散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

栗山町議会基本条例、もう一つの特徴~改革が先、条例は後

2014年03月09日 | 地方自治
「北海道栗山町の議会基本条例の核心は何か、もう一度検証する必要がある」との福嶋浩彦氏の言葉を一月前に記事にした。それは鋭い指摘であるが、その内容と共に、栗山町議会が住民を対象とした議会報告会等の改革を先ず実施し、それを後の世代にも残すために条例化したことも合わせて思い起こす必要がある。それは盲点でもあるからだ。
 『北海道栗山町の議会基本条例140207』

筆者が改めて「改革が先、条例は後」ということに思い至ったのは、横浜市議会が議会基本条例を成立させたことを知ったからだ。全国自治体の25%が議会基本条例を持つようになり、更に人口370万人、日本最大の基礎自治体である横浜市も、その仲間に入ったことは、その普及を象徴するものだ。

しかし、それは一つの転換期あるいは曲がり角にさしかかったとの印象を持たせる。横浜市の成立過程とその内容は「議会改革の現状」をも象徴しているように感じさせるのだ。

即ち、成立した条例の中にはアクセサリー条例・理念条例が多く、川崎市議会の様に、本来の議会改革の具体案がなにひとつ無く、また、改革と云っても議会運営上の改善に止まっている処が多いのが現状である。このことを鋭く指摘しているのが、上記の記事に引用した福嶋論文だ。横浜市の条例もその例に漏れず、具体的な施策は何も書かれていない。川崎市と似たり寄ったりである。

小生の問題意識も同じで、議会改革の中核になるべき、「自由討論ー課題・論点・争点の抽出ー意思決定」(全体として情報開示・住民参加含む)は回避して、議会運営上、全員一致で出来ることをやっているだけの議会が多いのだ。

大縄飛び(運営上の改善)を2,3回だけ跳べるようになり、大人数(横浜市)でも出来るようになったが、走り高跳び(議会改革)は、とても出来そうにない状態である。期待するのが無理で、縄跳び程度で我慢せざるを得ないのだ。

しかし、今後も議会基本条例ができるにしても、できることによって、議会改革が進まないという事態も十分に考えられる。従って、その内容と共に策定プロセスもまた、考え直す必要があるだろう。

当時の栗山町議会の橋場利勝議長によれば、議会報告会を行った際に、住民から議員が替わっても、続けてやれるように、条例を作ったほうが良い、と住民から云われたことがキッカケで議会基本条例が誕生したとのことだ(「栗山町発・議会基本条例」公人の共社2006)。

良く言われるように、現在、各地方議会で行われている改革なるものは、議会基本条例が無くても出来ることだ。これからは、議会基本条例の数が改革にメルクマールではなく、改革そのものが大切になるはずだ。

      

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