ゴエモンのつぶやき

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奇跡の笑顔 全盲・重複障害を生きる(29)綱渡りの入学式

2017年06月19日 00時01分27秒 | 障害者の自立

常に「窮地を逆手」の人生
 音十愛ちゃんの盲学校小学部卒業式で感極まった山崎理恵さん(50)=高知市=だったが翌月、同じ体育館での中学部入学式でも感激した。

 「もう、すっごくうれしかったんです。二つも夢がかなったから」

 一つは母子2人で手をつなぎ歩いて入場したことだ。「今までずっと車いすの子だったでしょ。歩いて登場させてやりたい。それが夢だったんです」

 もう一つは制服。「つなぎのような介護服しか着たことがなかったんですよ。もう感動しました!」

 家計にとって制服代は厳しかったが、大満足の入学式。だが、その舞台裏は綱渡りだった。というのは、音十愛ちゃんが体調を崩していたからだ。2週間前からの風邪で前夜も38度4分。母は夜中、2時間おきに胃ろうで水分注入し解熱を図った。午前7時半で37度少し。「よし、熱が出ないうちに」と家を出てきたという。

 「新たな3年間ですからね。這ってでも連れて行ってやりたかったんです」。前夜はほとんど寝ていない。

 だが、それだけでは済まないのが山崎家だ。入学式が終わると、母は即座に80キロ、車で2時間離れた室戸高校へ向かった。女子硬式野球部に入る姉の入学式と入寮式が午後からだったのだ。当日昼すぎ、姉は一足先に室戸入りしていた。野球部仲間で南国市在住の母親が送迎を引き受けてくれたのだ。山崎さんはギリギリ間に合ったが、それが精いっぱい。式典中は眠りこけた。

 この日、もし音十愛ちゃんの熱が引かなければ、どうなっていたのだろう。感染症だとデイサービスも使えない。そうなると奥の手しかない。別れた夫の実家で午前中、音十愛ちゃんを預かってもらうのだ。母が1人で盲学校の入学式へ。終了後、迎えに行って病院へ行くか、家で看病するかだ。そうなると、姉の入学式にも参列できなかった。

 両方の入学式に出ると出ないでは、天と地の差。そんな冷や汗の展開は毎度のことで、山崎さんはこう開き直る。

 「だからね、もう、こうやって人様(ひとさま)にはお世話になりっぱなしなんです。でも、そうでもしないと、こんな身寄りのないシングルマザーが高知では生きていけないんですよ」

 実は入学式前日も山崎さんは室戸へ車で往復。野球部の寮に生活用具を運んだ。そして翌日、睡眠不足で盲学校の入学式。さらに室戸へ、だった。

 恐ろしくタフだ。休日も法人設立への手続きや関係者との打ち合わせ、スタッフ、物件探しで休みなし。大丈夫なのか。

 「性分なんでしょうかね…。自分の限界までやってしまうんですよ。それでもだめだったら、『ないからつくって』って訴える。振り返ってみると、そんな生き方だったのかも。でも、そういう人間がいるから、新しいものが生まれてくるのかもしれない、って開き直ったりもするんですよ」

 窮地を逆手の人生。それは、まだ当面続くという。

 「3月にオープンした茨城県のお母さんが言ってたんです。オープンまでは本当に大変。もう、地獄みたいだったって。でも、始まったら本当にやって良かった。毎日が楽しいって」

 「地獄」って何? その意味を知るために茨城へ向かった。

綱渡りの一日。山崎理恵さんは午前中に盲学校中学部入学式=写真上=を済ませると、午後は長女(前列左から2番目)の室戸高女子硬式野球部の入寮式へ(4月7日)

2017.06.18   高知新聞

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