家主が賃貸住宅への入居受け入れをためらうケースが見受けられる高齢者や障害者世帯の住まい探しを、官民で支援する北九州市の「協力店制度」が27日で導入から1年を迎える。市が住居の仲介に積極的な不動産業者を登録して希望者に紹介する制度で、導入当初39店だった協力店は73店に倍増。昨年11月からは協力店にステッカーを張ってもらい、利用者に分かりやすくPRする取り組みも進めている。
協力店制度は、市が登録した不動産業者の情報を区役所窓口や市のホームページで高齢者や障害者世帯に提供。入居の相談を受けた協力店は、見守り活動を行っている地域の団体や市の窓口を紹介しながら家主に入居の受け入れを働き掛ける。入居が決まれば協力店は市に連絡し、入居者に異変があった場合、早期に対応できるようにする仕組みだ。
日本賃貸住宅管理協会が2015年、家主約27万人を対象に行った調査では、高齢者と障害者の入居に対しそれぞれ約7割が「拒否感を抱く」と回答。理由としては「家賃の支払いに対する不安」「居室内の死亡事故に対する不安」が上位を占めている。
市によると、昨年5月27日の導入後、不動産業者から「協力店ということを知って訪ねてきたり、電話があったりした」との声が上がっているほか、障害者からも「家探しは苦労するので、制度ができてありがたい」などの声が寄せられているという。
北九州市の高齢化率は15年1月現在、全国20政令市トップの27・8%に上っており、市住宅計画課は「高齢者や障害者が今後も安心して民間の賃貸住宅に住むことができるように、協力店をさらに増やしていきたい」としている。問い合わせは同課=093(582)2592。
市が作製した「協力店」のステッカー
=2017/05/26付 西日本新聞朝刊=