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「電子書籍アクセシビリティの研究」公刊記念シンポジウム 『電子書籍の普及とアクセシビリティ』を開催

2017年02月12日 03時31分27秒 | 障害者の自立

書籍「電子書籍アクセシビリティの研究」公刊記念シンポジウム
『電子書籍の普及とアクセシビリティ』を開催

■本書籍の読み上げで発生の「誤読・修正」事例を全件公開
■電子教科書導入の2020年まであと3年。出版、音声エンジン、著作権、
各方面での整備が急務

 東洋大学(東京都文京区/学長 竹村 牧男)は1月30日、電子書籍の音声読み上げや文字拡大などのアクセシビリティ機能について総合的に研究した国内初の書籍「電子書籍アクセシビリティの研究」(東洋大学出版会 発行)の出版を記念したシンポジウムを白山キャンパスの125記念ホールで開催しました。

 シンポジウムでは、国連障害者権利委員で内閣府障害者政策委員長を務める静岡県立大学の石川准 教授から、書籍発行の背景として、障害者権利条約や障害者基本法、そして2016年4月に施行された障害者差別解消法について説明し、現状には情報アクセシビリティ政策の根拠となる個別法がないことを指摘。その上で、ウェブサイトやテレビ放送でのガイドラインを事例として紹介したうえで、点字やボランティア、電子図書館、OCRなど、これまでの視覚障害者の読書実態から電子書籍アクセシビリティの現状について報告がありました。
 
 続いて、東洋大学副学長で(一社)電子出版制作・流通協議会 情報アクセシビリティ特別委員長を務める松原聡教授から同書籍のアクセシビリティの特長について報告がありました。報告によると、執筆後に行ったiOS(バージョン10.0.2)の支援機能であるVoice Overを用いた音声読み上げテストにおいて、書籍全体で69種類・約400箇所の誤読が発生し、それらの用語・表現を言い換えることで誤読の件数をほぼ ゼロ にすることを実現。読み上げを行う音声エンジンの性能向上と合わせて、執筆、編集の立場から可能となるアプローチを試みたことを、誤読や修正の事例を交えて報告がありました。
 
 その後、報告者の2名に、 実際の電子書籍制作にかかわる大日本印刷株式会社 hontoビジネス本部丸善CHI連携チームリーダーの盛田宏久氏、凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 トッパンアイデアセンター クリエイティブ本部本部長で(一社)電子出版制作・流通協議会の副委員長を務める矢野達也氏と、東洋大学経済学部総合政策学科の山田肇教授が加わったパネルディスカッションを開催。それぞれの立場から現状と課題を報告しました。その中で、今回の書籍発行の意義を、電子書籍アクセシビリティに関する現状について、歴史的背景や関連法規、機器やソフトウェアなどを総合的に扱った国内初の研究書籍であることに加え、執筆・編集において確認された誤読・修正例を広く共有し、さらに事例を積み重ねることで、執筆や編集、音声エンジンなど、書籍アクセシビリティ全般の向上に役立てることができると指摘しました。
 
 さらに第二部は、障害者雇用を行っているNTTクラルティ株式会社営業部 アクセシビリティ推進室の小高 公聡氏、株式会社図書館総合研究所 特別顧問で立命館大学人間科学研究所 客員研究員の植村要氏も加えたパネルディスカッションで、電子書籍アクセシビリティの実現に向けた意見が交わされました。この中で、電子書籍には、公文書や教科書など誤読ゼロの実現を要するものと、誤読の程度も含め読者が環境を選ぶべきものに大別されることを指摘。その上で、2020年の電子教科書の導入に向け、視覚障害者だけでなく難読症、帰国子女など、音声読み上げによる学習を想定されるケースに対して、執筆、編集、音声エンジン、流通などあらゆる面でアクセシビリティの確保が急務となっているとしました。また、電子書籍アクセシビリティの推進を図るうえでは、一部の視覚障害者のためだけではなく、老化による弱視や、書籍の楽しみ方の多様化など、全ての人のために進めるという視点が重要であることも指摘されました。

 本書籍の特色の一つに、電子書籍版でOSの支援機能を用いた自動音声読み上げに対応し、さらにそこでの誤読を、編集上の工夫でほぼゼロに抑え込んだことがあります。その誤読・修正の事例69件(本書全体では延べ400箇所)を、「用字変更」「表現変更」「読み補足」に分けて東洋大学公式Webサイト( http://www.toyo.ac.jp/site/toyo-up/20170130.html )にて公表します。こういったデータが活用されることで、より誤読が少ない電子書籍の公刊が期待されることが、シンポジウムの中でも議論されました。

2017年2月10日   共同通信PRワイヤー

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