物理系男子が大学でラクロスを始める話。

日々ふとしたときに浮かぶ由無し事をそこはかとなく書き留める。ラクロスを愛する理系大学生のぼやき、どうかご容赦下さい。

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「夜は短し歩けよ乙女」

2017-03-21 19:35:32 | 読書録

 今日は部活がオフなので、大学の図書館でゆっくり読書をすることにしました。

 今日読んだ本は森見登美彦氏の著作の「夜は短し歩けよ乙女」。同氏はこの作品で07年に山本周五郎賞を受賞され、本屋大賞2位にも選ばれています。同作を原作としたのアニメ映画は今年の4/7に公開予定であり、さらなるヒットが期待されています。

 物語は初夏の夜の京都で始まります。京都の大学に入学したての「黒髪の乙女」は夜の京都の町へ繰り出すことにしました。そんな彼女の後ろをこっそりと追うのは彼女が所属するクラブの「先輩」である男性。彼はひそかに彼女への好意を募らせていたのです。このとある一晩から二人は一癖も二癖もある人物たちと出会い、珍事件に巻き込まれていきます。

 この作品の大きな特徴として挙げられるのは、物語が二人の視点からそれぞれ語られていくことと、その語り口の歯切れの良さだと思います。

 冒頭で、「先輩」は自らのことを「路肩の石ころ」と称して、自分は可愛らしい彼女に対して何のアプローチもできない間抜けだ、というような独白をしています。一方で、彼女は酒をこよなく愛する天真爛漫な女性として描かれています。まるで子供のまま大人になってしまったような彼女と、彼女に思いを募らせるも叶わぬ恋に四苦八苦する先輩。二人のそれぞれの物語が重層的に語られていくところがこの作品の大きな特徴ともいえます。

 私がこの作品で最も興味を持ったのは、「彼女」の独特な世界観と「先輩」の一途な思いです。例えば、大学の学園祭のワンシーン。様々な展示物が大学構内を埋め尽くす中で、彼女は「像の尻」と描かれた大きな看板を目にします。受付の女性に聞いてみれば、本物の像の尻を再現した模型を撫でる出し物だといいます。

 一見怪しいこの出し物に彼女は興味を示し、実際に像の尻を撫ででみることにしました。すると、見た目に反してザラザラチクチクした感触。彼女は像の尻から「現実の厳しさ」を知ったと話し、この出し物のアイディアを素晴らしいと思ったのです。(一方の先輩は、像の尻を見るや否や「なんじゃこりゃ、下らん」と口にして、受付の女性に毒霧をお見舞いされてしまいます。私もどちらかといえば先輩と同意見なのですが()

 この作品では、先輩は終始彼女の気持ちをつかむことに骨を折ることになります。真夏の古本市のシーンでは、先輩は「炬燵に入って煮えたぎる激辛鍋を食しながら熱々の麦茶を飲む」という苦行に巻き込まれてしまいます。彼は自分には関係ないとその苦行を早々リタイアしようとします。ところが、優勝賞品が、彼女が探し求めているある古本であると知った途端にその気持ちは変わります。

 「これを入手するということは、もはや彼女の乙女心をわが手に握ることに等しく、つまりそれは薔薇色のキャンパスライフをこの手に握ることに等しく、さらにそれは万人の羨む栄光の未来を約束されることに等しい。諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。」

として、先輩は命を懸けた鍋苦行に身を投じるのです。

 彼女の世界観には「偏見」という概念は存在しないのでしょう。ただ世界をありのままに受け止める素朴さに私は心を惹かれました。一方で、先輩が彼女のことを思うあまり苦悩する姿からは、先輩の彼女に対する愛がひしひしと伝わって、私の心をギュッと締め付けるようでした。

 鮮やかに描写される京都の街並みに紡がれるそんな恋愛ファンタジーを、今度は映画館で見てみたいと思う作品でした。

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