池上在住で横浜国立大学4年生の佐藤麻梨乃さんが、今月18日にトルコで開幕した聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」に女子棒高跳び代表として出場する。前回のブルガリア・ソフィアに続いて2大会連続の快挙。「金メダルを取ってデフリンピックの日本での知名度を上げたい」と同月23日(日)の競技に臨む。
デフアスリートの佐藤さん
デフリンピックは国際ろう者スポーツ委員会が主催する大会。1924年に初めて夏季大会が開かれた。国際パラリンピック委員会が発足した89年当時は国際ろう者スポーツ委員会も加盟していたが、デフリンピックの独創性を追求するために95年に組織を脱退した経緯がある。そのため、現在はパラリンピックに聴覚障害者が参加できない。
棒高跳びとの出会いは、市立ろう学校に通っていた高校2年生の夏。高い身体能力を知った当時の陸上部顧問で自身も選手活動をしていた竹花康太郎教諭の勧めで競技を始めた。
背丈の倍もの高さを飛び越える棒高跳びは、恐怖感の克服とともに助走が鍵となる。だが、自分の足音が聞こえない聴覚障害者は、正しい足運びや荷重のバランスなどを瞬時に把握することが難しいという。佐藤さんは幼少のころから槍投げや体操で培った運動能力を活かしてメキメキと上達。ハンデを跳ね返す豊富な練習量を武器に、1年後には日本を代表するデフアスリートに成長を遂げた。4年前の大会は自己ベストの3m00cmを記録して、銀メダルを獲得。今大会が2度目の五輪チャレンジとなる。
「知名度上げたい」
パラリンピックと違って日本国内ではまだまだデフリンピックの認知度が低い。選手への補助が少なく、自己負担が多いため、世界で競い合うチャンスを辞退する選手も少なくないという。佐藤さんの場合は大学からの助成と自費で遠征費などを捻出している。「夢はプロのデフアスリート。聴覚障害者の活躍できる場があることを多くの人に知ってもらいたい」と抱負を話した。
2017年7月21日 タウンニュース