ゴエモンのつぶやき

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『老人ホームで生まれた<とつとつダンス>』砂連尾理著 分からないことの豊かさ 

2016年11月08日 02時21分00秒 | 障害者の自立

 気鋭のダンサー・振付家である著者の活動記録をつづった本書は、京都・舞鶴にある特別養護老人ホームでのワークショップが始まるところから俄然面白くなる。と同時にわけが分からなくなってくる。

 留学先のベルリンで障害者との即興ダンスに確かな手応えを得た著者が、帰国後に挑んだのは介護を要する老人たちとのコラボだった。

 人形を抱いて立ち続ける認知症の女性は、こちらがどんな動きを仕掛けても反応せず、覚えてもいない。また耳が不自由な女性に必死で何かを伝えようとしても伝わらない。そんな時、これまでにない動きが引き出され、思いもよらない身振りが生まれた。それらは言葉を超えた新しいつながり方であり、著者にとってはまぎれもなくダンスだった。

 「とつとつダンス」と名づけられた認知症の女性との共演舞台は賛否両論を呼び、やがてワークショップと勉強会には地元の主婦や哲学者、文化人類学者が参加するようになる。

 「光になる」「脈拍を踊る」「音を立てずに起き上がる」といった課題に参加者は当初戸惑う。それが何を意味するか分からないからだ。だが分からないということをそのまま受け入れた時、言葉と動きに変化が生まれる。

 簡単に理解や意思疎通ができないからこそ生まれる身体的な関わりに、著者は「世界はロゴス的な意味ばかりで満たされていないことが、すごい拡がりをもって感じられた」と言う。そう、よく分からない。分からないが、なんだか面白いような気がする。

2016/11/7   神戸新聞

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