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障害年金の支給格差、都道府県で最大6倍

2016年10月01日 02時49分02秒 | 障害者の自立

 障害年金が支給されやすい地域とそうでない地域があり、都道府県の格差は最大6倍に広がっている。厚生労働省は医師の判断が難しい精神・知的障害を対象に細かく基準を定めたガイドラインをつくり、今月から運用を開始。格差の是正をめざす。

うつ病女性、「理不尽判断」で不支給

 うつ病と広汎(こうはん)性発達障害を抱える50代女性は2014年10月、愛知県国民年金障害基礎年金を申請した。翌年2月、日本年金機構の愛知事務センターから届いた決定は「不支給」。「著しい発達障害は認められず、意欲低下などの持続は睡眠障害の影響が大きい。正しく薬を処方されれば改善する」という理由だった。

 女性は今年3月まで週に4日間、事務仕事をしていた。職場で疲れ切り、帰宅すると玄関でへたり込んでしまう。食事を自分で作ることができず、コンビニに頼る。一人暮らしの部屋は家事が滞り、近所に住む母親(79)に手伝ってもらっていた。

 障害基礎年金には1級(月約8万1千円)と2級(月約6万5千円)がある。厚労省の認定基準によると、障害年金をもらうには症状が「日常生活に著しい制限を受ける程度」か、それより重いという条件がある。初めて障害の診断を受けた日から1年半後に、年金事務所か市区町村役場へ診断書などを添付して申請。それを各地の認定医が条件にあてはまるかどうかを判断し、支給の可否が決まる。

 申請書に添付した主治医の診断書には「社会的行動や対人関係で混乱しやすく、それが抑うつ、疲労感につながっていた。睡眠障害が改善せず身体的不調が持続していた」と書かれていた。女性の支援者は「なぜ認定医が主治医の診断書の内容を認めなかったのか。理不尽だ」と話す。

 女性は今年6月、改めて同じ内容の診断書を提出した。厚労省が今月から運用を始めたガイドラインでは、精神障害者は日常生活能力の程度が「身のまわりのことは経常的な援助がなければできない」場合でも1級か2級に該当するとしている。すると、今月になって2級に認定された。

 女性はいま、仕事をしていない。生活費は母親が正社員として働いて工面している。「年金があると母親を少し楽にさせてあげられる」と胸をなで下ろした。

■地域差解消へガイドライン

 厚労省は昨年2月、障害年金が不支給になった割合を都道府県ごとに算出。最も高い大分県と最も低い栃木県で6・1倍の差があった。愛知県は全国平均よりやや高い。

 不支給になった障害の種別では精神障害・知的障害が67%を占めた。厚労省は、主に精神障害に関して認定医(14年4月時点で216人)の判断がばらつくと考え、精神・知的障害向けに全国統一のガイドラインをつくった。

 認定基準では「1級は他人の介助を受けなければほとんど生活できない程度」「2級は日常生活は極めて困難で労働できない程度」などと規定。ガイドラインでは、「適切な食事摂取」「身辺の清潔保持」など日常生活の能力を7項目に分け、これらが「できない」「援助がないとできない」だと1級か2級になる、というめやすを示した。

 ログイン前の続き厚労省の担当者は「診断書の自由記述などとの総合判断になるため、個々の認定医の判断はコメントできない。認定医が判断を誤ることはあり得るが、ガイドラインによって改善していくと思う」と強調する。ただ、障害年金に詳しい社会保険労務士の白石美佐子さんは「地域によっては前より厳しく認定される可能性もある。人が判断する以上、どんなめやすがあってもばらつきはなくならない」という懸念も示す。(井上充昌)

障害年金

 病気やけがなどをして、心身に障害が残った人に対して支給される年金。年金保険料を事前に納付していることが必要で、初めて医師の診察を受けた日から1年半後、一定の障害状態にあると認められれば支給される。自営業者ら国民年金の加入者や専業主婦に支給されるのが障害基礎年金(1、2級)で、ほかに会社員や公務員ら厚生年金の加入者に上乗せ支給される障害厚生年金(1~3級)がある。

 

障害基礎年金の不支給割合

 都道府県 不支給割合(%)

 北海道  11.6〈23〉 青森   10.4〈25〉 岩手    7.2〈38〉 宮城    5.7〈45〉 秋田   11.2〈24〉

 山形    6.3〈42〉 福島   12.8〈17〉 茨城   23.2 〈2〉 栃木    4.0〈47〉 群馬    8.9〈31〉

 埼玉   16.3〈10〉 新潟    5.2〈46〉 長野    5.8〈44〉 千葉   12.2〈20〉 東京   10.3〈26〉

 神奈川   7.2〈38〉 山梨   12.2〈20〉 富山    8.6〈33〉 石川    6.7〈40〉 岐阜    8.6〈33〉

 静岡    9.6〈29〉 愛知   12.9〈16〉 三重    8.4〈36〉 福井    8.7〈32〉 滋賀   16.3〈10〉

 京都   12.4〈19〉 大阪   14.0〈12〉 兵庫   22.4 〈4〉 奈良   16.7 〈8〉 和歌山  12.8〈17〉

 鳥取   13.9〈13〉 島根    6.5〈41〉 岡山   13.7〈15〉 広島   19.3 〈6〉 山口   21.2 〈5〉

 徳島    6.2〈43〉 香川    8.6〈33〉 愛媛    9.6〈29〉 高知    9.7〈28〉 福岡   16.7 〈8〉

 佐賀   22.9 〈3〉 長崎   11.9〈22〉 熊本    9.8〈27〉 大分   24.4 〈1〉 宮崎    7.3〈37〉

 鹿児島  13.8〈14〉 沖縄   17.6 〈7〉 全国平均 12.5  

 ※2010~12年度の平均(〈 〉内数字は不支給割合の高い順) 

写真・図版       

<アピタル:ニュース・フォーカス・特集>朝日新聞

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