ゴエモンのつぶやき

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【観光のUDを進めよう】 関根 千佳さん

2016年11月08日 02時50分26秒 | 障害者の自立

◆「おもてなし」九州から

 この数年、京都府と「観光のユニバーサルデザイン(UD)」に取り組んでいる。宿泊施設や飲食店などが、多様なお客さまに満足して頂(いただ)くためにどうすればいいか、検討を続けている。10月末には、海の京都と呼ばれる京都府北部地域を調査した。旅館や観光地を回り、子供連れや高齢者、障害のある方や外国人観光客が、訪れやすい場所やサービスを確認してきた。

 同志社大学の学生たちも、観光のUDの在り方について政策提言を続けている。昨年、学生も協力して作成した「京都ユニバーサルデザインおもてなし手帖」は、この秋に法務省から表彰された。自然な声かけや、自分の施設の段差や幅を把握することの重要性など、当たり前のことばかりだが、宿や店の立場に立った解説が喜ばれている。

 古い旅館や食堂でも、入り口に段差解消の三角ブロックを置いたり、上がり框(かまち)に手すりを設置したりするだけで移動が楽になる。お品書きの文字を少し大きく、コントラストをはっきりするだけで、読みやすさは増す。建物を全てバリアフリーにするには時間がかかるかもしれない。だが、おもてなしの在り方など、サービスをUDにするのは、すぐにできることもあるのだ。

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 観光のUDは、気づいたところから始めればいい。車いすユーザーが泊まるとわかっていれば、シャワーヘッドを低い位置にしたり、タオルをかごに入れて手の届くところに置いたりするだけで助かる。手話ができれば嬉(うれ)しいが、筆談でも意思疎通は可能だ。語学に自信がなければ、コミュニケーションボードを使おう。段差が多くても盲導犬は受け入れられるはずだ。UDな宿として知られる東京のホテルでは、最初は100円ショップのものを使って工夫を始めたという。

 飲食店なら、メニューに写真を増やすだけでも外国人は注文がしやすくなる。ハラル認証や、アレルギー表示があれば、なお嬉しい。視覚障害者に料理の位置を時計の針に見立てて示すクロックポジションも、慣れれば楽しいものだ。

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 日本は世界一の超高齢国である。社会のインフラや考え方を、それに対応させていく必要がある。あなたが年をとったからと、なじみの店や、思い出の旅館に行けなくなったら悲しいだろう。店側も、優良な固定客を失いたくはないはずだ。多様な顧客のニーズを理解し、できるだけ相手の意図に沿ったサービスを提供することは、ファミリー三世代での来訪や、リピート率の向上につながるのだ。

 九州は、この分野で先進的だ。熊本県のNPOである「UDくまもと」は、温泉地や旅館のUDについて、幅広いノウハウを持っている。佐賀・嬉野は、全国でも有名なバリアフリーツアーセンターを擁し、市を挙げて推進している。各旅館は、例えば子供に優しいなど特色を出しつつ、UDを競う。旅館で多様な年齢層の顧客に満足して頂けるUDが進むと、街の中もどんどんUDに変わった。お茶していってくださいという案内は、木の板から、木の湯桶(ゆおけ)になった。おもてなしの心を温泉のシンボルでアピールするとは、なかなか粋である。

 先日の京都のセミナーには、嬉野のセンターから小原健史会長に来て頂き、旅館や飲食店の方々に、熱い講義をして頂いた。受講者は、これからの観光に、UDの視点が必要だと実感されていた。

 老舗とは、変わる勇気を持つことのできた企業のことである。時代の流れを読み、顧客のニーズに応える。それは会社として、当然のことではないだろうか。高齢社会を見据え、2020年のオリパラへ。さらに超える時代へ。布石を打とうではないか。

 【略歴】1957年長崎県佐世保市生まれ。九州大法学部卒。81年、日本IBMに入社後、ユニバーサルデザインの重要性を感じ、98年にユーディットを設立。2012年より現職。著書に「スローなユビキタスライフ」など。

関根 千佳(せきね・ちか)さん=同志社大政策学部教授、ユーディット会長

=2016/11/06付 西日本新聞朝刊=

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