ゴエモンのつぶやき

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東大生、障害者と出会い自分見つめる

2016年11月02日 15時55分33秒 | 障害者の自立

 障害者との出会いを通して、東大生が内面に生じた変化を赤裸々につづった1冊の本が静かな反響を呼んでいます。「障害者のリアルに迫りたい」。そんな思いで障害者らの「生」と向き合い、悩み、もがき、自身を見つめた先に見いだしたものとは――。

 ■リアルな「生」知り しびれ、あがく

 本は「障害者のリアル×東大生のリアル」(ぶどう社、税別1500円)。教養学部ゼミ「障害者のリアルに迫る」の11人が書き、担当の非常勤講師野沢和弘さんが編集した。ゼミのモットーは「タブーなし。既成概念をぶちこわそう」。4~7月に週1回ある授業で会いたい障害者らをゲスト講師に招き、人生を語ってもらい意見を交わす。

 ゼミが正式に始まって2年余り。当初30人ほどだった学生は約80人に増え、脳性マヒの人や罪に問われた知的障害者ら約50人が登壇した。本は、15年度のゲスト講師によって「化学反応」を引き起こされ、悩みながらも前へ進もうとする学生たちの軌跡だ。

ログイン前の続き 3年生の沢田航(わたる)さん(21)は、盲ろうの東大教授福島智さん(53)が強く印象に残った。9歳で目が見えなくなり18歳で耳が聞こえなくなったこと、指点字というコミュニケーションで人生を取り戻したこと、将来への不安の中で「そのままのあなたでいい」と言ってくれた女性との恋愛が生きるパワーになったこと……。たんたんと、時にユーモアを交え語ってくれた。

 自分は耐えられそうもない真っ暗で無音の状態。弱さや痛みに真っ向からぶつかり、死にもの狂いで生きる意味を追い求める姿に「鳥肌が立つほどしびれた」。

 中学生から運動が苦手で、劣等感からの逃避行の延長線上に東大受験があったという沢田さん。なぜ生きなければならないんだろうと自問する日々の中で、ゲスト講師のたくましい「生」に打ちのめされた。そしてこうつづった。

 「僕にとって、コンプレックスは根深くて、こういう底の浅い絶望感へとつながっている」「生きるということも、こんな自分のことも、諦めたくない」

 目指す方向も見えてきた。今年、法学部から教育学部に転じた。心理学を学び、障害の有無に関係なくひとの苦悩と向き合う仕事につきたいという。

 法学部4年の佐藤万理さん(21)は「失敗しちゃいけないと思い、たいていのことは器用にこなしてきた。でも本当は息苦しかったのかもしれない。障害者と出会い、幸せや成功の形は一つでないと知り心が軽くなった」と言う。

 体が思うように動かない男性や医療的ケアを受ける子どもたち。障害者が「同じ一人の人間」として迫ってきた。そんな思いをこう記す。

 「『同じ』なのに『違う』ことを悩む日々が始まった。でも、その壁を乗り越えようとするあがきを、私はやめたくない」「正解を求めることも理解することもできないのかもしれないと、そう認めることがスタートだ」

 本の出版は、ゼミの記録を残したいという学生の思いが出発点だ。佐藤さんは「私たちのリアルな言葉を通して、障害者と一緒に生きていくってどういうことなのか、少しでも考えるきっかけになればうれしい」と話している。

 ■SNSなどで共感の声広がる

 本は8月に出版され、フェイスブックなどで共感の声が広がっている。「心をえぐられる。『東大生』とか『障害者』とか肩書は本当にどうでもいいよねと思わされる本」と書き込んだのは、作家の小野美由紀さん(30)。取材に「障害者本人でも専門家でもない学生だからこそ書ける生の言葉がちりばめられている点が新しい」と評した。

 ゲスト講師にも強い印象を残した。東大教授の福島さんは「心の奥底の自分を見つめようとする、ひりひりとした神経の独白」と感じた。

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で日本ALS協会会長の岡部宏生さん(58)は「伝えたかったのは、学生も障害者もそれぞれの人生があって一人一人尊重されるべきものだということ」と講義を振り返り、「将来、社会の中で指導的な立場になる人も多いと思う。自分とかけ離れていると思われる異質の存在に若い時にふれあう経験が、将来の思考のどこかに残っていることを期待している」と話す。

 写真・図版 

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ゲスト講師を務めた岡部宏生さん(前列右から2人目)と学生ら。授業後も懇親会で語り合った

2016年11月1日   朝日新聞

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