感染症内科への道標

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腹部疾病による敗血症性ショックに対する早期エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)

2009-06-30 | 抗菌薬・関連薬剤



1994年に発売。米国においては承認が得られていないためガイドラインでの扱いは低い。グラム陰性桿菌による敗血症性ショックに対して有効性があると考えられているが、グラム陽性球菌にも有効であるとする報告がある。
通常は2時間施行。血小板数は平均20%減少する
今回、初めて国際的に認められたStudyがItalyからJAMAで発表。


Early Use of Polymyxin B Hemoperfusion in Abdominal
Septic Shock: The EUPHAS Randomized Controlled Trial

背景
2005年(shock)に小規模studyで心機能、腎機能改善を報告も死亡率改善効果無し
2007年にMeta-analysis(8つのRCT)で50%の死亡率減少効果

方法
・イタリアにおける10施設のICU
・期間:2004年12月-2007年12月
・腹部緊急手術を要する重症敗血症性、敗血症性ショック
・除外:18歳以下、妊婦、1か月以内のICUの既往、1年以内の臓器移植、DNRの患者。PMX,ヘパリンにアレルギー、24時間以内のコントロール不良の出血、白血球500以下、血小板3万以下。
・2セット施行、CVダブルルーメン。腹部手術後24時間以内に施行。
・ベースライン、48時間、72時間で評価。SOFA Scoreを施行。
・end point :MAPの変化、PaO2/FiO2の変化、臓器障害の変化、28日の死亡率。

結果
・64名対象:34名PMX, 30名通常の治療 (82名登録 18名除外)
MAP(72時間後)
・血圧76mmHg(95% CI, 72-80 mmHg)→84mmHg(95% CI, 80-88mg)(72時間後)
・Inotropic score(カテコラミンとドーパミンの使用):29.9(95% CI, 20.4-39.4)→6.8(95% CI, 2.9-10.7) (P<0.01) (通常群ではこの改善は観察されず)<br>

PaO2/FiO2 ratio
・235(95% CI 206-265)→264(95% CI 236-292) P=0.49) SOFA スコアも改善(通常群では観察されず)
28日後の死亡率
PMX群:11/34  通常群16/30
0.36 95% CI 0.16-0.80 P=0.01
→30%の死亡率改善効果

PMXの合併症:カートリッジの閉塞4例(ヘパリンが少ない)、低血圧、頻脈

制限:腹部重症敗血症に絞っている。施行医師はPMX群か否かをしっている。中間結果により早期に中止されている。

参考文献
エンドトキシン敗血症に対する長時間吸着療法の是非
山下千鶴, 高崎康史*
宇和島社会保険病院麻酔科, *市立宇和島病院麻酔科
ICUとCCU, 31(6) : 427-435, 2007.

エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の有効性のメカニズムと治療の限界
中村司
新松戸中央総合病院内科
ICUとCCU, 31(6) : 411-420, 2007.

PMX-DHPを施行した頚部ガス壊疽の1例
松本尚也, 山田裕彦, 鈴木泰, 塩谷信喜, 眞壁秀幸, 高橋学, 遠藤重厚
岩手医科大学医学部救急医学講座
Shock, 23(1) : 55, 2008.

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