ゴエモンのつぶやき

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優勝賞金10万ドル! 世界最大の学生ITコンテストに東大大学院と東工大が挑戦

2017年08月09日 01時29分55秒 | 障害者の自立

左から、Team NeuroVoice(東京大学大学院)廣畑 功志さん、早川顕生さん、佐藤邦彦さん、Team TITAMAS(東京工業大学)佐々木俊亮さん、山崎健太郎さん、岩瀬駿さん

東京工業大学のチーム「TITAMAS」が開発した視覚障がい者向けスマート白杖デバイス「Walky」 

 米Microsoftによる学生ITコンテスト「Imagine Cup World Finals 2017」が、2017年7月24日~25日(現地時間)の2日間、シアトル本社で開催された。今年は同コンテストが15周年を迎えた節目とあって、優勝賞金も10万ドル(日本円約1,100万円)に大幅アップ。加えて、12万ドル分(日本円約1,320万円分)のAzure Grantも贈られるという、壮大なスケールで実施された。

 世界大会には、自国の国内予選を勝ち抜いた世界39カ国54チームのファイナリストが集結した。日本からは、ディープラーニングを用いた音声変換システムを実現したチーム「NeuroVoice」(東京大学大学院)と、視覚障がい者向けスマート白杖デバイス開発したチーム「TITAMAS」(東京工業大学)が国内予選を突破し、日本代表として闘った。

全てのソリューションにMicrosoft Azureを使用することがルール化

 Imagine Cupは、2003年にMicrosoft創始者ビル・ゲイツ氏の発案で始まった学生向けITコンテスト。国際競争力あるIT人材の育成を目指し、社会の課題解決に役立つソリューションや、新たな価値を与えるプロダクトを創造し競い合う。これまでに参加した学生は、世界190カ国のべ200万人以上にもなり、世界最大の学生ITコンテストといえる。

 15周年を迎えた今年のImagine Cupは大会の中身が一新された。これまでの3部門が廃止され、「世の中にインパクトを与える革新的でクリエイティブなソリューションやサービス」をテーマに、エントリーする全てのソリューションに、Microsoft Azureを使用することがルール化された。

 Microsoftは近年、「Microsoft Imagine」や「Minecraft: Education Edition」、さらにはAzureトレーニングコースをMOOCで提供するなど、教育機関向けのプログラミング教育やIT人材育成プログラムを充実させているが、Imagine Cupではこれらの学びを高めるアウトプットとして、より技術面を重要視する方向へ移行するという。

 といっても、日本代表チームの場合、そもそもの技術力は高く定評があるため、大会の方向転換はさほど問題ではない。それよりも例年、苦戦を強いられているのは、英語によるプレゼンテーションであり、いかにプロダクトの魅力を伝えられるか、どれだけ審査員からの質疑応答に対応できるかが課題となっている。

 そのため、今年の日本代表チームには、グロービス/グロービス経営大学院とベルリッツ・ジャパンの2社が協力し、学生に対して英語やプレゼン、ビジネスプランへのメンタリングが提供され、プレゼン力に磨きをかけて世界大会へ挑んだ。

声から声の音声変換で勝負! 東京大学大学院「NeuroVoice」

 世界大会は、全チームによるTech Showcaseからスタートした。各チームにはそれぞれ10分間の持ち時間が与えられ、3名の審査員に対してプレゼンやデモを行う。この場は取材陣に非公開とされ、学生と審査員がソリューションについてじっくり対話をする場になった。

 東京大学大学院のチーム「NeuroVoice」は、音声の生成モデルにディープラーニングを用いて、より自然で流暢な音声変換を実現したシステム「NeuroVoice」を発表した。

 同システムは、テキストを音声に変換するのではなく、声から声へ、対象人物が話す声を他人の声に変換できるのが特徴だ。音声の最小単位である音素を学習することで、人の声が持つ独特のイントネーションや発音の特徴を再現可能にした。

 チームNeuroVoiceでは、ビル・ゲイツ氏の発言をヒラリー・クリントンやマイケル・ジャクソンの声に置き換える動画を作成し、ソリューションの魅力を審査員に訴えた。

 技術面では、Speech Recognition(音声認識)とConversion(変換)という深層学習の技術を用いて、ほかの手法よりも10倍以上のスピードで学習できることをアピールした。またビジネス面では、映画の吹き替えや替え歌、ゲームなどのエンターテイメント、チャットやロボットなどのコミュニケーションツール、言語障がい者の支援など、近年、需要が増す音声認識サービス市場において多様な用途で活用が見込めると主張した。しかし、結果は残念ながら、次の闘いに駒を進めることができず、東京大学大学院のチーム「NeuroVoice」は、ここで敗退となった。

シンプルさが魅力の東京工業大学は1次審査を突破

 一方、東京工業大学のチーム「TITAMAS」は、Tech Showcaseの1次審査を突破し、クォーターファイナルに勝ち進むことができた。次なる闘いも、10分間のプレゼンと質疑応答という形であるが、こちらは取材陣にも公開された。

 チームTITAMASが開発したのは、視覚障がい者向けスマート白杖デバイス「Walky」だ。カメラと超音波センサーを用いて、目の前のどれくらいの距離に、どのような障害物があるのかを検知し、指向性スピーカーを通して利用者に知らせてくれる。通常、視覚障がい者は、白杖で足元の危険を知ることはできるが、目の前にあるトラックや高い位置にある物体を把握することが難しい。メンバーの従兄弟が視覚障がい者であり、このような課題を抱えていたことから、同プロダクトの開発に着手した。

 Walkyの特徴は、Raspberry PiとMicrosoft AzureのCognitive Servicesが提供するAPIを使って、シンプルなデバイスを実現したことだ。超音波センサー及びカメラから取得した画像をComputer Vision APIでリアルタイムに解析し、その認識結果で得られたテキスト情報をBing Speech APIを用いて音声に変換し、利用者に障害物を知らせるという。

 指向性スピーカーを使用するため、利用者にだけ危険を通知し周囲にも迷惑をかけないことや、APIを活用したシンプルな設計であることで、誰もが作りやすくスケールしやすいとプロダクトのメリットを訴えた。

 審査員からは、製品化したときの販売価格やバッテリの耐久時間、ネットワーク環境の安定性や画像認識のスピードなど、技術面やビジネス面に関してさまざまな質問が投げかけられた。

 学生たちは、こうした質問に丁寧に答えながら、プロダクトがいかに社会で受け入れられるかを懸命に伝えた。しかし、34チームが進んだクォーターファイナルの結果発表では、東京工業大学の名前が呼ばれず、チーム「TITAMAS」もここで敗退となった。

優勝はチェコスロバキア共和国。小児糖尿病の血糖値測定システムを開発

大会2日目は、前日のクォーターファイナルを勝ち進んだ8チームと敗者復活戦で選ばれた2チーム、計10チームでセミファイナルが行なわれ、いよいよ最終決勝に進む4チームが選出された。選ばれたチームは下記の通り。

・Nash(アルゼンチン)
自然災害の際に人命救助が必要な場所をドローンで認識し、レスキューに通知するシステム
・NeuroGate(カナダ)
キネクトと機械学習を活用し、神経変性疾患を持つ患者の歩行パターンを分析して診断に活かすソフトウェア
・X.GLU(チェコスロバキア共和国)
糖尿病を持つ子供のための血糖値測定システムと測定器
・Oculogx(アメリカ)
倉庫内の物探しの効率化を図るホロレンズ対応のMRアプリ

 最終決勝では、糖尿病を持つ子供のための血糖値測定システムと測定器を発表したチェコスロバキア共和国のチーム「X.GLU」が優勝に輝いた。同チームは、カード型の血糖値測定器を開発し、カードが読み取った血糖値の結果をNFCやBluetooth経由でスマホアプリに送信して記録できるシステムを構築した。

 すでに実証実験にも着手しており、スマートフォンに記録された血糖値の情報を保護者や医師と共有して健康管理に活かしたり、目標を達成することでポイントやバッジが付与されるゲーミフィケーションを取り入れたりするなど、プロダクトのブラッシュアップにも取り組んでいた。

 このように、Imagine Cupでは単に学生のアイデアや技術力を競うのではなく、コンセプトをいかに市場に広げていくことができるか、その実現可能性が問われる。今回、優勝したチェコスロバキアはそうした面で、既に実証実験を行なっていたり、プロダクトの特許を取得したりするなど説得力あるプレゼンを披露することができた。

 また、現在は子供のみの利用に留まっているが、いずれは、大人の糖尿病患者にも利用範囲を広げていく方向性を示したことから、スケーラビリティが期待できる点も勝因につながっただろう。社会にインパクトを与えるソリューションを重視するImagine Cupでは、こうした将来的な規模感を示すことも大切な要素なのだ。

日本代表チームの闘いを振り返って……

 一方で、日本代表で出場した2チームは、自らの闘いをどのように振り返っているのだろうか。

 東京大学大学院のチーム「NeuroVoice」と東京工業大学のチーム「TITAMAS」のメンバーはともに、「英語によるプレゼンテーションは、練習の通りに実力が発揮でき、審査員にも自分たちの思いを伝えることができた」と手応えを述べた。

 それもそのはず。彼らは国内予選で日本代表に決まってから3カ月、グロービス/グロービス経営大学院とベルリッツ・ジャパンの2社によるメンタリングを受け、練習を重ねてきたのだ。

 なかでも、セミファイナルを前に実施された敗者復活戦は見事だった。スライドやツールを使わずに、言葉だけでソリューションの魅力を語る2分間のピッチ形式であったが、両チームともに思いの伝わるスピーチを披露することができた。

 肝心の敗因については、両チームともに実現可能性に欠けていた点を挙げた。「実際に(ソリューションを)使える形で持ってくることが重要だった」、「すでに市場に出していると説得力あるプレゼンができると思った」(NeuroVoice)、「とりあえず使ってテストをする、ユーザーに使ってもらいながら改善するといった部分が足りなかった」(TITAMAS)など、自分たちが創造したソリューションが、実際に社会でどのように受け入れられているのかを示す必要があったと分析した。

 とはいえ、Imagine Cupは多くの学生に対して、新たな気付きや価値を与え、彼らの成長に寄与している。学生たちにはImagine Cupで培ったマインドを大切にし、次のソリューション開発や自らの学びにつなげて、より社会を前進させる人材へと巣立ってほしい。

  • 神谷 加代   2017年8月8日
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