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IT機器も活用! 脳卒中の後遺症「タイプ別」リハビリ

2017年07月18日 01時57分49秒 | 障害者の自立

 脳卒中後には後遺症として、言葉が不自由になる言語障害や、食べることが難しくなる嚥下障害が起こることがある。嚥下(えんげ)障害は、高齢者に多い誤嚥性肺炎の原因だ。IT機器を活用する訓練や新しい栄養補給法が登場している。

 脳卒中は一命をとりとめたとしても、言葉が話せない、人の言葉が理解できないという言語障害や、食べ物をうまくのみ込めない嚥下障害が残ることがある。リハビリテーション(リハビリ)は発症からできるだけ早期に開始すれば、機能を回復できる可能性が高い。

 まず脳神経外科医やリハビリテーション医がMRI(磁気共鳴断層撮影)画像や患者の状態を観察し、脳の障害された部位や程度を診断する。脳卒中の発症から2週間程度は脳内にむくみやさまざまな変化が起こって脳機能が低下し、症状も強く表れるので、慎重に病状を見極める必要がある。

 リハビリテーション医の指示により言語聴覚士が訓練をおこなう。

 東京都在住の木村義之さん(仮名・67歳)は脳梗塞を発症後、ふつうに話すことができなくなり、言語障害の一つである失語症と診断された。

 NTT東日本関東病院リハビリテーション科部長の稲川利光医師はこう語る。

「言語障害には、ろれつが回らない『運動性発話障害』と、話す、聞く、読む、書く、計算することに困難をきたす『失語症』があります。ほとんどの人は大脳の左側に言語を司る言語領域があり、ここが障害されると失語症になります」

 運動性発話障害は、相手の話を理解することは問題がないが、唇、舌、声帯などの発声発語器官が麻痺などによって動きが悪くなる。

 しかし失語症は、言葉を理解したり、イメージを言葉にしたりする過程で障害が起こる。

 失語症の中にもさまざまなタイプがある。ブローカ失語(運動性失語)は相手の話は理解できるが流暢に話すことが難しい。ウェルニッケ失語(感覚性失語)は言葉を理解することが難しく、話すことはできるが言い間違いが多い、同じ言葉や意味不明な言葉を繰り返す。二つのタイプが混合することもある。タイプに応じたリハビリが必要だ。

 失語症の診断には「標準失語症検査」が用いられる。「話す、聞く、読む、書く、計算」の能力がどの程度障害されているかを、単語、短文、状況説明など26項目で評価し、定期的に検査を繰り返し、リハビリの効果をみる。

 木村さんはブローカ失語で、話は理解できているがうまく話せなかった。家族にまで「頭がおかしくなった」と誤解され、ひどく落ち込んだという。

 訓練では絵カードや現物と漢字を合わせる、単語を文章にできるように助詞の使い方を学ぶなどがある。また、残存する能力を活用して、絵やジェスチャーなどでコミュニケーションを図ることがある。

 木村さんは、言語聴覚士との訓練や「失語症友の会」でグループワークを重ねるうちに、ジェスチャーまじりの会話ができるまでになり、明るさを取り戻した。

「失語症の改善には人と関わることがとても大切です。言葉が不自由でも生活していけるように、家族や周囲の人が失語症を理解し、援助の手をさしのべることが不可欠です」(稲川医師)

 一方、運動性発話障害は発声発語器官だけの障害なので、話そうとすると声の高さや大きさが単調になる、子音が不明瞭で聞き取りにくいなどの状態だ。

 言語聴覚士による訓練は、

【1】姿勢を整え肩や首の力を抜き、口や顔の体操をして声を出す練習をする
【2】五十音、単語、文章などで発音を練習する

 などがある。発音の練習には言葉を句切りながら話すフレージング法、単語などのまとまりごとに手や足で机や床をたたくタッピング法などがある。

 話す訓練をする一方で、意思疎通を補助する「拡大代替コミュニケーション(AAC)」がある。文字盤やコミュニケーションノートを活用する方法だ。最近ではパソコンやスマホの画面を指さす方法や、言葉を入力してボタンを押すと言葉が音声として再生されるアプリも利用されている。

 脳卒中の後に嚥下障害を起こすこともある。食べ物を口に運び、咀嚼(そしゃく)して咽頭(いんとう)から食道、胃まで送り込む一連の動作が困難になる障害だ。国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科医長の藤谷順子医師はこう語る。

「脳卒中の発症直後には半数以上の患者に嚥下障害がみられますが、脳卒中の部位によって早くよくなる場合と長引く場合があります。飲食物が気管から肺に入る誤嚥は命に関わることもあるので、病状を見極め、適切なリハビリを早期からおこなうことが重要です」

 初めて脳卒中で片麻痺になった患者は早い段階で嚥下障害が改善する場合が多い。意識がはっきりしていれば3ミリリットルの水を3回飲む水飲みテストやゼリーを食べるフードテストをおこない、問題がなければ直接訓練をおこなう。からだを少し後ろに傾け顎を引いた姿勢などで、少量ずつのみ込む訓練をしていく。障害の程度によりゼリー、とろみ水、ペーストなど段階的に普通食に近づける。

 一方、長引くと予想できるのは三つのタイプがある。

 一つ目は脳幹にある嚥下中枢の部分がちょうど障害された場合だ。手足の麻痺はなく、嚥下だけが困難で重度になるケースもある。

 二つ目は脳幹が広範囲に障害された場合で、意識障害を伴い人工呼吸器や気管切開に至ることもある。このタイプは重い嚥下障害が残ることが多い。

 三つ目は脳卒中が再発して1度目とは反対側の脳が障害された場合だ。唇や舌の動きも悪く、のみ込みも不良である。

 このような患者にはまずは呼吸、発声や発音の練習、舌や唇の体操など「間接訓練」といわれる嚥下に関わる器官の運動をおこないつつ、直接的なのみ込み訓練に移行していく。

 嚥下障害がやや長引くが回復が見込まれる患者には、チューブを口から食道まで入れて栄養を注入し、注入後はチューブを引き抜く方法がある。

「経鼻胃管を留置することや胃ろうを作る不利益がなく、チューブをのみ込むと嚥下反射が起こるのでそれ自体が嚥下リハビリになります。意識がはっきりしていて手足の麻痺が軽い患者に適しています」(藤谷医師)

 手術をおこなう場合もある。食道の入り口を少し切って緩める手術だ。手術とリハビリで食べられるようになる患者もいる。

「手術が有効な病態かどうかは主治医を通して専門医とご相談ください。手術後もリハビリが必要なこと、元の機能に戻るわけではないこと、気管切開や合併症についてもよく理解した上で、手術に臨む必要があります」(同)

週刊朝日    2017年7月21日号

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