ガラスの御伽噺 リョウ 香 の パロ

ガラスの仮面、シティ-ハンタ-(RK専門)のパロ 小説
・・・時代考証はゼロ

原作等とは一切関係ございません

伝言ゲーム

2017-04-03 14:50:51 | シティーハンター

夕方の新宿の歌舞伎町、ゴールデン街、つけの支払いに追われる香の姿に、情報屋のテツは溜息をついてみている。

“まったく、あんなに可愛くて一生懸命な香ちゃんの事、獠ちゃんどうするつもりかねえ”

香が獠と暮らし始めて6年以上たつが、男兄弟みたいなじゃれあいばかりで。香が獠を好きなのは明白なのに、獠は香をそばにおくくせに香の気持ちに
答える気があるのか、どうにも皆わからない。

新宿の香と獠をしる面々の一番の関心事は、アベノミクスの好景気で自分達のバーやらスナックやら、ほにゃらら(♡)やらが繁盛する事より、新宿の
種馬と初心な女の恋の行く末だ。

とはいえ、ここ数年、獠の女遊びは随分変わって。ねこまんまでミックと競いあって酒を飲んで、裸踊りは相変わらずだけど、一夜限りの“女”を買って寝るような事は無くなった。

まあ、あんな可愛い相棒がいたら当然だろうけど。
   
香はずっと相変わらずで。獠の言いつけを守って飾らず、デニムのスカートやらジーンズやらで身を包み、足元はスニーカーかシンプルなローヒールのパンプス。化粧に至ってはルージュを引いた香はめったにお目にかかれない。ローマンやトラップ道具を入れた愛用のカバンはしゃれっ気もないし、新宿駅東口の伝言板で盛大な溜息をついてはトボトボ帰る姿は風物詩だ。


それでも・・・。

細見の長身に、形の良いふくよかなバスト、両手で包めそうな細い腰、抜群のバランスを誇るヒップライン。
日本人離れした長い手足、色白の整った小顔。

元々姿勢がよく、軽やかにあるく姿は、人目ををひく美しさだ。おまけに、さすがに香も年頃で・・・。大人の女性の柔らかい春のような雰囲気をまとって、今や新宿のマドンナである。

いつのまにか、テツの隣でタバコをくゆらせていたエレクトラのママは、同じく香を遠巻きにながめつつつぶやく。

“ねえ、てっちゃん。獠ちゃん、あーんなに可愛い香ちゃん、よく男扱い続けられるわよね”

確かに獠の

“香は女じゃねーっつの。”

発言は無理があって。聞いているとどうにも白々しい。大体、肩に力が入りすぎだ。言っている事が本音なら普通に話せばいいののに。いちいち一生懸命で全力で女としての香を否定する。

“・・・なんとかしてやんなよ。ママ。獠ちゃん、夕べ(・・・つーか、朝までか・・・)もあんたの店で騒いでたろ。”

でも、なんとかなるんなら、テツもエレクトラのママもこんな会話していないわけで。

少し奥まった路地の地下から香が出てきたのを二人は認めた。ショットバーのつけを支払ってきたんだろう。

多分、帰りにスーパーに寄って割引の生鮮品買って(冴羽商事の経済状態は相変わらず切迫している。ただし、香の認識の範疇の話で。家計費はXYZ頼みだけど、獠に直接入るもろもろの報酬は香にしらされていない。) 

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地下一階のショットバーでつけの支払いを終え、地上に戻った香は溜息をつく。

--いったい、あたし何やってんだろ--

依頼が入っているときは任務遂行で充実するけど、一か月以上続く依頼日照りは香に余計なことを考える時間を与える。

--あたし26歳よね。世間の女の子はアフターファイブとか、合コンとか。楽しそうだけど。どうしよう!このまま30歳になったら!--

テツとエレクトラのママに観察されているのも気づかず、香は溜息ついたり青ざめたり一人で忙しそうだ。
でも、そろそろサラリーマンの帰宅ラッシュ。テツもあきらめ顔で、靴磨きの本業に戻ろうと自分のテリトリーに戻ろうとするが・・・

“!!ちょっと!!てっちゃん!!”

ママが驚愕の声を出している。視線の先を見ると、香がショットバーの入り口で同じ歳位の長身のイケメンと夕闇の中、顔を近づけて見つめあい(ママとテツにはそう見える)、更に二人で寄り添うように歓楽街の奥に歩いていったのだ。しかもその先はラブホ街で。

相手の男はどうみても水商売ではない。カジュアルな着方をしているが一目に上物と分かるスーツを着こなし、左手はちゃっかり香の腰に添えられている。大きなカバンを肩にかけ、重そうにするでもなく飄々とした風情だ。そして、長身でかなりイケメン。

“ママ~、おはようございまあす。今夜も宜しくお願いしまあっす♪”
 
エレクトラのベテラン従業員ヨウコ(もちろん男なのだが・・・)が真っ赤なドレスを着て、ひげの剃り跡がうっすら青く残る顔にこれまた真っ赤なルージュをべっとり引いて出勤してきた。ヨウコは店には入らずママの傍へ寄る。

“あらあ、ねええ、ママあ。さっき向こうにいったカップルって香ちゃんじゃない?”

ヨウコは芸能レポーターのような才能があり、一瞬で今夜の“ネタ”を発見する。

“ねえ、ヨウコちゃん、香ちゃんと一緒の男、しってるう?”

テツは靴磨きどころでなくなり、ママをヨウコの会話に耳を澄ます。

“もっちろーん♪あの男の子最近売れっ子のフォトグラファーよお。なんかあ、雑誌にかいててえ。”

あまったるいヨウコの口調に、--早く話せ!--とテツは内心思うが、こんな特ダネ逃せないから辛抱している。

やっとヨウコが言うには、あの男は新宿出身でNY在住のフォトグラファー。29歳と若いながらその才能が米国で認められ、今はオリンピック前の東京で風景を撮影する仕事の為しばらく東京に滞在しているそう。わざわざ雑誌に載っているのは、イケメンだから♡ってことらしい。

テツはさっきの香以上に青ざめる。

--獠ちゃん!大変だ!--

香があの手のインテリ男に弱いのは良く知っている。愛している男は獠一人ってのも知っているけど、あんないい男と肩をよせあうなんて尋常じゃない。

--早く獠ちゃんに連絡しねえと!!--

万一香がフォトなんとかとくっついて、獠がふられれば、この新宿は・・・!!壊滅する!!
そんな事態になれば、ブラックアーミーの騒ぎどころじゃない。なんたって、いつも新宿を守る人間が、大量破壊兵器になるのだ。
   
テツは足をもつれさせながら公衆電話に向かっていった。国家の一大事である。
しかし、冴羽商事の電話は非情にもコールだけで。香がうっかり留守電モードへの切り替えをわすれていたのだ。まあ、依頼がなく少し気が緩んでいたのだが。残念にも、獠に連絡がつくことはなかった。

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『美樹ちゅわあん。獠ちゃんが夜のお誘いに来ましたよ~♪』
テツの焦りも知らず、獠はいつものようにおちゃらけてキャッツに入っていった。

客のいないキャッツに蟹股で登場する獠は、とても世界NO1スイーパーとは思えない。海坊主は毎度バカバカしい演出で来店する男を直立不動で迎えた。本当にバカバカしくて下品なセリフにコメントする気もおきない。
手には白い皿とナプキン。美樹の不在が退屈で店中の皿を磨き終えた所だ。今日は香は来店していない


『ふん!美樹は“仕事”だ。』

『なあんだ、獠ちゃんつまんない。』

『・・・なあ、獠。おまえ、香をどうするんだ。』

海坊主は普段、他人のプライベートに口を出す事はないが、香は彼が心血注いでトラップを伝授した一番弟子。美樹がいると面白がるのでこの件には触れないが、今日は店に自分と獠しかいない。サイフォンからコーヒーを移し替え、目の前の不器用な男に前に提供する。

『どうって。なーんもないけど?』
真面目ともふざけているともとれ獠の口調。少しより目でカップを覗きながら熱いコーヒーに口をつけている。

元々この手の会話は海坊主の不得意なので、会話はこれっきだ。

すると、まるで催促でもするようにキャッツ店内の電話が鳴った。

『・・・美樹。どうした。』

相手は、外出中の美樹のようだが、なにか慌てている。“落ち着け”と美樹をいなす海坊主の声を聴きながら、その様子にパイソンの必要性がない事を悟り、のんきにコーヒーをグビリと飲み干した。

『・・・なに?!』

海坊主の反応に、獠はチラリと奴の表情をうかがった。冷や汗が出ているのに、なぜか顔が赤い。
  
--なんだあ?--
 
いつも冷静な海坊主の尋常じゃない様子に、さすがに獠も気になる。

受話器をおいた海坊主が獠の前に戻ってきた。何か、よそよそしい。

『海ちゃん、どうしたのお?』
獠は右手の人差しと中指に挟んだタバコに口に寄せ、軽く吸い込みながら火をつけた。

  
『・・・獠。』

『あーん?』軽く握った左手に顔ののせて頬杖したまま獠答えた。

『香が。』海坊主は横を向いて話し出した。とても獠の顔を見て話せる内容ではない。

『・・・あん?』このタイミングで香が出ると思わず、少し獠の眉間に皺が寄る。

『香が、男とラブホテルに入ったそうだ。・・・獠?!』

 ♪カラン・・・♪

 海坊主が正面を向いた時、既に獠はいなくて。火が付いたままのタバコがカウンターに転がっていた。

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 『香!!!』

 冴羽アパートに100M走の世界記録を更新しながら帰ってみれば、暗くなりかけたリビングにも、この時間なら獠の為に晩御飯を作っているはずのキッチンにも香はいなくて。大体、香がラブホテルに入ったならせめて探すのは新宿のラブホからのはずだが、獠は気が動転しているので家に帰っきてしまって。さらには涙目で途方に暮れている。

獠の見事な疾走(喫茶キャッツ⇒冴羽アポートの間)は、新宿の住人や、尋常じゃない慌てかたでアパートに入っていくのを向かいから見ていたミックらの冷やかしの種になるのだが、今、獠そんなことどうでもいい。

そのまま情報屋や親友の絵里子に連絡を入れまくる。恥も外聞もあったもんじゃない。

『はい、絵梨子です。・・・あら。冴羽さんから電話なんてよほど困りごとかしら?香いないの?』

--この人、実は知ってて言ってるんじゃねえの?!--

と獠は勘ぐりたくなるが今は下手にでるしかない。香に万が一にも“男”がいるとしたら、おまけに美樹も知らなかったとなれば、きっと知っているのは絵梨子くらいのはずだ。

獠の目は血走っているが、もちろん絵梨子にはそんな獠の姿は見えていないので。痴話げんかの延長位に構えている。

『冴羽さん?』獠が沈黙していて、絵梨子から呼びかけるが、受話器の向こうでは、--フー!!--と溜息なのか猫がおこった鳴き声なのか変な音が聞こえる。

『・・・絵梨子さん・・・。』いつものお調子ものの獠の声ではない。おまけに小声でききとりづらい。

絵梨子はしどろもどろな話し方は嫌いだが、親友の香の想い人なので少し我慢して耳を傾ける。

『・・・あの、さ・・・』さっきよりも声が小さい。絵梨子は仕方なく耳を受話器に強くあてた。獠はいったいなんだというのだ。


『あの、さ、香、に、さ・・・』獠の声がかろうじて聞こえるが、絵梨子はさすがにイライラしてきた。

『もうっ!なあに、冴羽さん。香がどうしったていうのよ?!わたし、今から会議なんだけど?!』もう時刻は18:00回っているけど絵梨子の事務所は次のショーに向けてまだまだ仕事中だ。今だってミーティングの会議室で、--緊急だから--と受付から転送された獠からの電話を受けているのだ。

この人に電話を切られたら、今の獠は絶対絶命である。まさにXYZなのだ。この絵梨子ほど香の恋愛情報に詳しい人間は他にない。意を決し、獠は恐る恐る口を割る。

『香、男できた?』

何かが絵梨子になかで切れた。この後に及んで何を言うのだ。本当はスイーパーのアシスタント(やってる事はほとんど主婦業だけど・・・)などではなく、香にはエリ・キタハラの専属モデルをしてほしいのである。それを、香に意志を尊重して我慢しているのを。・・・それも、香がずっと冴羽だけを見て愛しているのをよく知っていからで。

『ふざけないで!何言っているのよ!!』ガチャン(怒)

怒り狂った絵梨子に電話を切られ、獠は真っ青になっている。親友の絵梨子が知らないなら、さっきのラブホの話は

--ちょと違うんじゃない?--

と普段の獠なら気が付く。でも。この件は美樹の証言がついているのだ。美樹だって裏の人間として情報の正確さを持つ事は獠の知るところだ。
しかも、今回は。獠がてんぱってていつもの計算ができない。

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その頃、美樹は愛車のランクルを猛スピードでキャッツに向かって走らせていた。

今日、美樹はエレクトラの傍のバーで、と言っても本業は武器弾薬の販売業者の店で必要な物資を調達していたのだが。海坊主の視力が低下してから専ら美樹がこの店に赴いている。

後でキャッツに配送されるよう手配を済ませた美樹は、ゲイバー・エレクトラの従業員ヨウコとばったり出くわした。実はヨウコは元傭兵で海坊主の昔なじみなので、美樹も知らない仲ではない。ヨウコは店の開店前に空き時間に界隈をブラブラしながら怪しい変化はないがさり気なくチェックしている。自称;香護衛隊、だそうで。


“あっら、美樹ちゃん♪”なにかヨウコはニヤニヤしている。ヨウコは香が大好きで100%香の味方なので、いつまでもつれない態度をとる獠にイライラしている点では、美樹と同類だ。でも、美樹はヨウコの真っ赤なルージュがちょっと苦手で。右足が心なしか後ずさる。

“あ・・・あはっヨウコさん(汗)”ちょっとひきつりつつ笑顔で美樹は挨拶する。なんたって愛するファルコンの昔馴染みだ。たとえ、昔の面影はなくても・・・。無碍にできない。

“ねえ、美樹ちゃん、しってっるう?香ちゃん♡”ヨウコはとてもうれしそうだ。獠よりもさっきの男のほうが香を幸せにしそうだと思っている。

“香さん?多分今日はキャッツにも来ていないわ。”今日は美樹が仕入でいないので香はキャッツにこないはずである。

“うふふ♡香ちゃん、すっごいいい男と見つめあって、肩寄せあってね♡”

--え?--と美樹は思う。このヨウコの話方は、話は獠以外の男の事だろう。

そして、ヨウコはさらに妖艶にほほ笑むと続けた。

“二人でラブホに向かっていったみたあい♡♡♡”

--!!香さん、ダメ!!!--

美樹は香が獠一筋なのをよく知っている。でも恐らくヨウコの情報に間違いはない。元々傭兵時代には通信隊に所属していた男(今はオカマだけど)の言及だ。
兎にも角にも、美樹は彼女が世界一信頼する夫に一報を入れる事にする。少し離れた場所に止めてあるランクルに全速力で走りなら頭の中は香のラブホ問題でいっぱいで。乗り込んででも阻止するべきと思うが、肝心のホテルがわからない。ここは、ファルコンの情報屋を使うのが恐らく正しい。

ヨウコは--向かったみたい♡--と、ホテルに入っていった事を断定したわけじゃないけど、美樹の頭の中は香の恐らく本人も願っていない情事を阻止する事しか考えられない。

ランクルを超特急で走らせキャッツに向かいながら電話をかけた。

“ファルコン!!どうしたらいいの!!”半べその美樹の声に海坊主はまず落ち着けと声をかける。甘えた美樹の声から血なまぐさい案件でない事は既に汲み取っていた。


ランクルのスピードがどんどん上昇していく。カーブに至ってはドリフト走行で。
“香さんが、男とホテルに!きっと、エレクトラの奥のラブホ街よっ”
タイヤが♪キュキュキュキュッ♪とドリフト走行で悲鳴をあげる。美樹の口調も超早口だ。

戦闘の場所では獠やファルコンも顔負けの冷静な女コマンドーの美樹だが、如何せん戦場育ちでちょっとこの手の事は思考回路が微妙に狂う事がある。その点、バリバリのワーキングウーマンの絵里子は冷静で、香が冴羽以外の男と関係を持つわけがない事は察している。

--きっとファルコンがホテルを探し出すはず。とりあえず、キャッツに戻って、現場抑えるなら何の武器??--

目まぐるしく考える美樹は、情事を止めるための武器なんかないのに装備について必死で考えている。でもやっぱり思いつかなくて。

--サスマタかしら??--

サスマタは丈が2M以上あるので、折り畳み式を持っていこうと美樹も冴羽並みにテンパった頭で作戦をたてつつ。

だけどヨウコの目撃情報からもう一時間近くたっている。事なんかもう済んじゃって、いわゆる♡休憩♡ってやつでホテルにいないかもしれない。
獠が絵梨子に電話を切られた頃、美樹はキャッツについた。
今日の美樹の運転ならパリダカールにも優勝できそうである。

♪カラン♪

“ファルコン!冴羽さんは?!”
血相を変えて入ってきた美樹を、ファルコンはなだめるように正面から両肩を抱き言葉を紡いだ。

“なあ、美樹。本当に香は男とホテルに入ったのか?”

よくよく思えば、海坊主だって香が獠以外の男と情事にふけるなんて考えられない。そもそも、美樹はホテルに入っていくのを見ていないから海坊主に香探索の協力を申しでたのだ。

愛する世界で一番信頼する男に諭され、美樹は急速に冷静になっていく。なぜ、自分は香がホテルにいったと思ったのか。

--“二人でラブホに向かっていったみたあい♡♡♡”--

そうなのだ。オカマのヨウコだって香と男がホテルに入ったのを見たわけじゃなくて。それに、ヨウコだって香が獠以外の男と関係を持つとは思っておらず。同じ香を思うもの同志、美樹とちょっと盛り上がろうと話を振ったのにすぎないのだ。なのに、美樹は話途中で帰ってきてしまった。

だんだん青ざめていく美樹の様子を感じながら海坊主は確信し、そして獠にこころの中で詫びる。

--スマン!獠!美樹の勘違いだ。許せ。!!--

その頃、冴羽アパートではミックが体を張って獠が暴挙に出そうなのを必死でなだめすかしている。

“離しやがれ、ミック!!(怒)”

寄せられた情報屋の情報によると、香はエレクトラ周辺で目撃されている。今の獠は全部のホテルの個室にズカズカ入りかねない勢いで。

“OH!リョウ!ボクは香が簡単に男とベッドインなんてしないと思うよ!”

少し前に海坊主から獠の暴動を阻止するよう連絡があってきてみれば、獠は血走った目でありとあらゆる情報屋に電話をかけまくっていた。
ただ、あいにくテツとママは外で立つ話中で電話に出られず、ヨウコは美樹と話中でこれまた電話にでられず。

その頃、香は上機嫌で冴羽アパートの階段を軽やかに上がっていた。手には買い物袋を持っている。

今日は高校の先輩とばったり会って、ニッチな東京を撮影したいうので獠経由で耳に聞いていた昭和の雰囲気が漂うデート喫茶などラブホ街近辺を案内していた。お礼は、彼が撮影したその写真集が完成したら送ってくれるという。

おまけに立ち寄ったスーパーで合いびき肉が超特売価格で。1㌔グラムも買い込んで。ハンバーグやミートローフにしようと目論んだ。獠が好物をがつがつ食べる様を予想しながらご機嫌だ。30歳まで獠との関係が進展しなくて今のまま変わらなかったらどうしようと悩んでいた事は今のところ綺麗さっぱり忘れている。

今、冴羽アパートのリビングでは二人の大男がとっくみあいになっている。5分後には仲よく“破廉恥”とかかれた100tハンマーを受け、2つの簀巻きがベランダからぶら下がる事になるのだが。おまけに、ミックは全然悪くないのに、ただのとばっちりで。

駆けつけたファルコンと美樹がそれをみて多いに獠と香に謝罪するのだが・・・。香は恥ずかしすぎて怒りが収まらず。キャッツの店主たちは身の危険を感じ早々に帰っていった。ミックは実は当事者でもないので、こっそり簀巻きから逃げると、獠にウインクした。

“リョウ、グッドラック♡”

それから1週間、獠と香の姿を見た者はいない。
アパートにこもりっきりらしくて。

必要以上に仲良くしてるのか、ケンカしてるのか分らないけど。
新宿のマドンナの幸せを、新宿の住民達は本当に心からいつだって願っている。
 
    
ジャンル:
小説
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