銀幕大帝α

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地獄でなぜ悪い

2014年03月20日 22時37分12秒 | 邦画コメディ
2013年
日本
129分
コメディ/アクション/任侠・ヤクザ
PG12
劇場公開(2013/09/28)




監督:
園子温
『愛のむきだし』
脚本:
園子温
音楽:
園子温
主題歌:
星野源『地獄でなぜ悪い』
出演:
國村隼武藤大三
堤真一池上純
長谷川博己平田鈍
星野源橋本公次
二階堂ふみ武藤ミツコ
友近武藤しずえ



<ストーリー>
ヤクザの組長・武藤は獄中にいる妻・しずえの夢を叶えるため、娘のミツコを主演にした映画を製作することに。

世界が笑った。

-感想-

この面白さ、分かる人には分かるだろうし、分からない人にはさっぱりだろう。
前半が物凄く退屈と感じる方も居るみたいだが、これでも一応映画監督目指して、それなりの映画学校を卒業した私からすれば、あのハイテンションな映画バカ軍団に多かれ少なかれ共感出来るものがあったし、そうなんだよ!映画製作は何よりも熱い情熱が大事なんだよ!と妙に微笑を浮かべながら彼らのはしゃぎ様を見守ってしまう楽しさがああった。
映画作る者、他人から鬱陶しいと思われてこそなんだよな。
それ位のやる気と情熱かけないと良い映画なんて撮れねぇんだよ。
映画好きよりも映画を作る事が好き、映画を作ってみたいと思っている人の方こそに、この作品を観る価値があるんじゃないかと私は想う。
監督自身も自主制作映画から始めてこつこつと腕を磨き、今ようやっとここまで世界でも認められる存在になった訳で、そのこれまでの苦労以上に味わった“映画を撮る”という楽しさを知って貰いたいが為に、それを本作に思い切りぶつけたかったんだろう。

多くのギャグに関しては申し分なし。
正に園ワールドそのもの。
これら全ての笑いに白けてしまうようでは、彼が手がけた深夜ドラマ「みんな!エスパーだよ!」を観ても同等に白けてしまうはずだろうから、要はこの後半にある無茶苦茶なノリに付いていけないと言うのであれば、もうその時点で貴殿には向いていないという証拠。
観る映画を間違ってしまったと諦めて欲しい。
逆に愉快な気分になれた人は、まだ未見ならば「みんな!エスパーだよ!」(絶賛好評レンタル中)を観るべし。
まさしくあのドラマはこの映画の笑いの部分だけを一箇所に凝縮させて作り上げたギャグドラマなので、本作で笑えたら好みがピッタリと合致するはずである。

ラスト、血みどろの撮影現場からなんとか逃げ出したスタッフの一人が妄想を思い浮かべ高笑いしながら回収したフィルムと音声テープを抱えて疾走する姿が映る。
「やったぞ!これで俺は大出世だ!有名監督の仲間入りだ!!」
この高揚感たっぷりの彼の笑い顔に思わず私も可笑しさが抑えきれなくなるのだが、しかしそこで突如響き渡る

「カット!!」

という掛け声に「え?」と一瞬戸惑いを持たされてしまう。
だがこれは園監督としての「映画はあくまでも映画であって、行き着くところは人様が娯楽性を求めて作り上げた他愛も無いフィクションなんだよ」というブラックなオチなのだ。
この一風変わったオチは遡る事約14年前に韓国の鬼才キム・ギドク監督が『リアル・フィクション』という作品のラストでやっている。
あれを真似たのかリスペクトしたのかは分からないが、映画の世界に引き込ませた観客を瞬間的に現実世界に引き戻させるという意味ではかなり有能な演出。
ある意味タブーな手法かもしれないが、「な?どうよ、映画作りって楽しそうだろ?」と、含み笑みを浮かべながら園監督が観客に訊ねているかのようで、逆にまたそれが可笑しく、「この野郎」と笑いながら園監督の脇腹を小突いてみたくなる気持ちにさせられてしまうのだ。

他にも色々と書きたい事があるが、ヤクザ同士の抗争で、一つの組がスーツ姿、もう一つの組が和服姿で対峙するというのも上手く考えている。
皆がみな、同じ服装だったら誰が誰と戦っているのかが分からなくなるからだ。
服装を変える事で、きちんと二つの組を区別させ、誰でも分かる様に争いの構図を明確にしている点は大いに評価出来る。
そして中途半端に抗争を終わらせず、一人を除き全員死亡という結末にも心地良さを味合わせてくれるので、心残りが全く生まれない。

そういった意味でも園監督は観客を大いに楽しませ、すっきりとした気持ちで観終わせる演出家としての技術、脚本家としての才能、監督としての仕切り方が本当に優れているなと大いに実感する事が出来た。
新作が発表される度に楽しみにさせてくれる監督、それが今、日本の中では園監督が私の中では1番だ。
面白かった!

題名は「地獄でなぜ悪い」だが、監督から言わせれば「アホな映画撮ってなぜ悪い」なのかもしれないな(笑)。

今作の娘にしたい子役図鑑


幼少の頃のミツコちゃん。
CMの歌も頭から離れないが、振り付けのダンスもめっちゃ可愛かった。
そりゃ堤真一もあんなの観たらデヘッとした顔になるわww

今作の今の私の一推し女優二階堂ふみちゃん図鑑




演技は上手いわ、可愛いわで、思い切り私好み、超ドストライク!
あのニコッとする一瞬の表情が私的にはハートにグサッでして、繰り返し観てしまった。
胸元が開いた衣装もエロいし、そもそもふみちゃんスタイルも良いから、おじさん目がギンギンになってしまって食いつくように全身を観てしまうんだよなぁ。
いや、ほんと、好い女だよ、ふみちゃんは。
けど、幾らチュー出来るとは云え、ガラスの破片キスだけは嫌だ(笑)

で、本編でしょっちゅう流れる為に頭の中にいつまでもしつこく残る名?曲!


これは間違いなく洗脳ソングだ(爆)

評価:★★★★
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8 コメント

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Unknown (ふじき78)
2014-03-21 04:22:30
ラストのバタバタ感は好きじゃないけど、トータルで嫌いになれない映画。

「全力製薬」だったのね(笑)。それは気づかなかった。
全力歯ギシリ レッツゴー♪ (maki)
2014-03-21 09:41:09
全力製薬だったのには私も気づかなかった…

私はラストのドタバタ修羅場は好みで、そこにいきつくまでが
長くつまらないと思ってしまったほうでした
映画作りに対しての、愛とか、情熱とか、映画の中で空回りしている感じで、後半、ハセヒロがようやく主要メンバーと絡んで「なるほど」と思ったくらいで。
ラストオチなしの不安定さは、ヒロ之さんの絞殺…じゃない考察が正しいのかもしれませんね
>ふじき78さんへ (ヒロ之)
2014-03-22 21:12:04
こんばんは。
これは(も)私好みの作品でした。
園監督の初期の頃の作品を見てみようかな、とこの映画見終わった後にふと思ってしましました。
>makiさんへ (ヒロ之)
2014-03-22 21:17:08
こんばんは!

洗脳されちゃいますよね、あのCMソングは(笑)
人それぞれに感じる作品なのかもしれませんが、映画作りに対する愛というか情熱さは前半でひしひしと感じましたね~。
私も映画学校生時代、あんなテンションでカメラ回していましたから(笑)。
後半の無茶苦茶さもツボでしたが、あのオチは意表を突く意味では面白いやり方がなんじゃないかとは思います。
園監督は本当に映画作りを心から愛している人なんだなぁと思いました。
見る方へ (sakurai)
2014-03-23 11:32:31
迎合しないというか、作って何か悪いっすか、というお見事な姿勢は、さすがですね。
嫌いな人はみなけりゃいいわけで。
そうはいっても、見ちゃうといろいろと言われるわけですよね。
なかなか難しい。
あ、私は好きですが、この人の映画は、やっぱ好みは分かれちゃいます。

二階堂さん、大学も合格なされたとか。なかなかの才色ですね。
>sakuraiさんへ (ヒロ之)
2014-03-23 21:25:05
こんばんは!
思い切り園監督が撮りたいものを撮ってしまったという作品でした。
これまで園作品を見続けてきた人は、今回も結構な期待を持って観たと思いますが、内容が内容だけに好みがはっきり分かれてしまうのも仕方がないかもしれませんね。
私は大いに楽しませてもらいました。

大学合格したみたいですね!
演技も勉強も出来るなんて、素敵な女優さんですよ。
TBありがとうございます (ONE OF THE BROKEN)
2015-11-08 03:09:22
園監督の作品はどれもシリアスとギャグのギリギリのところで成立してる感じがありましたが、
今作はかなりギャグに寄った感じですね。
ただ、今作は監督の自伝的な要素も多分に含んでると思うので
これだけのドタバタブラックコメディにも関わらず
すごく哀愁があるんですよね~
もしかしたら園子温版「ニュー・シネマ・パラダイス」かも知れません(笑)
>ONE OF THE BROKENさんへ (ヒロ之)
2015-11-08 20:56:35
こんばんは!
こちらにもコメントありがとうございます。
この映画はかなりコメディ寄りの内容でしたが、それでも映画愛というものが凄く詰め込まれた作品でもありました。
映画を作るという行為がいかに楽しいかを、映画を通して観客に伝えたかったのかもしれませんし、これを観て映画監督を目指してみたいと思う人も出てくるかもしれませんよね。
一見軽そうな内容ですけど、意外と奥の深いものを感じました。

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