伊那市伊那図書館を拠点とする音訳ボランティアサークル「鈴音(すずね)の会」は二十五日、地元の昔話を基にした絵本「赤い夕顔の花」を紙芝居にアレンジし、同館でお披露目した。
同会は、視覚障害者のために新聞記事の朗読CDを作っており、上伊那地域の二十人が所属。このうち十人ほどで高齢者施設を訪問し、紙芝居を上演する活動も続けている。
「地元の民話を上演したい」との声が上がり、会員と親交のあった市内の漫画家橋爪まんぷさん(76)に協力を依頼。橋爪さんと箕輪町の作家小沢さとしさん(78)が手掛ける「絵本伊那谷ものがたり」シリーズの一作を紙芝居にすることで快諾を得られた。
絵本の原画二十一枚をA2判に拡大カラーコピーし、文字を消した余白に橋爪さんが夕日や木々など背景の絵を加筆。文章には同会が紙芝居用のせりふなどを加え、図書館が本の保護フィルムで絵を覆って完成させた。
「赤い夕顔の花」は、戦国時代に下伊那地域であった領地争いにまつわる悲話と、伊那市高遠町の寺に伝わる「夕顔観音」の伝説を基に創作した物語。
同会の小俣攻さん(73)=同市前原=は「地元の隠れた昔話を知ってもらう機会になれば。話に引き込めるよう読み手も練習を重ねたい」と話し、七月から実際に披露するという。紙芝居は同館で一般にも貸し出す。
「赤い夕顔の花」の紙芝居を披露する「鈴音の会」会員ら
2017年5月26日 中日新聞