ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

お爺さんにこの映画を薦められ感涙

2016年11月08日 01時54分55秒 | 障害者の自立

香港で大きな話題を集めた実話を映画化し、香港の2015年興収ランキングNo.1の大ヒットを記録した映画『小さな園の大きな奇跡』(公開中)。本作は、閉園の危機にあった幼稚園の園長になった女性と、彼女を支えた夫、5人の少女とその家族が起こした奇跡を描いた感動ドラマ。香港の大スター、ミリアム・ヨンとルイス・クーが共演し、日本ではアジアフォーカス・福岡国際映画祭で観客賞を受賞した。映画のプロモーションのため来日したエイドリアン・クワン監督と、心理カウンセラーの傍ら本作の脚本を担当したハンナ・チャンにお話を伺いました。

監督:最初のニュースは、「閉園間近の幼稚園で、4,500香港ドルで働いてくれる園長先生を募集している」というものでした。香港は少子化を迎えていて、有名でない幼稚園が閉鎖されていくなかで、仕方のないことだと思ったし、当時は応募する人なんていないだろうと誰もが笑っていたようです。しかしその後、実際に応募した人がいるという2番目のニュースが報じられ、僕もそれを新聞で知りました。

2009年でしたが、それ以来ずっと頭の中にあり、なぜルイ先生はたった5人の園児のためにそんな大変なことが出来るんだろうと思っていました。有名なエリート幼稚園で子どもたちの面倒を見ていたルイ先生にとって、5人というのは些細な人数です。ところが数年後、僕自身が貧困家庭や障害者をサポートするチャリティ団体に参加して、すべての子どもが、とても重要な人生を送っているのだと気付かされました。そしてルイ先生の「自己を犠牲にする」精神がわかった気がしたんです。そこでルイ先生に会い、彼女の話にとても感動して、どうしても映画にしなくてはと思いました。
──心理カウンセラーでもあるハンナさんは、このニュースをどう受け止めましたか?
 
ハンナ:最近、世界では、幸福を得るにはどうしたらいいのかというリサーチが進んでいて、最も幸福な人たちは、自らを社会や他人のために尽くす人だという結果が出ています。自分のためじゃなく、他の人に対しても貢献することが幸福の鍵であり、人生において情熱や使命感を持つことが重要なのです。

ルイ先生の話で感動的だったのは、彼女が少ない報酬で仕事を受けたことではなく、子どもたちと一緒にいようと思ったその志。子どもたちに「あなたのことを思っていますよ」とメッセージを出したことです。子どもたちは、自分が愛されているという承認欲求が満たされたと思います。
 
──映画化にあたっては、どの程度脚色したのですか?
監督:ストーリーのほとんどは現実に則しています。難しかったのは、重要なのはどこなのか、要素を探り出す事でした。ルイ先生の困難な課題へのチャレンジの数々は、2時間の映画に収められるようなものではありません。僕自身にとって感動的だったのが、卒園式のシーンだったので、これを映画の最後に位置づけようと考えました。

初めてルイ先生に会ったのは、2013年の卒園式でしたが、その年は15人くらいが卒園しました。僕は感動して涙を流しましたが、2009年の卒園式はどれほどに感動的だったろうと思い巡らせました。たったひとりでも卒園式をやると先生が約束していたのです。今でも思い出すと涙が出ます(涙)。
──ルイ先生を演じたミリアム・ヨン、そしてその夫を演じたルイス・クーとはどんな話し合いをしたのですか?
監督:ミリアムは、何度かルイ先生に会ってもらい、話を交わすなかでどんな演技をすべきか探りながら、色んなことを分かち合っていたようです。

ルイス・クーは、最初にオフィスで30分話したんですが、3ヶ月後、彼が言うには「30分のうち最初の5分しか君の話は分からなかった。あとの25分、君はずっと泣いていたから!」って(笑)。でもそれでどんな映画になるのか分かってくれたようです。FBIとかではない普通の夫婦の日常で、誇張的な表現ではなく、心からの自然な演技が必要なのだと理解してくれました。
──5人の子どもたちのキャスティングや演出は大変でしたか?
 
ハンナ:400人の中からオーディションで選びました。最初に10人を選び、2ヶ月にわたって一緒に過ごして、10人の中から5人を選びました。2ヶ月の間で重要だったのは、指導したり技術を教えることではなく、私たちがどんな使命感をもってこの映画を作ろうとしているのかを知ってもらうことでした。香港には実際にこういう境遇の子どもたちが居るということを分かってもらいたかったのです。そして演技の技術ではなく、他者に共感するという能力を身につけて欲しかった。劇中で涙を流すシーンもたくさんありますが、あれは演技ではなくて本当の涙。恵まれない子どもたちの状況を感じ取り理解してくれたのだと思います。
──撮影中の大変だったシーンやエピソードを教えてください。
 
監督:雨のシーンが一番大変でした。雨を怖がっていたチュチュが、初めて雨に触れるシーンです。そっと手を差しのべるんですが、100回ほどリハーサルしました。チュチュは事故で両親を亡くしていますが、演じた彼女は裕福な家の出身で、「両親を亡くす」ということが理解できないんです。そこで僕は、自分の母の話をしました。僕自身が母を亡くしているので、母のことを思い出しただけで泣いてしまうんですが(泣)、話しているうちに彼女も一緒に泣いてくれて、「監督、わかった」と言ってくれました。彼女は僕に共感してくれたのです。僕自身も母を思い出すシーンなので、つい涙が出てしまいます。
 
ハンナ:私にとって大変だったのは卒園式です。カカと時間を共にして、感情の変遷を細かく説明しました。非常に頭の良い子なので、スピーチと感情のタイミングをぴたりと合わせてくれたので、見ている皆が驚きました。
 
監督:カカの卒園式のシーンは重要なので、爆破シーンを撮る時のように周到に準備して臨みました。カメラマンには1テイク1シーン、ノーカット、リハーサルなしで一発撮りすると予告しましたが、さすがに5歳の子どもの芝居なので「本当に出来るのか」と聞かれました。私はこの子を信じて「絶対に出来る」と言いました。ハンナは2時間の間、カカを抱きしめ、集中し、その間誰も話しかけません。一発撮りしなければ自然な感じは出せないし、失敗したら取り返しがつかないので大きなリスクでしたが、2人を200%信頼していました。本番ではカメラを4台回し、カメラに映らない俳優も勢揃いして静かに座っていました。どの瞬間も永遠に感じられ、終わった後全員で泣いていました。
──この映画を通して、改めて気付いたことは?
 
監督:こういったポジティブなエネルギーを持った映画を作ることは非常に重要で価値がある。続けていく勇気をもらいました。
 
ハンナ:この映画は、香港では“カテゴリI”と呼ばれる、誰でも見ることが出来る映画(日本では“G”相当)ですが、このカテゴリには市場がないと思われていました。でも昨年(2015)、この映画が興行成績1位をとったのは奇跡であり、観客にとっても驚きでした。愛と希望のメッセージを映画で発信し続けることの勇気を得られました。
 
監督:香港で上映している時、面白いことがありました。トークショーに出演するため、外に立っていたんですが、映画館の掃除をしていたお爺さんがやってきて、「この映画を観るのかい?」と聞かれました。「えぇ、まぁ…」と答えたら、「絶対に見た方がいい!夢を持たなきゃ!って思えるよ。ハンカチを忘れずにね!」と言われました(涙)。彼にとって僕は迷える青年に見えたのかもしれませんが(笑)。この映画が、人に勇気を与える作品であり、映画を通して得たものを次の人に伝える、そんな分かち合いの精神に感動しました。こういう映画を作り続けなければと思いました。
──先ほどから監督が感極まって涙を流しています…
 
ハンナ:彼は、愛や希望の話について、とても感動しやすいタイプなんです(笑)。悲しみの涙ではなく、感動の涙ですよね。映画を通して人の心を動かすには、自分自身が心を動かされなければならないと思います。脚本を一緒に書いている間、ほとんど毎日泣いていましたよ(笑)。
 
監督:実は10年くらい泣かなかった時期があるんです。自分でもおかしいんじゃないかと思うほど。でも、いわゆる“ゴスペルムービー”と言われる、愛を伝える映画を撮り始めてからは、愛情や心の問題にまつわる映画が私の涙腺を刺激するんです。今回の映画で、香港はアクション映画だけじゃなく、こういう映画も存在するんだと知ってもらえると思います。私は日本映画にも随分感動させられました。特に、山田洋次監督作品から非常に強いインスピレーションを受けました。感動的な話や人間性を語るマスターだと思っています。だから、日本で私の映画が公開されることが非常に嬉しいんです。
──最後にメッセージをお願いします。
 
監督:夢を持ち共有しましょう。勇気を持って、おそれずに夢見る人になってください。年齢を問わず、困難を乗り越える力をくれるのが夢です。そして映画を通して愛と希望を世界にもたらすことができると信じています。この世界がより良い場所になると思っています。
      
 
 
──『小さな園の大きな奇跡』エイドリアン・クワン監督&ハンナ・チャン(脚本)
 
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