218/12/2lkk2.html

 ●日本がMD実験に成功(香港文匯報 2007/12/19)
 http://paper.wenweipo.com/2007/12/19/GJ0712190003.htm

 ●日米のミサイル迎撃システム強化はアジアのバランスを崩す(大公報 2007/12/19)
 http://www.takungpao.com/news/07/12/19/YM-839209.htm

 ●日本のMD実験は中国・北朝鮮への牽制(大公報 2007/12/19)
 http://www.takungpao.com/news/07/12/19/YM-839210.htm

 ――――

 とりあえずいえることは、福田首相訪中に際して神経質になった軍部が胡錦涛政権にあれこれ口出しをしてくるかも知れない、ということです。毎度毎度のことではありますが、台湾問題について中国の主張に同調するよう求めてくるのはお約束として、その姿勢がより強いものになるかも知れません。なるかどうかは胡錦涛の指導力次第でしょう。

 日本としてはこれまで公式文書で再三表明しているように、台湾に対する立場は「日中共同声明」に依拠している、ということになります。露骨にいえば、

「中国側が『台湾は中国の一部』と主張しているのは承知しているが、日本はそれを正式には承認しない」

 というものです。

 今月(12月)初めの高村外相訪中時にも日本側はこの立場を改めて表明しています。ただ台湾問題に対する中国のピリピリ感は当時に比べてかなり高まっているものと思われます。福田首相にはこれまで通り、

 ●日本側の立場は『日中共同声明』にある通りだ。
 ●台湾海峡をはさむ双方のいずれもが一方的に現状を改変しようとすることに反対する(=中国が動くのもダメ)。
 ●台湾独立を支持しない(=反対もしない)。

 という姿勢を明確に示してもらいたいところです。




コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (take)
2007-12-19 20:44:47
米国は台湾の軍事力強化に力を入れるようですね
中国に対し日本は盾
台湾が矛になれば面白いのですがw
しかし、ロシアと言い中国と言い防御システムが脅威だと良く言えますね
こっちは9条なんて持ってるから1兆円以上も出してミサイル防衛しなきゃいけないのに・・・
 
 
 
Unknown ()
2007-12-19 20:58:05
>>日米のMD合作は「平和」憲法が禁ずる集団的自衛権に違反している。
→中共に日本の憲法解釈なんかしてもらわないで結構!
さっそく人民日報東京版の【朝日る新聞】や【テレビ朝日る】がそういうキャンペーンを展開するのでしょうね。
これは生存権の問題。憲法違反の筈がありません。
 
 
 
年末同じ時期に北京入り (dongze)
2007-12-19 21:39:35
御家人さん、
LiVE、でフックダの活動を見てきます。
 
 
 
Unknown (一読者)
2007-12-19 22:41:21
いつも楽しく読ませて頂いています。
>МD
俺様(中共)の言うこときかないとミサイル撃ち込むぞ。うら~。
という手が使えなくなるのが悔しいのかと思います。

日本の対空対艦対潜能力を破れるほど現中国空軍海軍は強くないので、これでしばらくは軍事ハード面では日本が優位に立てるかと思います。

ここで言うのも恥ずかしいことですが、中共の連中は自分より弱いと思うとつけ上がりますから。
 
 
 
無題 (名無し)
2007-12-20 07:45:37
日韓基本条約   第三条
 大韓民国政府は、国際連合総会決議第一九五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。

韓国を中国、北朝鮮を台湾に変えるとおもしろいものが見えます。

北朝鮮との国交回復とか、朝鮮総連の扱いをみていると、条約に記載していても、状況が変われば簡単に無視されるという日本政府の状況がわかります。

日中間の条約ではここまで踏み込んだ表現はありませんから、利権問題次第では中共がいつでも切り捨てられるような気がします。

 
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