ガラスの御伽噺 リョウ 香 の パロ

ガラスの仮面、シティ-ハンタ-(RK専門)、AHの小説
・・・時代考証はゼロ

原作等とは一切関係ございません

YOU CAN‘T HURRY LOVE ~10~ 間奏曲

2017-06-30 16:06:39 | シティーハンター

『あれ?』

岬の怪訝な声に香は振り向いた。

『どうしたの?岬さん。』

岬を送って来た香は、十条の工場の敷地にフィアットパンダを駐車した。なんとなく、別れがたく二人は工場の敷地をふらふらしていた。

岬は人気のない工場の二階部分を見ている。十条の研究室の明かりが灯っているか消灯されているか。十条の在籍の確認は、岬にとってはもう、無意識だった。

香はそんな岬の心象がなんとなく理解できる。ここで岬と別れ、すぐに新宿に帰ってしまうのは気が引けた。

『・・・気のせい・・かな。二階が一瞬明るかったような。』

『???』

岬の、今一つ的を得ぬ突然の発言に、香はキョトンと岬を見つめた。二階は十条の研究室で工場はもちろん、二階には誰もいるはずもない。その上、日中には十条の研究室から冴羽アパートで使用する電気機器のあらかたは搬出済で、電気が灯るような事はないはずなのだ。

『GPU取りに来たとき電気消したんだけど・・・?でも、さっき電気ついてたような。』

『今は暗くなってるわねえ。・・・ねえ、岬さん? 何か、消防設備の明かりとか?・・・でも、今は何もみえないし・・。』

香は右手の人差し指をあごに添えて、二階を見上げる。ちょっとした考え事をするときの香のクセだ。

『・・・(-_-;) あの、うちの会社、貧乏で・・・。そんな設備ありません。』

言われてみれば、工場の脇には、防火水槽代わりの古いバスタブが、満面の水をたたえて鎮座している。これが十条の工場の防火対策であるのは一目瞭然だ。

『・・・たはは、なんかアタシ、岬さんと気があいそうだわ・・・。』香の上にはトンボが直列で飛んで去っていく。貧乏同士、妹扱いされている者同士、他人と思えない。

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『まだ、いやがる・・・。』

エンジン音でとっさに電気を消した男は、十条の研究室に潜んでいた。下から見えない死角で、香と岬が工場の敷地から出ていかないのをイライラしてみている。

一人は茶髪に鼻にピアス、もう一人は伸びきったTシャツに勝手に伸びた髪の毛を撫造作に一本にまとめている。二人ともタバコくさいうえに、どうにも堅気に見えない。腰には小さめの黒い銃を差し込んでいる。

『パソコンもねえな。データってどこだよ〜?』

『いきなりボロ工場に行って、炭素繊維のデータを取って来いって。なんなんだよ。何がボロイ話だよ。なんもねえし。ヤクより儲かるんじゃなかったのか?』

『知らねえよ。データ持ってきたら100万円って聞いたし。あの、中国人、ガセじゃねえだろうな。』

『トカレフ(※)くれたヤツだぜ?ガセは言わねえだろ。俺らより先に来たヤツいるのかもな。てか、ああ??』

『どうした?』

『女が二人、こっちにくる!』

薄暗い十条の研究室で、二人のチンピラがあたふたと、香と岬見ていた。

『外の非常口からでるぞ!階段、静かに降りろよ!』

内側から錆びたスチールの重いドアを注意深く開けると、錆びて赤茶けた鉄の非常階段をそろりそろりと二人は降りて行った。

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『あれ?』

岬はシャッターを開けて事務所のドアノブの鍵穴にカギを差し込み入れると、手ごたえがない。

『どうしたの? 岬さん。』

『・・・香さん・・・。私、さっき鍵かけて、ちゃんと施錠の確認もしたんですけど・・・。開いてるみたい?おかしいな・・・。』

ドアを開けて中に普通に入ろうとする岬を、香は軽く彼女の腕を引いて制する。さっき、二階に電気が灯っていのが本当なら、十条以外に人間が十条の研究室にいる可能性が高い。しかも、その研究室に唯一入るべき十条は新宿の冴羽アパートで作業中なのだ。

香は獠が中東のマフィアに、彼らをあぶりだす為の情報をリークした事はしたことはまだ知らないが、敵が万一にも早い行動にでたのなら研究室にいるのはその連中だ。

香の脳裏には、クロイツのように統制のきいたいかつい兵士の姿が浮かび上がる。もし、プロなら香と岬の事はとっくに気づき、攻撃の機会を狙っているのかもしれないと計算された。岬と二人で簡単に捕まってしまえば、今後の任務遂行に大変な支障をきたすはずで・・・。

『・・・逃げましょう!!岬さん!!』

『え???なんで???香さん???』

事情を全く知らない岬には疑問しかないが、香の目は真剣そのもので。有無をいわせない目力があった。

『お願い、私の言うことに従ってほしいの。ね、岬さん。』

薄暗い事務所の入り口で、岬を香は顔を見合す。

『とにかく、逃げるの。車のカギはかけていないわ。岬さんは助手席へ。』

『香さん・・・。・・・分かりました。』

一瞬、岬は迷うが、事情は後で聞けばよいと気持ちを切り替えた。

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『ったく・・・。』

その頃、獠はクーパーの運転をしながら、盗聴器から消えた香を岬の気配を探っていた。

--香のことだから、岬くんと離れがたくて立ち話でもしてるんじゃねえだろうな--

“・・・困ったやつ・・・”

そう心の中でつぶやくが、いつも人と寄り添おうとする相棒の笑顔は、ひどく眩しくて、そして、恋しくて・・。

獠は香りを大切に守ってきた。

何より、サエバリョウとかいう、女に無節操な殺人鬼なんて、問題外だと思ってきた。サエバリョウこそ、香から一番遠ざけねばならない危険人物で…。

でも。

獠はサエバリョウから香を守って来たけれど、サエバリョウという猛獣は、いつの間にか香に飼いならされてしまって。

もう獠とサエバリョウの間に垣根はなくなっていた。

(※)トカレフ・・・中国で製造されている廉価な銃。

«続»

 

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