もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

モルディブの中国化を懸念

2018年02月23日 | 中国

 モルディブ共和国の政情不安が注目されて久しい。

 政情不安の原因は、地下資源にのみ依存しているアフリカの途上国と同じく中国の政経両輪の協調による侵略によるものである。憲法を改正してまで親中政策を採る現政権に対して、親インド系の野党が「中国の土地収奪」を激しく対立しているもので既に17の島嶼が中国の支配下に置かれている主張している。地勢的にモルディブはインド洋の制海権の帰趨を決定する位置にあり、インドを南から牽制するためには中国にとって核心的な位置にある。港湾建設に有償の元を貸し付け、返済不能に陥らせた挙句に99年間の優先使用権(実質的な租借)を獲得したスリランカのハンバントタ港に次ぐ二匹目の泥鰌を中国は狙っているものと思われる。中国がモルディブを獲得してインド洋の制海権を握ることの危険性について、インドが神経を尖らせている現状は報道・解説されるが、インド以上に日本の脅威であることはあまり報道されない。マラッカ海峡に紛争が起こった場合における「シーレーン」防衛の必要性が取り沙汰された一時期に比べ、関心の度合いは低いようである。マラッカ海峡の紛争時には、インドネシアのロンボク海峡航行という迂回路選択の余地があったが、モルディブに中国の軍港が築かれた場合における中東オイル輸送の代替航路は、パナマ運河やマゼラン海峡を経由する西廻り航路しか無くなり、日本経済は壊滅的な打撃を受けることとなる。また、使用済み核燃料の再処理をフランスに依存し、インド洋経由で海上輸送していることを考えれば、原発燃料の確保にも影響するかも知れない。アメリカ海軍も太平洋はハワイ・グアムで、大西洋はNATOとスペインのロタで、中東海域に対してはディエゴガルシアでと、それぞれ攻撃・防衛の戦略拠点を有しているが、インド洋については自国への脅威の度合いが低いためにやや手薄であると思う。中国がモルディブへ触手を動かしているのは、その空白を手中にせんとする動きであり、日本はもっと注目するとともに行動を起こさなければならないと思う。

 内地にあっても北海道の松前や対馬の防衛施設周辺地域が、既に中国人の手に渡ったとの報道もある。中国は親しい隣国ではないことを、もっと理解しなければならないと思う。

 


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