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観光立国のフロントランナーたち 佐賀県・山口祥義知事(最終回)

2017年06月16日 03時11分18秒 | 障害者の自立
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ジャパンインバウンドソリューションズ(JIS)の中村好明社長(日本インバウンド連合会 理事長)が、日本の観光立国実現に奔走するキーマンたちと、その道筋について語り合う大型対談「訪日ビジネス最前線 観光立国のフロントランナーたち」。佐賀県の山口祥義知事との対談の最終回では、佐賀県の今後の観光戦略について話をうかがいました。

「和の伝統残る国」アピール、「県民総参加」の環境づくり目指す

中村 佐賀県の観光立県戦略について、こういう手を打っていきたいという未来戦略をお聞かせください。

山口知事 外に対しては効率的な情報発信を地域別にしっかりやっていこうと考えています。佐賀という和の国「葉隠」を生み出した、和の伝統が色濃く残る国というものをどのように戦略的に意識づけしていくのかということをゴールとしたいですね。そして、その交流の成果はどういったときにあるのかといったところをしっかりやっていく必要があります。

あわせて、世界中の人たちに佐賀に来ていただいて、みんなが佐賀のことをしっかりと語れるような形を県民総参加で受け入れができるようなものをこれから作っていくという事だと思います。来年は明治維新150年にあたることから、佐賀の先人の志を未来につなぐ肥前さが幕末維新博覧会を予定しており、2019年には全国高等学校総合文化祭佐賀大会、22年には九州新幹線西九州ルートの暫定開業、23年には国民体育大会・全国障害者スポーツ大会を開催します。その間にはラグビーワールドカップ(W杯)日本大会があって、東京五輪・パラリンピックもあります。まさに飛躍のチャンスロードが目の前にあるような気がするので、その時節にあわせながら着実にステップを上がっていくということを目指します。

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中村 京都府は「3つの京都」をテーマにインバウンドのプロジェクトを推進しています。3つとはつまり、天橋立などの「海の京都」、福知山などの「森の京都」、宇治などの「お茶の京都」。ゾーニングを決めて明確に観光の魅力を出しています。そういった中で佐賀も地域ごとのコンセプトを持った取り組みをやってみたら面白いのではないでしょうか。

山口知事 佐賀県だけを目的として観光したいと思っている人はあまり多くなく、長崎、熊本とセットで来ていたりします。また、佐賀県内を全体的に回るのではなく、スポット的に嬉野、呼子に行きたいというような観光スタイルが多いです。ですから、私は必ずしも佐賀県という単位でくくる必要はないと思っており、どういう風にくくると魅力があるだろうか、という観点でゾーニングしていくことが大事だと思います。福岡県の柳川を訪れる観光客が佐賀空港を利用するようなイメージです。

中村 柳川の生活文化と佐賀や久留米の生活文化もほとんど同じですよね。

山口知事 そうなんです。筑後川という大きな川があったことによって行政圏が分断され経済圏が構成できなかっただけなんです。今は、観光に県境は関係ありません。

「おもてなし」不得意な県民性…商売っ気もっと出しても

中村 明治維新150年というのは、いろいろな県民の皆さんが150年前の佐賀が何を、どんなことを日本の近代化に貢献したのか色々プロモーションされると思います。

山口知事 中村さんもそうですが、佐賀の血が入った人間って基本的に熱いところがあるんです。県民と対話をしていても、「知事!私はこう想う!」と想いを強く伝える人が多いと感じています。私は長崎県でも働きましたが、長崎の人は、人をもてなすのが得意です。それに比べ、佐賀は「おもてなし」というのは、あまり得意ではないけれど、一人ひとりが物事を熱く考えられる県だなと思います。

中村 薩摩なら「せごどん」(西郷隆盛)にみんなワーッと集まりますが、佐賀の人間はそんな感じではないですね。

山口知事 徒党を組まないですし、国のためになることをやる。明治維新期においても明治政府の仕組みづくりは佐賀県人が多く担ったのに、佐賀のことはほとんどやっていません。東京に行って、一生懸命日本のために働きました。佐賀のことも少しは考えてよ、といいたくなるくらい生真面目なんです。大隈重信先生もそうです。それに森永製菓の森永太一郎氏、江崎グリコの江崎利一氏、ソフトバンクの孫正義氏といった人たちも県外で成功しています。

中村 確かに佐賀出身で活躍される方は多いかもしれません。

山口知事 そういう人たちも、心のどこかで佐賀県人という意識があるので戻ってくる人も結構います。私がおうかがいすると喜んでくれます。「俺たちは佐賀が原点だよ」って。

山口知事 フィギュアスケートのアニメ「ユーリ!!!onICE」は、唐津市が主人公の出身地のモデルになっていることから、県と唐津市で連携してコラボレーション企画をしました。ファンが、聖地巡礼で唐津に来てくれるんですよね。このアニメでは、主人公の勇利はカツ丼が大好物という設定で、カツ丼がキーワードになっています。でも、県内では、カツ丼屋さんがそれに便乗しようという動きかあまりみられないんですよね。それこそ普通のカツ丼ではなくて、2000円くらいの高級カツ丼を出すくらいの商売っ気を出してもいいと思うのですが…。

アニメでいうと、若い女性を中心に人気の『おそ松さん』と佐賀県とのコラボも大成功しました。私たちの世代では、『おそ松くん』は6つ子の子供でしたが、今はニートになっているんですよ。県職員もさまざまな部署が切磋琢磨しながら新しいことにチャレンジしているので面白い企画が出てきます。

佐賀と海外の自治体とのつながりが大切に

中村 一方で、海外から観光客を呼び込むには観光庁の予算が足りないという問題もあります。結局、アジアからの爆買い客とかクルーズ客は、あまり九州経済に大きな影響を与えていません。

山口知事 そこが課題です。私もラグビーW杯をきっかけに、もっと遠方の国の方が佐賀に来てくれるのが楽しみだなと思っています。先日、フィジーに行ったら、大臣たちから佐賀の子育て政策について教えてほしいと言われました。先日もベトナムから視察団が来て、佐賀のごみ処理場のやり方をについて知りたいと話がありました。意外にもこれからは日本の自治体と海外とのつながりがさらに重要になるかもしれません。(終わり)

山口祥義(やまぐち・よしのり) 1965年佐賀県出身。東京大学法学部卒業後、1989年自治省(現:総務省)入省。鳥取県商工労働部長、長崎県総務部長、総務省地域力創造グループ過疎対策室長、東京大学大学院総合文化客員教授などを経て、2013年に官民交流でJTB総合研究所に出向。地域振興ディレクターとして各地の地域振興を支援。ラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長特別補佐として開催地決定や盛り上げに尽力した。14年に退官後、15年1月の佐賀県知事選で初当選した。

中村好明(なかむら・よしあき) 1963年佐賀県生まれ。ドン・キホーテ入社後、分社独立し現職就任。自社グループの他、公共・民間のインバウンド振興支援事業に従事。2017年4月、一般社団法人日本インバウンド連合会理事長に就任。日本インバウンド教育協会理事。ハリウッド大学院大学および神戸山手大学客員教授。日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長。みんなの外国語検定協会理事。観光政策研究会会長。一般社団法人国際観光文化推進機構理事。著書に『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦』(メディア総合研究所、2013 年)、『インバウンド戦略』(時事通信社、2014年)、『接客現場の英会話 もうかるイングリッシュ』(朝日出版社、2015年)、『観光立国革命』(カナリアコミュニケーション、2015年)、『地方創生を可能にする まちづくり×インバウンド 「成功する7つの力」』(朝日出版社、2016年)がある。

2017/06/15       JAPAN style 訪日ビジネスアイ
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