散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

幻想の中の歴史物語史~日本武尊から西郷隆盛まで

2015年01月02日 | 回想
小学生の頃は野球、読書、それにラジオを聴きくことで過ごしていた。
 『幻想の中の野球少年140101』

読書では、昨日の記事の様に「少年探偵団」に導かれ、続いて読んだ少年少女歴史物語全集は何巻だったか覚えていないが、皇国史観のもとに書かれていた。それが表題にもあるように、「日本武尊」から「西郷隆盛」までだ。おそらく、小学4年生の頃に読んだのだろう。
 『幻想の中の読書事始め~ぼ、ぼ、僕らは少年探偵団150101』

一冊ずつ作者は別で、海音寺潮五郎だけは今でも覚えている。但し、そう思ってググってみても、著作一覧からは、それらしきタイトルは出てこない。代表作は「天と地と」で、上杉謙信の生涯を川中島の戦いまで描き、1960-1962年に『週刊朝日』に連載された。NHK大河ドラマになり、また、映画にもなった。

ただの記憶違いかもしれないが、更に記憶を逞しくすれば、当時の大衆歴史小説家が作者として選ばれていたように思える。できれば、この全集ごと調べてタイトルと作者を明らかにしたいと思っている。

歴史とは、過去のことであるが、それが整理され、過去の中でその意味合いが明らかにされて始めて歴史として広く認識される。従って、古い昔は何があったのか人の記憶からは忘れ去られ、また、資料も散逸して良く判らない。

一方、近い過去は、その意味合いが決められず、あるいは、解釈に立場の違いが表れて、認識が定まり難い。まだ、生存者が残る直近の過去は尚更だ。従って、直近を除き、その間の過去を“歴史領域”と呼んでみる。

従って、「日本武尊」から「西郷隆盛」までが当時、この本を企画した編集者及び作家の“歴史領域”だった。日本武尊の印象は、おそらく、その後に観た映画の印象が強く残り、本の内容は全く覚えていない。一方、西南の役で西郷が敗れ、城山で自害して(別府晋介に)介錯されたことは覚えている。

物語史としての歴史観は、当時、西郷の死を明治維新の完成とみて、そこで終わっている。父親の言葉は、「西郷がやっても勝てなかったから、そこで不平をもつ士族の人たちも諦めたんだよ」であった。そこは今でも、奇妙にも覚えている。

西郷は明治維新の功労者、政府と対立はしたが、岩倉具視が策謀者的に描かれ、取り巻きが反乱を企て、正直者として神輿に乗った人間として描かれている。勿論、徳川側も勝海舟による江戸城明け渡しで身を引いたことでその後の歴史から消えている。そこでは少なくとも悪人はいない。これが『「日本武尊」に象徴される天皇家による統一に始まり、「西郷隆盛」の死によって終結した明治維新により新たに統一された日本』を示す皇国史観の骨格が、鮮やかに残されている。

では、どこまで“小学生時代の本の記憶”が残っているのだろうか。

「日本武尊」の次は「大化の改新」。蘇我入鹿が悪者であり、中大兄皇子、藤原鎌足が倒す。次は、「遣唐使」。阿倍仲麻呂、吉備真備を中心に、帰朝できない悲劇の仲麻呂と政争に巻き込まれる真備。

続いて、源平時代、「東北の蝦夷征伐」、「保元・平治の乱」、「平家物語」。安倍氏、清盛が悪者であり、八幡太郎義家、源為朝、頼朝・義経の活躍と悲劇。

次は、「蒙古襲来」。これも日蓮の映画の印象が残っており、善悪を超えた“神風”の存在が際立っている。

次は、南北朝。「楠木正成と千早城」攻防の話は印象に残っている。南朝の後醍醐天皇側を善として、足利尊氏を悪者にしている。その後の応仁の乱は描かれていなかったように記憶している。物語の中心人物に欠けていたからだろう。

次は、戦国時代。「川中島」は信玄を中心に謙信を配し、「信長・秀吉・家康」はそれぞれ若き時代から描かれ、3冊あったはずだ。

続いて、江戸時代。「忠臣蔵」は吉良が悪者、「解体新書」は高野長英が主役で、大塩平八郎の乱があり、水野忠邦が悪者だ。

そして、「海援隊長・坂本龍馬」は題名を覚えている。海援隊長が珍しく聞こえたからだろう。最後の「西郷隆盛」になる。

以上、少なくとも16冊は覚えているようだ。それぞれ主人公がいる物語であって、結局、それが歴史を覚えるキーとなる。結局、その後の日本史も時代的な概念は理解していたから判り易く、世界史、地理、政経・倫社の社会科にも関心を持ったのはこの歴史全集のおかげだろう。

しかし、物語は単に「面白い話」という以上ではなく、その点、真田十勇士の猿飛佐助、霧隠才蔵の話と変わりない。皇国史観もイデオロギーではなく、物語として受け止めたのが一般的ではないだろうか。逆に言えば、それだけ、影響が広い。NHK大河ドラマも同じだろう。

      

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