日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 四川大震災、前回に引き続き四川省成都市在住のAさんからの現地ルポと、それに対する私のレスというメールのやりとりを紹介します。

 いずれも長文で誠に申し訳ありませんが、今回は中国国内メディアの報道ぶりに対する感想や「中国人とは」という深い部分までAさんの考察が及んでいて、現地滞在者でないと実感として湧かない部分、また日本メディアが報じていない一面などもあり、なかなか興味深い内容となっています。



●Aさん(2008/05/14/02:18送信)


 御家人さん:

 メール有難うございます。先ほど、御家人さんのブログで記事がUPされてるのを見ましたけども、まだ見ていません。というのも、以前お伝えしたように、大学の回線があまりにも遅く、表示まで時間がかかるのです(地震の影響ではないと思われます)。

 今回の件、色々感じる事が多く、また同時に日本人の防災への考え方も同時に考えました。地震国生まれあることのほかに、自分のことを話せば、実は私は大学時代の専攻が地学で、こうした地震への備えというのも一つ科目としてあったので、当然と思ってる部分が、こちらの方々にとってはそうでもなかったりするわけです。

 そんなこともあり、今日また色々感じた事があります。多分、普通の新聞では報じられていないことかもしれません。今回の件、感じた事はなるべく御家人さんにお伝えしようかなと思っています。ここで感じた事など共有できればと思っています(少々不謹慎な言葉もあるかもしれません)。

 先ほどYahoo! JAPANを見ていましたら、9千人もの方が生き埋めという文字をみて、本当に吃驚しています。私たちの大学は比較的被害が少なかった地域でしょうから、60kmほど離れた都江堰やその先でそんなことが起きているというのが、なんとも…。

 現段階で、死者1万人は越えているとこちらのニュースでも報じています。

 なお、一般の電話はOKですが、ケータイは未だにつながり難い状況が続いています。


 ■現地で気付く事

 大学は今日、明日と全面臨時休講となりました。昨夜は殆どの学生に屋外で寝るように指示が出されていた模様ですが、その避難勧告も今日は一部で解除されました。解除されていない学生は、今日も屋外で寝ています。私のアパートからグランドやテニスコートが見えるのですが、屋根の下で寝ている学生が見受けられます。

 いま、成都は弱い雨が朝からずっと降っています。気温も、5月にしては寒いほどです。成都でこれですから、被災地の都江堰などはもっとひどいのではないでしょうか。
 
 ネットカフェの情報をお伝えしたということは、まぁ、私もネットカフェに行っていたことを意味するのですが、ネットゲームに興じる馬鹿は山の様に居て、今日は空席待ちをするほどの混み様でした。殆どがネットか動画を見てる感じですよ。学内は地震で外に出ていろというだけで、する事の無い学生にはネットくらいしかやる事がないのかもしれません。まぁ、私もそうですけど。

 まぁでも学内は非常に緊張感は薄いように感じます。被害が出なかったというのは幸いで有りますが、それとは別に、何か他人事というか、感じていないというか、「え、かんけーねーじゃん」というような雰囲気が蔓延しています。それについては下記別項にまとめます。

 学外にはあまり出ていないので、外の状況は分りませんが、学外に住んでいる中国人日本語教師の話によれば、成都市内でも家屋の倒壊がけっこうあるようです。というのも、最近の建物はまぁまぁ良いらしいのですが、昔の建物など、耐震など考えていないからでしょう。先にも書きましたが成都は「地震が無い」と信じられてきたのですから。

 1年位前、こちらで、ビルを壊すところを目撃したことがあるのですが、貧弱というか、ただ煉瓦を積み上げてセメントで固めただけと見受けられます。それもただやってるだけなので、仕事は雑。耐震云々のこともそうですが、そもそも家をまともに作るという部分からも議論の余地がありそうです。なお、そこで壊されたビルで使われていた煉瓦を、どっかの業者がどっかに運んでいきました。つまりどっかで再利用ということでしょう。

 地震情報に関して言えば、圧倒的に足りないものを感じますね。それは、防災情報。

 日本でこのような地震が起これば(日本の報道は得てしてやや過剰、過剰演出という傾向がありますけども)、気象庁の予報官などが現状、原因、これからの予測を解説しますよね。地震国として、または、物事を正確に伝えるという一種の真面目さがあると思うんです。これは私たちは十分にその利益を得ているし、デマやなにかが少ないのもこういうところにあるし、誇れる事の一つだと思います。

 反面、こちらは、後述するように、温家宝の動きを追ってみたり、病院が云々、という事ばかりで、では大半の生き残った人たちは今後どうすべきなのか、あるいは二次災害を防ぐにはどうしたらいいのか、という観点が全く欠けています。

 多少、国家地震局の人のコメントが紹介されていましたが、全体の放送時間に比べればかなり少ないですし、インパクトもありません。そもそも人民の間にそうした科学的考察が浸透しているとは思えません。そういう情報を出したところで、人民が有用に情報を使えるかどうかは別ですが。

 色んな人と話をしていると、一番現実的に行動しているのは私を含めた日本人のようです。性格というのもあるでしょうけど、経験があります。アメリカ人やオーストラリア人の隣人は、大丈夫か?という会話をお互いするものの、ではどうしたらいいのだろう、次に気をつけるべきことは?ということには意外と考えが行かないようです。中国人には、お前は色々経験があるだろうからなぁ、と、変な意味で羨望の眼差しで見られます。

 話題はそれますが、今月末、外国人講師による特別授業があるのですが、「地震と防災」というテーマで話そうかといまテーマ変更を申し出ています(以前のテーマは「日本の鉄道」でした)。私自身、中国や中国人の考え方は嫌悪していますが、それとは別に、人として伝えなければという思い、地学を学んだものとしての思いからの行動です(地学の存在意義の一つは、防災とその喚起にあると考えます)。

 私自身のほんとうの専攻はやや違うのですが、知識がないわけではないですし、どうしたらいいか分らないという回りの中国人になにか伝えられるだけのものはあると思っています。

 おっと、いまも余震。いまのは小さいですね。

 話が変な方向に行きますけど、日本も今回の地震、他人事と思ってはいけませんね。日本で危なくないところは余り無いはずですから。日々備えておく、地震の際の場所の確認などは最低限やっておかなければと思われます。

> 現地情報や気付いたこと、「このあたりは日本とは違うな」など、関連情報は貴
> 重ですので御遠慮なく情報発信をお願いします。日本にいる者にとっては、身の
> 回りのことについてのルポだけで、十分に価値ある情報になります。例えば以前
> のメールにありましたが、地震当日にネットカフェでネトゲに興じているガキが
> いた、ということ自体、断片とはいえ現場の雰囲気の一端をうかがわせる貴重な
> ニュースです。m(__)m
>
> それから当方からの質問なのですが、現地の在留邦人の情報収集は何に頼ってい
> るのでしょうか?ネットにつないで日本のニュースサイトなども閲覧できるので
> あれば理想的なのですが,何か不自由な点があれば当ブログにて日本側のまとめ
> 的報道を紹介できればと思います。

 私の意見を言えば、殆どがネットと思われます。日本のYahoo! JAPANなどです。あと、余震情報が現地在住者には必要な事かな、と思います。今も書いたようにCCTVや地元TV局が当てにならないので。

 今日は地元TVは一日中地震の事をつたえ、CCTV INTERNATIONALでも一部特別番組が組まれましたが、正直言うと、本当に必要な情報は無かったと言えると思います。というのは、

  ●温家宝首相が現場入りして陣頭指揮
  ●温家宝首相が被災者を激励
  ●成都市内、天府広場などで一夜を過ごした人民にインタビュー(「寒いですか?」など)
  ●病院に運び込まれる人、手当ての様子をレポート
  ●成都市内で、献血に参じる成都人民の様子

 などばかりです。

 これはどう解釈すべきか難しいところですが、中国当局側で、明らかに「演出」していると思うようになりました。温家宝首相が現場入りしたところで、別段なにか変化があるわけでもないでしょうし、温家宝首相の指示の様子も、そんなの誰でもいえるじゃん、というようなものばかりです(温首相に、隊員が報告しているシーンがあったのですが、温首相は、「一秒を争う」「望みあるなら最後まで」と言うばかりです)。

 瓦礫の下でうずくまってる方に、「もう少しでプロの救助隊が来る」と叫んだところで何か解決するのかなと、私などは懐疑的なのですけど、果たしてこれらはどの程度意味があるのでしょうか。そんなことを言わせている暇があるのなら、一刻も早く救助隊を入れたほうが良いと思うのですが。その時間、救助してないわけで。

 TVも、温首相の映像をかなり追ってる感じですが、彼の表情には、いつもの艶やかさや、笑顔は消え(彼の艶やかな笑顔は、外国人に妙に人気が有るようです)、かなりこわばった表情でした。日本の友人から、15時ごろの中国当局の記者会見の模様を見たという話が届いたのですが、中国当局の担当者の目が泳いでいた、とメールをくれました。

 一部の報道では、かなりの数の方がまだ生き埋めである、と報じています。思うのは、助かるか助からないかよりも、目の前で行われているという状況、「看得ドン」という状態じゃないと理解しないのではないか、と。そう考えると、今回の被害、震源地のwenchuan(ブン川)だけが強調されていますが、綿竹や徳陽(いずれも成都市の北の町。甚大な被害があったところ)にまできちっと救助の手が行ってるか、あるいは、行ってると人民が認識できる状態か、というところがポイントだと思います。

 読売などの記事では、少し住民の不満の声なども漏れ出ているようですから。
 
 今日、ネットカフェに行ったり、あるいは、アパートの管理人などの様子を見ていたのですけど、皆さん、TVにかじりついて様子を見守っています。やはりアレを見た人は、解放軍は頑張っていると見るでしょう。

 今回の件、振り返るにはまだ早いでしょうけど、ちょっと中国人のモロさが出たかなと思っています。確かに、地震は彼らにとっては「人生初」と言う人も多く、戸惑った人が大半だと思います。それは確かにそうなんですけど、しかし、そういう部分を差し引いて、日々の生活の中で「何が起きるか分らない」という認識や、「だからこそそれに対して備えておく」という意識が希薄か、無いんだな、と思うわけです。変な言い方をすると、毎日が毎日のまま続いていて当たり前であると思うだけに、トラブルにすぐパニくってしまうというか。

 学生に「将来はどうするの?」などと未来の事を聞くと、決まって、

「明日の事は分らない」

 と口々に言います。

「どうして日本人は将来のことを聞くのですか?」

 と問い返してくる学生も。このことと今回のことを結びつけて考えたいのですが、どうしても、

「いまさえあればいい。いま食べれればそれでいい」

 というような考え、拡大解釈すれば、御家人さんが指摘するような、「マナーの悪さ」にもつながると思います。

 つまりは、いまがあるかないかの、「○」か「×」かのどちらか。たとえば登山に行くときに、おにぎりや水だけでなく、非常食を備えていくように、だからこそ「備えよう」とか、だからこそ「準備しよう」ではなく、なんていうんでしょうか、自省的な視点……?いまさえあればいい、というのが透けて見えて、それが、ネットゲームやら、バスケしたりという緊張感のなさにつながるのではと思うのです(まぁ、私どもの大学は殆ど無被害なので、そうしてしまいたくなる気持は分らないのでもないのですが…)。

 彼らの言うように、確かに、Tomorrow never knowsではありますが、問題はそこから先。だからこそどうするのか。備えようというのが、ごくごく人間的だと思うのですけどねぇ……。

 現代中国人を見ていてもう一つ感じるのは、どんな事でもそれを誰かに責任を委譲することでしか、納得し得ないということです。確かに天災で甚大な被害で、その点は気の毒に思いますが、反面それを自分自身で抱え込んでいくというか、彼らの中から芯の強さをどうしても感じないのです(上手く言えないんですけど)。ゆえに他人へすぐに委譲する。それが分ってるからこそ、当局が奔走して、「救助(している様子)」を見せなければならない、ということかな、と思います。

 誤解の無いように繰り返して言えば、私が問題に思うのは、本来もっと自分で抱え込んでも良い部分ですら他人に委譲してしまうという傾向が、少なくとも中国人は日本人より強いのでは?…ということです。まず自分でできること、その上で……ということです。

 昨今、日本人もそんなふうになってると思います。辛いことは多く、不当な事も多いですが、まずは自分で考え、それでできない場合に回りと話し合い、その上で地域や法律や国が機能するというのが、非常に理想的で高度だと思うのです。

 話を戻しますけど、そう考えると、ほんとうにここ数日が当局にとって正念場だと思われます。さすがにこれを「愛国」という言葉では引っ張れないでしょうし。いまのところ、頑張る解放軍や、強い中国を演出していますが、援助疲れ、息切れなんかを起こし始めたら、ちょっと危ないでしょう。

 被災者は日を追って増えるでしょうし、これはチベットと違い、民間レベルでの被害ですからね。私の学生には被害がないでしょうが、学生の家族、親戚などで、やられた人も多いでしょう。都江堰出身の子も確か一人居たと思います。

 私がここで考察した事がかなり当たってる事だとすれば、これは中華民族のかなりの脆弱性を露呈した事ではないかな、と思うのです。何かが回ってるときはいいですけど、ちょっとでも狂い出したら、それが止まらない、あるいは何かに委譲せざるを得ない。それはかなり危ういことではないでしょうか。


 ■気になる事

 他にも気になる事があります。

 まず略奪。日本で珍しいと言われたのは震災などの際、それに乗じた略奪が少なかったということだそうですね(最近は出始めているようですが)。今回どうなのでしょうか。またはこれを黙殺、封じ込める方向なのでしょうか。
 
 あとは、旅行業界への影響です。

 私の友人で、日本語ガイドとして働く女の子が居るのですが、折からのチベット暴動の影響で、商売あがったり状態だそうです。日本からのツアーは軒並みキャンセル。今回の地震の震源地方面は、九寨溝への通り道ですから、これはこの業界への影響は甚大でしょう。

 お金関係で言えば、物価の上昇に拍車をかけるということはあるのでしょうか? この辺はおいおい体感を伴った上でレポートします。

 それから、どれだけ外国人が入るのか、ということです。チベットと違い、今回は開かれた場所でですけど、先に書いたように読売などが、民衆の「不満」を拾い始めています。これができるのは外国勢でしょう。どれだけ外国人が入るのか、または、外国人を入れないのか。その辺も一つポイントだと思われます。

 あとは、この問題に隠れる事もあろうかと思います。つい今しがたまで、胡錦涛訪日やチベットで揺れていたわけですけど、うっかりすると、中国が被害者ぶったまま、いままでの事を無かった事にするというか、そのままで居続けたり、居直ったりする可能性があります。地震は地震、それはそれときちっと分けて考えることが大事だと思いますし、逆に考えれば、当局が急いでいる理由、暴動や「着火」にならないように必死になってる理由が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

 建物の話を少し書きましたが、下手すると天災が人災になる可能性もあります。このあたりは復旧が急がれるところです。

 以上、色々思いつくまま、素人考えで書いてみました。間違ってる箇所その他、色々あるかもしれません。その辺は大目に見ていただければ、と思います。また感じた事があれば、お伝えします。




 ……と、今回は現地ルポに加えなかなか考えさせられる部分もあり、話題が広くまた深くなったことで、読者の皆さんのインスピレーションを刺激する要素があちこちに散りばめられているといった観があるのではないでしょうか。

 おかげで、この後に掲載する私のレスも苦吟を繰り返したした上でようやくひねり出した、意味不明めいたものになっています。諒とされたし。

「下」に続く)





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情報 (POPPO)
2008-05-14 16:32:10
日本の結婚式は費用が実家からの距離に反比例するという説がある。
ハワイあたりの教会で結婚するのが一番安上がりらしい。
支那の情報の流れも、距離に反比例するようだ。w
 
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