ゴエモンのつぶやき

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「発達障害の子どもたち」のケア疲れで辞める保育士が増加…

2016年10月12日 02時24分42秒 | 障害者の自立

保育現場で必要とされる「発達障害支援」の役割とは?

 文科省の調査によると、小・中学校の通常学級に在籍している発達障害者の割合は約6.5%。保育園にも発達障害の子どもがいるのは当たり前の時代となっている。しかし保育士は発達支援の専門家ではないため、悩みを抱え自信をなくし現場を去っていく人も多いという。その問題にいち早く危機感を抱き、10年ほど前に「発達支援チーム」を発足したのは、全国168カ所で保育園を運営する子育て支援事業最大手のJPホールディングスだ。

 その活動内容と、今までの取り組みによる保育現場の変化について、取締役の青柳淳子さんと発達支援チーム主任の田中雅子さんに話を伺った。

――発達支援チームを発足したのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

青柳さん 保育園は園児を選んでいるわけではありませんので、発達障害のある子は普通に入ってきますし、0歳から預かっていると成長の過程で気づくこともあります。それはどこも同じだと思うのですが、10年ほど前、当社が運営する保育園に入ってきたお子さんが、年下の子どもたちに手を出してしまっていたんですね。集団生活のなかでその子をどのように保育するべきか、自治体の窓口や専門機関に相談しました。

 ところが相談件数が多いという理由で時間がかかるので、会社に相談したところ、「それは子どものためにいち早く対応する必要があるね」という話になりました。発達支援の専門家に相談したり、研修に招いたりするうちに発達支援チームが生まれたのです。

 発達障害があるお子さんは、同じ発達障害の診断名でも、子どもによって様子や対応が異なるんですね。同じ自閉症の子どもでもタイプやレベルが違うために前例が通用しない、というようなことがたくさんあります。そのむずかしさのなかで「どう対応してあげたらよいのかわからない」と、自信を無くす保育士がいたことも、発達支援チームが必要になった理由のひとつです。

――子どもの発達障害は、集団生活のなかで見ている保育士さんのほうが親御さんより先に気づくことが多そうですが。

田中さん そうですね。たいていの保護者の方は子どもの特徴を個性と思いたいものです。例えば手が出てしまう行為ひとつとっても、発達障害が原因のこともあれば環境要因での情緒不安定、成長のひとつの段階の場合もあります。落ち着きのないお子さんは叱られることが増えるので、情緒も不安定になってますますエスカレートすることもあります。必ずしもそれが発達障害だとは限りません。

 発達障害かどうかは医師が診断します。私たちが発達支援をする際に大切なことは、そのお子さんの発達を理解することです。そのために、そのお子さんが生まれてから現在までの生育歴をきちんと把握し、担当の保育士からも細かい情報を集めて、現状の行動や言葉の発達なども総合したうえで、どのように発達支援していくか考えます。


――発達支援チームはどのような活動からスタートしたのでしょうか。

青柳さん 発足当時はまず研修からスタートしました。当社が運営している保育園に出向いて、近くの保育園の保育士にも集まってもらって研修をしたのです。そうすると、質問が非常に多くて驚いたんですね。「今うちの保育園にこういう子どもがいるんですが、どうすればいいですか?」といった質問はどれも切実で、研修が終わったあともみなさん残って話を聞いていました。

 発達障害のあるお子さんの中には、行動のコントロールができなかったり、パニックを起こして止まらなくなったり、皆と同じ行動・活動をするのが苦手なお子さんがいます。そうすると、日々の集団保育がままならなくなるんですね。外へ散歩に行くような活動などはさらに配慮が必要になります。

 そういった現場の状況を見て「これはもう発達支援の専門家に実際の現場に来てもらって、相談をする必要があるね」と、発達支援チームによる巡回相談をはじめるようになりました。

田中さん 保育園の現場を巡回して発達支援チームがまずおこなうことは、そのお子さんが何に困っているのか「困り感」を理解することです。発達障害のあるお子さんがいろいろな場面で不適応を起こすと、周りの人間が困っているように見られがちですが、一番困っているのはそのお子さん自身なんですね。これはとても大事なことだと思っています。もちろん保育士もどのように対応したらよいか悩んでいますが、保育士と一緒に考えるのが発達支援チームの大きな役割です。

――発達支援チームの巡回指導では、具体的にどんなことをしているのでしょうか。

田中さん 発達支援チームの巡回相談では、保育現場で一緒に参加し、子どもたちの様子ををさりげなく観察します。


 そのなかで子どもたちの様子や、苦手なこと得意なことなど、気がついたことを保育士や園長などと話し合いをします。もちろん、園のほうから子どもたちの様子や、これまでの経過などの情報をもらいます。そういったものを総合して話し合いをしながら子どもたちの発達に見合った対応の仕方を考えていきます。

 ただ、発達が気になるお子さんにとって良いと思える支援がわかっても、保育園は集団保育が基本なんですね。その状況のなかで何ができるかをはっきりさせることが大事です。それを、保育士と一緒に考えます。

 保育士も新人からベテランまでいますし、それぞれ現場の状況も違います。だからこそ、子どもの発達に見合い、かつ、保育士が実現可能な提案を考えることが必要であり、難しいのです。そのため、園全体・社内のチームワークで、できるだけ細かなフォローやサポートができるようにしています。

――そういう意味では、会社のなかに発達支援チームがあることは大きなメリットですね。

田中さん まさにそのチームワークが一番の強みでもあります。自治体などでも心理士が定期的に保育園を訪問して相談に乗る活動は、最近とても増えています。でも会社のなかにその専門のチームがあると、巡回相談だけでなく、いつでも情報共有・連携が取りやすく、継続的にみていくことができるんですね。

 社内には、リトミックや体操の先生もいますので、そういった違う部署の先生方とも情報を共有しています。発達障害のお子さんはある特定のものしか食べられないお子さんもいますので、栄養士と相談しながら給食に工夫をしたり、場合によっては保護者の方に食べ物をお持ちいただくなど、お子さんにとって一番大切で必要な対応を考えます。

 また、保育士や看護士と一緒に、療育施設や病院など専門機関に行くこともあります。そこでどういう療育をしているのか見学をしたり、支援の仕方を教えてもらったりしています。さらに専門機関などと連携をとって協力し合うなど、できることがあれば積極的に進めています。このようなフットワークの良さや決断の早さ、そして会社のなかに垣根がないこともすごくありがたい環境だと思っています。

「発達障害の子どもたち」のケア疲れで辞める保育士が増加…保育現場で必要とされる「発達障害支援」の役割とは? 

発達支援チーム 田中雅子さん

 2016年10月11日    ダ・ヴィンチニュース

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