ガラスの御伽噺 リョウ 香 の パロ

ガラスの仮面、シティ-ハンタ-(RK専門)、AHの小説
・・・時代考証はゼロ

原作等とは一切関係ございません

YOU CAN‘T HURRY LOVE ~9~ ドライブは気を付けて

2017-06-19 12:33:10 | シティーハンター

香と岬が出かけた冴羽アパートのリビングで、十条は一人黙々と作業を続けながら、今日を振り返っていた。

慣れたプログラミング作業の傍ら、思考は冴羽という大柄な男に吸い寄せられる。

一見、どうしようもないスケベでだらしのない様を装ったいるが、行動も言動もいちいち的を得ていて。 喫茶キャッツアイで炭素繊維の話をしていたときも。…そして、つい、先程も。

撩はリビングに大量に置かれた電子機器や、コードやソケットを一瞥すると、恐縮する十条に確認程度でサッサと的確に繋いでしまっている。 おまけに、キーボードの位置やら何やら作業がしやすい場所もツボを押さえてのものだ。  

更にはコンセントもタコ足配線も、負荷が考慮され電圧が偏らない様に繋がれていて。こんな事は、各機器の消費電力を知っていないと出来ない事。

労働担当は、機器に貼られたシールに記載された仕様をチラッと見る程度で器用に作業をこなしていく。

槇村香はそんなパートナーをどう思っているのか、“文句言わずにサッサとやって!”と仁王立ちで監督していた。

最も、香としては撩の十条に対する態度が酷すぎるので、“ウチの労働担当は本当は使えます!”というアピールで、香なりに信頼回復に努めているのだが。

“な~んで、こんな雑用ばっか、リョウちゃんが〜”

香の焦りを分かっているのか否か。 がに股で背中を丸めて室内を歩き回る労働担当は、言葉と裏腹に手先は繊細だ。 文句タラタラの作業ではあるが、あっという間にセッティングされていく。

その手際の良さに十条は息を呑んだ。

ーー本当に、何者なんだ?ーー

ーーまさか電機屋じゃないよな?ーー

都市伝説のシティーハンターを初めて耳にしたのが昨日。

初めて会ったのが今日。

そして今に至る。

謎の男、冴羽は、『タバコの買出し』から戻ってきてはいなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

大抵、初対面はぎこちなくなるのものだが、フィアットパンダのドライバーと助手席の同乗者はおしゃべりに花が咲いている。

特に意識している訳でもないのに、香は初対面でも緊張させないトーク力の持ち主だった。

『へー、岬さんおウチ、十条さんの工場の隣なんだぁ。』 香の元気な声が、岬の頬を緩め、おしゃべりを止まらなくする。

『はい! 祖父は先代の頃から勤めてて。私工場に入り浸ってイタズラしたり…フフっ(笑)』

『イタズラ?! えー、何何?』

岬も人懐っこい性格で、二人のテンポも良い。

『昔、工場にすっごい旧式のフォークリフトがあったんですけど〜』

『旧式ってどんな感じなの?』

『オートマついていなくて、ギアチェンジするんですけど、レバーがギコギコしてすぐにエンストするんですよ〜!』

『あはは、なんか操作大変そうね』

『私が中学生の頃まで現役で工場で使ってたんですけど、操作、私が一番上手くて!』

『凄いじゃなーい』

『こっそり運転してたんですけどぉ』

『うんうん』

『ある日突然、みんなの前で運転したらうますぎて驚かれて! たっちゃん、あ…、隆さん、』

『たっちゃん、って呼んでるんだ(笑)』

『あ…、(照)』

『うふふ(笑)』

『『もう、お前、工場で働け!』って。で、今、ホントに工場で働いてます。』 顔をほんのり赤らめて微笑む岬は、香から見ても一目瞭然で…。

『岬さん、十条さんが好きなの?』

『え…(焦)』

『なんか、話聞いてたら。岬さんの青春って、十条さん無しでは語れないっていうか。そんな感じがして』 香には二人の淡い恋が微笑ましい。

『…私、たっちゃんに妹としてしか、見られてないから…』

『え?』

岬は寂しげに微笑んでいる。香は前を見ながら運転しているが、横から見えるその表情は自分とも重なる。 かつて、自分も苦しんだ。

恋しい男に、“妹”と宣言されて…。

急に無口になった香に、岬は戸惑う。

『香さん?』

『…あ…、ごめんなさい。その、突っ込んだコト、聞いちゃって…』

『…私こそ。ベラベラ話してごめんなさい。』

穏やかな沈黙が車内を満たす。

が…。

ーーな~に、仲良くなってんのかね。香のヤツ、勝手に動きやがってーー

撩は冴子との電話を強制的に切った後、クーパーを運転しながら、フィアットパンダに予め仕込んである盗聴器からガールズトークを聴いていた。

フィアットパンダに付いている発信機から車が移動しているのを受信し、様子を伺っていたのだが…。

ーー妹ねぇーー

香を守るため、亡き親友との約束を守るため。 かつては自分も香を妹として見ると頑なに言い聞かせてきた。 でも…

ーーもう、離さねえぜ?…香ーー

いつの間にか渋滞は途切れる。直線の道路で撩はアクセルに力を入れた。 先程、情報を流したばかりだか都内に手先の人間がいるはずだ。

事情は分かったが、香と岬の二人のドライブは、非常に危険で。 撩は、行き先を、十条の工場に代えた。             《続》

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