ゴエモンのつぶやき

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受給要件は? いくらもらえる? 意外と知らない障害年金

2017年03月31日 03時26分39秒 | 障害者の自立

 大半の人が、年金と聞くと「老後にお金をもらえる仕組み」を連想すると思います。もちろん間違いではありませんが、年金には保険の機能も備わっています。

 ケガや病気で障害を負ってしまったときに出る障害年金も、そのひとつ。ただし、自身の保険料納付状況や受給要件などを把握しておかないと、「今こそ必要」というときに年金を受け取れなくなることも考えられます。

 そこで今回は、障害年金の内容や受給資格などについて紹介していきます。

障害年金は「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類

 障害年金には、国民年金から支給される「障害基礎年金」と、厚生年金から支給される「障害厚生年金」の2種類があります。

 「障害基礎年金と障害厚生年金のどちらを受け取れるのかは、障害の原因となった病気やケガの初診日に加入していた年金制度や状況によって変わってきます。下表を参照してください」

障害基礎年金と障害厚生年金の対象者の違い

 

 なお、会社員などで厚生年金に加入している人は、国民年金にも加入していることになります。障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師から診断を受けた日に厚生年金に加入していれば、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の双方を受け取れることになります(下図参照)。

万が一の際にもらえる障害年金の種類

 

 「なお、障害には、その重さに応じた等級が国によって定められています。これを『障害等級』といいます。障害基礎年金は障害等級1級・2級が対象になりますが、障害厚生年金では3級も対象になるうえ、軽度の障害に対しては『障害手当金』という一時金が支給されます。以下で、金額や算出法も含めて紹介します」(山田さん、以下同)

障害の程度による障害年金の支給の有無ともらえる年額(2017年度の額)

 

障害等級の目安

 

      

初診時に一定の年金未納があると障害年金をもらえない

 障害年金をもらうには、既出の表「障害基礎年金と障害厚生年金の対象者の違い」で示した対象に該当することに加え、以下1~3の条件をすべて満たしている必要があります(注)。

(注)3.は、AかBのいずれかに該当していればいい

1. 国民年金もしくは厚生年金の被保険者期間中に初診を受けた傷病が原因で障害状態になった
2. 障害認定日(※)の時点で障害等級1~3級の状態にある(ただし、3級が対象になるのは障害厚生年金のみ)
3-A. 初診を受けた月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の保険料を納付している(免除期間も含める)
3-B. 初診日が2026年4月1日より前で、初診を受けた月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない(初診日の時点で65歳未満であることが条件)

※国が、対象者の障害状態を認定する日のことで、基本的には初診日から1年6カ月後。初診日から1年6カ月以内に「病気やケガが治った」「病状が固定した」という場合は、治った日や固定した日が障害認定日になる

3-Aの例(国民年金加入者の場合)

 

3-Bの例

 

 「ちなみに、受け取れる障害年金の種類は、初診日の時点で加入していた年金制度に準じます。例えば、自営業者(国民年金加入)から会社員(厚生年金加入)に転職した人が障害を負った場合などは、初診日のタイミングによって、障害基礎年金しかもらえないケースと障害基礎年金・障害厚生年金の双方をもらえるケースに分かれるのです。

 さらに言えば、先の例のような場合で、国民年金の被保険者だった期間に未納があると、障害基礎年金をもらえなくなることもありえます。【後納制度・高齢任意加入】未納で受給額はどう変わる? 老齢基礎年金を満額もらう方法でも触れましたが、未納がある人は、元気なうちに解消しておくべきです。

 ちなみに、後納制度による納付が初診日以降だと、後納分は受給資格要件としてカウントされません。確認されるのは、あくまで初診日の前日における納付状況だと覚えておきましょう」

障害年金の請求手続きのフローとポイント

 障害年金は、老齢年金と同じで、条件を満たしていても、請求手続きをしなければ受け取ることができません。ここでは、フローとポイントを紹介していきます。

1. 年金事務所や役所に相談
 近くの年金事務所や住んでいる自治体の役所などに相談し、必要な書類を受け取ったり、手続きについての説明を受けたりします。

2. 初診日の証明・診断書の作成をかかりつけ医に依頼
 かかりつけ医に所定の用紙を渡し、障害状態に陥る原因となった傷病の初診日や障害認定日の状況に関する診断書を作成してもらいます。診断書を作成する医療機関と初診時の医療機関が異なる場合は、初診を受けた医療機関で「受診状況等証明書」を作成してもらいます。

 「診断書の様式は、下表のように8種類あります。いずれも、障害等級を定めるための細かな基準が設けられていて、ちょっとした表記の違いで等級が変わってしまうことがあります。診断書の作成依頼時には、現在の日常生活の困難さや就労状況などについて、医師に明確に伝えるようにしましょう」

診断書の様式の種類

 

3. その他必要書類を用意して提出
 1.で受け取った「障害年金請求書」「病歴・就労状況等申立書」に必要事項を記入します。また、住民票などの必要添付書類を用意し、医師に作成してもらった診断書などとともに年金事務所に提出します。

4. 「年金証書」「年金決定通知書」などが届く
 提出した書類が審査され、正式に受給資格があると認められると、日本年金機構から「年金証書」や「年金決定通知書」、説明パンフレットが送られてきます。これらが届いてから約1~2カ月後に年金の振り込みがはじまります。

年金はしっかり納めて、障害年金の知識は家族間で共有しておこう

 ここまで紹介してきたように、年金は、万が一の際の保険になることがお分かりいただけたと思います。“どうせ老後になっても大してもらえないだろう”という理由で保険料の納付を放棄している人も多いようですが、いざというときのことも視野に入れ、保険料はしっかり納めるべきです。

 「また、自身が重い障害を負うと、ショックや今後の不安で頭がいっぱいになるものです。障害年金のことを失念してしまうおそれもあるので、自身が仕組みを理解するだけでなく、家族間でも共有しておきましょう」

取材・文/竹内太郎   2017年03月29日


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