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大日本帝国憲法発布の勅語、と日本国憲法前文の持つ”気”の違い

2012年01月25日 23時17分06秒 | 日本人と憲法

大日本帝国憲法の告文(つげぶみ)は、神へ明治天皇が誓われたものですが、その後に、勅語が続きます。この勅語は歴史的仮名遣い及び正仮名正漢字で書かれておりますが、今回はこの勅語を私達にもすぐに理解できるように、現代仮名遣いと平仮名で書いて見ました。

 

 

大日本帝国憲法発布の勅語


朕国家の隆昌と臣民の慶福とを以て中心の欣榮(きんえい=喜びと光栄)とし、朕が祖宗に承くるの大権に依り、現在及び将来の臣民に対し此の不磨の大典を宣布す

惟(おも)うに我が祖、我が宗は我が臣民祖先の協力輔翼(ほよく=たすけること)により我が帝国を肇造(ちょうぞう=はじめてつくる)し、以て無窮に垂れたり(=永遠に後世の者に表し示した)

此れ我が神聖なる祖宗の威徳と並びに臣民の忠実勇武にして国を愛し公に殉(したが)い以て此の光輝ある国史の成跡(過去の実績)を貽(のこ)したるなり

朕我が臣民は即ち祖宗の忠良なる臣民の子孫なるを回想し其の朕が意を奉体(承って心にとめ、実行する)し朕が事を奨順(しょうじゅん=たすけしたがうこと)し、相與(とも)和衷協同(心を同じくして力を合わせる)し、益々我が帝国の光栄を中外(=国内外)に宣揚し、祖宗の偉業を永久に鞏固(きょうこ=つよくかたいこと)ならしむるの希望を同じくし、此の負擔を分つに堪うることを疑わざるなり


意訳

(私は国家の隆昌と臣民の喜び幸せとを以て、一番の喜びと光栄とし、私が歴代の先祖から受け継いだ大権によって、現在及び将来の臣民に対してこの不磨の大典を宣布します。

思うに我が歴代の祖先は、わが臣民の祖先の協力と助けによって、我が帝国を創造され、永遠に後世の者に示されました。

これは私の神聖なる歴代先祖の威徳と、並びに臣民の忠実勇武によって、国を愛し公にしたがい、それによってこの光輝ある国史の実績を遺されました。

私は、我が臣民はすなわち歴代先祖の忠良なる臣民の子孫であることを思い起こしましたが、其の私の思いを承けて心に留めて私の事をよく助け従い、相共に心を同じくして力を合わせ、益々我が帝国の光栄を国内外に宣揚し、歴代先祖の偉業を永久に固く強くする希望を一緒に持ち、この責任の負担を分かち持つことに堪え得ることを疑いません。)


 

少し難しい言葉が使われてはいるものの、読めばだいたい意味がわかります。この勅語の文章に込められた、日本の国の長い歴史が持つ君民同治の国柄の美しさと、それに対する誇りとそれを受け継ぐ責任と希望が、ひしひしと伝わってくるような感じがします。


この勅語を読んだあと、現代の日本国憲法の前文を読むと、どこに日本が日本の国であるための歴史伝統に培われた日本らしさ、そして誇りが書かれてあるのかと思います。


政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受す る。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」


この部分は日本の国が今回の戦争を起こした悪玉であると決め付ける文面であり、アメリカのような人工的にできた契約国家と同じように、国民主権を宣言し、人類普遍の原理として、日本の歴史を一切否定したものです。そしてこの憲法を絶対のものとして、ほぼこれに反することを許さない、と言って、ほとんど改正を許さないような縛りをかけています。

 

さらに、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」の部分に及んでは、完全に日本民族は永久の悪玉であり、日本さえ武器を持たなければ世界は平和であるとして、平和を愛する諸国民にその安全と生存をゆだねさせる詫び証文となっています。


この憲法前文から、日本人はどんな誇りを感じることができるでしょうか。戦前までの君民同治の歴史は全て間違いだと言っているに等しい文章であり、また戦争の詫証文であり、諸国民に安全と生存をゆだねる奴隷的地位を受け入れるという証文です。

 

 

 

大日本帝国憲法では、次に上諭と呼ばれる文章があります。これは戦前、法律などを公布する時に、冒頭に付し、天皇の裁可を表示したものです。此の上諭の文章も、同様に、現代仮名遣いと平仮名で書いてみます。

 

朕祖宗の遺烈(=先人が残した功績)を承け、萬世一系の帝位を践み、朕が親愛する所の臣民は即ち朕が祖宗の恵撫滋養(=恵み愛し慈愛を持って持って養育する)したまいし所の臣民なるを念(おも)い、其の懿徳良能(いとくりょうのう=大きい立派な徳と生まれつき備わっている才能)を発達せしめむことを願い、又其の翼賛により與(とも)に倶(とも)に(=一緒にの強調)国家の進運を扶持(=たすけること)せむことを望み、乃(すなわ)ち明治十四年十月十二日の詔命を履践(りせん=実際に行うこと)し、茲(ここ)に大憲を制定し朕が率由(したがうこと)する所を示し、朕が後嗣(こうし=世継)及び臣民及び臣民の子孫たる者をして永遠に循行(じゅんこう=命令に従って行う)する所を知らしむ

国家統治の大権は朕が之を祖宗に承けて之を子孫に伝うる所なり

朕及び朕が子孫は将来此の憲法の条章に循(したが)い、之を行うことを愆(あやま)らざるべし

朕は我が臣民の権利及び財産の安全を貴重し、及び之を保護し、此の憲法及び法律の範囲に於いて其の享有を完全ならしむべきことを宣言す

帝国議会は明治二十三年を以て之を召集し議会開会の時を以て此の憲法をして有効ならしむるの期とすべし

将来若し此の憲法の或る條章を改定するの必要なる時宜を見るに至らば朕及び朕が継統の子孫は発議の権を執り之を議会に付し議会は此の憲法に定めたる要件に依り之を議決するの外、朕が子孫及び臣民は敢えて之が紛更(ふんこう=かき乱してむやみに改める)を試みることを得ざるべし

朕が在廷の大臣は朕が為に此の憲法を施行するの責めに任ずべく朕が現在及び将来の臣民は此の憲法に対し永遠に従順の義務を負うべし

御名御璽

明治二十二年二月十一日

 


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