ゴエモンのつぶやき

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<認知症を支える>(中)命のお守り GPSがつなぐ在宅介護

2016年10月29日 02時09分29秒 | 障害者の自立

 高崎市は昨年十月から、はいかい高齢者救援システムの運用を始めた。六十五歳以上で徘徊(はいかい)行動がある高齢者を介護する家族などが対象だ。

 衛星利用測位システム(GPS)端末を靴やバッグに装着した利用者が行方不明になった場合、市から委託された民間の「見守りセンター」が位置情報を提供。家族が現場に行けない場合はセンター職員や警察が捜索、発見保護まで行う。

 桜井宏子さん(62)は母テル子さん(88)のため、重さ約三十グラムの小型GPS端末を埋め込んで中敷きをかぶせた靴を玄関に一足だけ置いている。靴は人によってサイズが違うので実費だが、GPS端末の貸与は無料。かかと付近の中敷きがへこむため、プラスチックを入れて改良してもらった。

 GPS端末は一週間に一度は充電する。うっかり忘れても見守りセンターから連絡が入る。充電は二、三時間で終わるという。

 GPSで位置情報を調べてもらったことはまだないが、宏子さんはこのシステムを「命のお守り」と呼ぶ。「本人もそうですが、心配で寝ることもできない家族にとっても命のお守りです」

 市介護保険課によると、市内で徘徊行動があるのは約五百人と推定される。

 今年二月、施設から姿が見えなくなった八十代の認知症の女性が東京・板橋区で保護された。電車で移動していた。バッグに入っていたGPS端末で位置情報を確認し、通報からほどなく見つかった。二十六日現在で百九十六件の申請があった。GPSを活用した保護は延べ八十八件に上る。

 介護支援専門員の橋爪晴子さん(55)が市内で関わっている利用者の八十代の男性は、袋に入った二つのGPS端末を首から下げている。一つは市がはいかい高齢者救援システムの運用を始める前の昨年春、親族が民間会社から実費を払って借りた。「何度も迷惑はかけられない」とまずは自前のGPS端末で捜し、見つからないとピンポイントで位置情報が分かる市のGPS端末に頼る。計四回、利用したという。

 男性は午後から夕方になるとそわそわし始める。目を離した「魔の一瞬」に出て行ってしまう。足腰が丈夫で、十キロ以上も離れた前橋市で保護されたこともある。妻と二人の老老介護の世帯。認知症の症状がさらに進むとGPSがなければ在宅は難しくなるという。

 別の認知症の女性は徘徊して発見が遅れ、水路で凍死して見つかった。橋爪さんは「GPSがあったら、悲劇は防げたかもしれない。徘徊に伴う家族の負担も減る。必要と思ったらためらわず申請してほしい」と利用を勧める。

 高崎市では介護認定の有無は問わず、認知症の症状が出始めたような段階で家族が認知症かどうか不安に思った場合にも利用について相談できる。入所や通所施設などにも門戸を開き、救援システムに関わる事業所・施設は七十三件に上る。対象を障害者にも拡大している。

 GPSによる捜索システムを導入しても利用が伸び悩んでいる自治体も多く、全国から市に行政視察が相次いでいるという。

 市介護保険課の中村剛志係長は「地域の介護力を育てながら、現在困難に直面している徘徊問題にどう対応するか。IT機器を使って尊厳を損なうことなく、高齢者が住み慣れたところに少しでも長く暮らせるように見守りたい」と話す。

2016年10月28日   東京新聞

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