感染症診療・感染制御の日々

感染制御を専門とする医師によるブログ。感染制御、感染症診療、内科系最新情報、臨床栄養、老年医療を紹介してます。

急性膵炎ガイドライン2010 

2009-09-30 | 消化器・肝・胆・膵

2007年に第2版が出版後、2年を経て急性膵炎重症度基準2008の作成に伴い改定。日本腹部救急学会を主体に各関連学会の協力により作成されている。作成手法は全てガイドライン策定基準に基づいて作成されており前回と同様良質なガイドラインである。金原出版より3360円にて販売。 

Panceatitis Bundle チェックシート
急性膵炎診断時、⊃巴任ら24時間以内、及び、24-48時間の各々の時間帯で、厚生労働省重症度判定基準を用いて重症度を繰り返し評価する。
重症急性膵炎では、診断後3時間以内に、適切な施設へ搬送を検討する。 
急性膵炎では、診断後3時間以内に、病歴、血液検査、画像検査などを用いて、膵炎の成因を鑑別する。
胆石性膵炎の内、胆管炎合併例、黄疸の出現または増悪などの胆道通過障害の遷延を疑う症例には、早期のERCP+ESの施行を検討する。
重症急性膵炎の治療を行う施設では、造影可能な重症膵炎症例では、初療後3時間以内に、造影CTを行い、膵不染域や病変の広がり等を検討し、造影CT Gradeによる重症度判定を行う。
急性膵炎では発症後48時間以内は、十分な輸液とモニタリングを行い、平均血圧:拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3:65mmHg以上、尿量0.5ml/kg/hr以上を維持する。
急性膵炎では疼痛のコントロールを行う。
重症急性膵炎では24時間以内に広域スペクトラムの抗菌薬を予防的に投与する。
重症急性膵炎では、重症膵炎と診断後可及的速やかに(2日以内に)公費負担の申請書類を患者の代諾者に渡す。
胆石性膵炎では胆嚢結石を有する場合には、膵炎沈静後、胆嚢摘出術を行う。



CQ1 日本における急性膵炎の発生頻度はどれくらいか?
日本での発生頻度は27.7/10万人/年であり、男性の発生頻度は女性の2倍である。 

CQ2 急性膵炎の成因には、どのようなものがあるか?
日本ではアルコールと胆石が急性膵炎の2大成因であり、男性ではアルコール性膵炎が多く、女性では胆石性膵炎が多い。アルコール性膵炎と胆石性膵炎が急性膵炎全体に占める割合は国や地域により大きく異なる。 

CQ3飲酒による急性膵炎発症のリスクは、どれくらいか?
1日に60g/日以上のアルコールを消費する高リスク群における急性膵炎の発生頻度は80-90/10万人/年であり、この高リスク群がアルコール性急性膵炎を発症するリスクは、25年間あたり2-3%である。アルコール性膵炎は男性で多いが、アルコール消費量を調整すると、発症リスクに性差はない。 

CQ4 胆石症による急性膵炎のリスクはどれくらいか?
胆石のある患者が急性膵炎を発症する相対リスクは男性で14-35, 女性で12-35という報告がある。このリスクは胆のう摘出術により著名に減少する。 

CQ5 高脂血症による急性膵炎のリスクはどれくらいか? 
血中トリグリセリドが1000-2000mg/dlを超えると発症率が増加する。このように顕著な高脂血症により急性膵炎を発症する症例は家族性の高脂血症に多い。しかしこのような高脂血症は稀であり、急性膵炎全体に対する寄与度は明らかでない。 

CQ6 HIV/AIDSと急性膵炎発症との関係は?
近年の海外の報告では、1.3-8.0/1000人/年であり、非感染者に比べ発生頻度が高い。

CQ7 急性膵炎の再発率はどれくらいか? 
急性膵炎の再発率は成因や治療の有無により異なる。アルコール性急性膵炎の46%に再発を認め、そのうちの80%は4年以内に生じたという報告もある。胆石性膵炎では、初回時に胆石に対する処置が行われなかった場合、32-61%に再発を生じるとされている。本邦における重症急性膵炎の予後調査では、20%に再発が認められ、特にアルコール性膵炎の再発率は32%と高かった。 

CQ8 急性膵炎は慢性膵炎に移行するか?
急性膵炎後の慢性膵炎への移行率は3-15%とされている。 

CQ9 日本における急性膵炎の死亡率はどれくらいか?
日本における2003年の調査によると、死亡率は全体で2.9%、重症例では8.9%であるが、なかでも最重症の急性膵炎についてみると今でもなお30%以上の死亡率である。 

CQ10 急性膵炎の予後不良因子は? 
急性膵炎の予後は、臓器不全と膵壊死により決定される。壊死性膵炎は、急性膵炎患者の約10−20%に発生し、その死亡率は15−20%である。壊死性膵炎に臓器不全を伴う場合、死亡率は約50%になる。また急性膵炎の発症早期に臓器不全がある場合や48時間以上続く臓器不全がある場合、死亡率は70%以上と高い。 

CQ11 急性膵炎の診断基準は?
1. 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
2. 血中又は尿中に膵酵素の上昇がある。
3. 超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある。
上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する。ただし、慢性膵炎の急性増悪は急性膵炎に含める。 
膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパーゼなど)を測定することが望ましい。

CQ12 どのような臨床症状・徴候の患者に対して急性膵炎を疑うか?
急性発症の上腹部を中心とした腹痛と圧痛を認める患者では急性膵炎も鑑別に挙げる。 

CQ13 急性膵炎の診断では、どの膵酵素の測定が重要か?
急性膵炎の診断に対する血中リパーゼの測定:推奨度A
血中リパ-ゼの測定が困難な場合は、血中アミラーゼ(膵アミラーゼ)推奨度A

CQ 14 今後期待される検査は?
尿中trypsinogen-2簡易試験検査は急性膵炎の診断の迅速化に有望である。

CQ15. 急性膵炎の診断に胸腹部単純X線撮影は必要か?
急性膵炎が疑われる場合には、胸腹部単純X線撮影は必要である。推奨度A
CQ16 急性膵炎の診断に超音波検査は必要か?
急性膵炎が疑われる場合には、超音波検査は必要である。推奨度A
超音波検査は、急性膵炎が疑われるすべての症例に対して、まず最初に行われるべき検査の一つである。

CQ17 急性膵炎の診断にCTは有用か?
急性膵炎が疑われる場合には、CTは有用である。:推奨度A
(造影CTの必要性や重症度判定におけるCTの意義については[第VII章 急性膵炎の重症度診断]の項参照)

CQ18 MRIは急性膵炎の診断のどのような場合に用いられるか?
膵炎の原因となる胆道結石や出血性膵壊死の診断にはMRIはCTより有用である。推奨度B 

CQ19 急性膵炎の診断にERCRは必要か?
急性膵炎の診断そのものに対してERCPは行わない。推奨度D

CQ20 急性膵炎の診断にEUSは有用か?
発作時にEUSを施行する必要はない。なお、発作が治まった後に体外式超音波検査で総胆管結石を同定しえない場合には適応となる場合もある。推奨度C2

CQ21 急性膵炎の診療において、成因診断は必要か?
急性膵炎と診断された場合には、速やかに成因診断を行う必要がある。推奨度A

CQ22 成因診断の目的は?
成因診断の目的は、原因病態を明らかにすることにより、急性膵炎の治療方針を決定することである。原因病態の治療は、急性膵炎の鎮静化の他、急性膵炎の再発予防のためにも重要である。

CQ23 成因診断で最も重要なのは?
胆石性急性膵炎かどうかの診断は、内視鏡的乳頭処置を行うか否かなどの治療方針にも大きく関係するので、最も重要で優先すべき点である。 

CQ24 胆石性急性膵炎とは?
総胆管結石が原因となって惹起された急性膵炎である。 

CQ25 胆石性急性膵炎の診断に必要な検査は?
まず、血液検査と超音波検査を行う:推奨度A

CQ26 新しい重症度判定基準の特徴は
重症度判定基準では、9つの予後因子からなる判定基準がある。それに加え、造影CTによる造影CT Grade がある。この判定基準によると、9つの予後因子のみで重症度を判定できる特徴がある。さらに、造影CTにより造影CT Gradeを組み合わせて重症とさせるものでは、より致命率が高い事が判明している。推奨度A 

CQ27 重症度判定に用いられる予後因子はどのようなものか?
予後因子(予後因子は各1点とする)
1)Base excess≦-3mEq/L, 又はショック(収縮期血圧≦80mmHg)
2)PaO2≦60mmHg(room air)、又は呼吸不全(人工呼吸管理が必要)
3)BUN≧40mg/d L (or Cr≧2mg/d L),又は乏尿(輸液後も1日尿量が400m L以下)
4)LDH≧基準値上限の2倍
5)血小板数≦10万/mm3
6)総Ca≦7.5mg/d L
7)CRP≧15mg /d L 
8)SIRS診断基準における陽性項目数≧3
9)年齢≧70歳

SIRS診断基準項目 (1)体温38度以上又は36度以下(2)脈拍>90回/分(3)呼吸数>20回/分またはPaO2<32torr (4)白血球>12000/mm3 か<4000mm3 又は10%幼若球出現<br>

CQ28 重症度判定に用いられる造影CT Gradeは?
1 炎症の膵外進展度
前腎傍腔 0点 
結腸間膜根部 1点
腎下極以遠 2点
2 膵の造影不良域 
膵を便宜的に3つの区域(膵頭部、膵体部、膵尾部)に分け判定する。
各区域に限局している場合、又は膵の周囲のみの場合 0点 
2つの区域にかかる場合 1点
2つの区域全体を占める、又はそれ以上の場合 2点
1+2 1点以下 Grade 1 2点 Grade 2  3点以上 Grade 3

CQ29 重症度判定基準は?
予後因子が3点以上、又は造影CT Grade 2以上の場合は重症とする。

CQ30 重症度判定の必要性
急性膵炎症例に対する重症度判定は何故必要か?
重症急性膵炎はいまだ死亡率が高いので、重症例を早期に検出する目的で重症度判定は必要である。 推奨度A

CQ31 重症度判定をいつ行うべきか?
原則として診断後、直ちに重症度判定を行う。さらに入院後は経時的(特に48時間以内)に重症度判定を繰り返すことが重要である。推奨度A

CQ32 臨床徴候(臨床所見)は急性膵炎の重症度判定にどのように用いられるか?
急性膵炎の臨床徴候は多彩であるので、バイタルサイン、神経症状、腹部所見の観察が必要である。ただし、臨床徴候が軽度な重症例もあるため、他因子との複合判定が望ましい。

CQ33 重症度判定に血中アミラーゼ、リパーゼは有効か?
血中のアミラーゼ、リパーゼ値は診断に有効であるが、重症度とは相関しない。推奨度D

CQ34 重症度判定での有効な単一のマーカーは何か?
CRP:推奨度A
CRP値は広く利用されている生化学検査の中で単一のマーカーとして有効である。ただし、発症早期の値は重症度を反映しないこともある、注意が必要である。 

CQ35 肥満は急性膵炎の重症化に影響するか?
BMIで評価された極度の肥満(BMI≧30kg/m2)の場合、重症化に影響する。推奨度A
したがって、BMI測定が必要である。

CQ36 急性膵炎の治療方針決定に造影CTは有用か?
(急性膵炎の治療を行う施設では)急性膵炎の膵不染域の判定や、合併症の診断には造影CTは有用である。ただし、造影に伴う膵炎や腎機能の増悪やアレルギー反応等の可能性に留意する必要がある。 

CQ37 重症度判定にスコアリングシステムは有効か?
厚生労働省重症度判定基準などのスコアリングシステムを用いた重症度判定は有用である。推奨度A
CQ38 急性膵炎例の搬送基準は?
重症度判定基準の予後因子スコアで重症と判定された症例は集中治療を行う。あるいは適切な施設に搬送する。推奨度A
予後因子スコア3点以上:重症急性膵炎に対応可能な施設に搬送する。
初期に予後因子スコア2点以下であっても、経時的に重症度判定を行い、基準を満たせば搬送を考慮する。 

CQ39急性膵炎に対する基本的治療方針は?
1) 急性膵炎を疑った場合には、診断に基準に基づいて判定を行うと共に、血液検査や画像診断により成因を検索する。
2) 急性膵炎と診断した場合は入院治療を行うが、入室(搬送)前から呼吸・循環モニタリングと初期治療を速やかに開始する。
この場合のモニタリングとは意識状態・体温・脈拍数・血圧・尿量・呼吸数・酸素飽和濃度などのモニタリングである。
急性膵炎に対する初期治療は、絶食による膵の安静(膵外分泌刺激の回避)、十分な初期輸液、十分な除痛が基本となる。
胆石性膵炎では(第VIII章-10)に従い、診療を進める。
3) 重症度判定を行い、重症度に応じたモニタリング、治療を行う。初診時に予後因子スコア2点以下であっても後の重症化することがあり、経時的に繰り返し重症度判定を行うことが重要である。
予後因子スコア2点以下では、上記モニタリングを行い慎重に経過観察する。臨床症状が軽度で臓器不全傾向も無い場合には、一般病棟での管理が可能であり、末梢静脈路を確保し十分に輸液を行う必要がある。しかし、予後因子スコア2点以下であっても臨床症状が強く臓器不全傾向がある場合には、より厳密な呼吸・循環管理が可能な病棟で十分な輸液を行いながら注意深く経過観察する必要がある。 
重症例では、厳密な呼吸・循環管理が必要である、重症急性膵炎患者に対応可能な施設への搬送を考慮しなければならない。末梢静脈路・中心静脈路を確保すると共に、意識状態・体温・脈拍数・血圧・尿量・呼吸数・酸素飽和濃度・CVP・酸塩基平衡・電解質などをモニタリングし、呼吸・循環の維持、酸塩基平衡・電解質バランスの補正に努める必要があり、抗菌薬の予防投与を考慮する。
4) 急性膵炎の病棟は病期により異なる。重症例の発症後期には感染性合併症対策が重症なポイントとなる。
体温・白血球数・CRPの定期的モニタリングに加え、腹部超音波やCTなどの画像検査によるフォローアップが必要である。また、カテーテル感染、肺炎、尿路感染にも注意が必要である。

CQ40 急性膵炎に対する初期輸液はどのように行えばいいのか?
重症例だけでなく、予後因子2点以下の症例においても、炎症に伴う循環血漿量の低下を補うために細胞外補充液を用いて十分な初期輸液を行うべきである。推奨度A 

CQ41 経鼻胃管は急性膵炎の病態改善に有効か?
軽症に対する経鼻胃管の病態改善効果は認められていない。推奨度D

CQ42 急性膵炎に対する鎮痛の意義は?
急性膵炎の疼痛は激しく持続的であり、そのコントロールが重要である。推奨度A

CQ43 急性膵炎に対する予防的抗菌薬投与は予後を改善するか?
軽症例では感染性合併症の発生率・死亡率はいずれも低いため、予防的抗菌薬投与は必要ない。推奨度D
重症例に対する抗菌薬の予防的投与により、感染性膵合併症の発生の低下や生命予後の改善が期待できる。推奨度B
但し、軽症例でも胆管炎合併例では抗菌薬の使用を考慮する。 

CQ44 重症急性膵炎において抗菌薬選択で考慮すべきことは?
抗菌スペクトルや抗菌薬の組織移行性、投与期間を考慮することが必要である。推奨度B

CQ45 急性膵炎に対して予防的抗真菌薬投与は有効か?
重症例に対する抗真菌薬の予防的投与は深部真菌感染症の発生を低下させる可能性があるが病態改善効果は明らかでない:推奨度C2

CQ46 急性膵炎に対して蛋白分解酵素阻害薬は有効か?
重症急性膵炎に対する蛋白分解酵素阻害薬(gabexate mesilate)の大量持続点滴静注は死亡率や合併症発生率を低下させる可能がある。推奨度C1
ただの、この投与量は保険診療上認められている使用量を超えており、今後、投与量や有効性の再検討が必要である。 

CQ47 急性膵炎においてH2受容体拮抗薬投与は必要か?
H2受容体拮抗薬(cimetidine)には、急性膵炎に対する直接的な有効性は認められず、むしろ合併症発生率や疼痛の持続期間を増悪させる恐れがある。推奨度D
ただし、急性胃粘膜病変や消化管出血の合併例、もしくは合併する可能性がある症例では制酸薬の投与を考慮する。

CQ48 軽症例に中心静脈栄養は必要か?
軽症例において、早期からの中心静脈栄養による栄養管理の有効性は認められない。
推奨度D

CQ49 重症例に経腸栄養は必要か?
重症例において、早期からの経腸栄養は感染合併症の発生率を低下させ、入院期間の短縮や医療費の軽減にも役立つ 推奨度B

CQ50 経腸栄養はどのように行えばいいか?
経腸栄養チューブを透視下あるいは内視鏡誘導下に十二指腸あるいはTreitz靭帯を超えた空腸に留置して行う事が一般的である。 

CQ51 経口摂取の開始時期は?
腹痛のコントロール、血中膵酵素(リパーゼ)値などを指標として経口摂取開始を決定する。推奨度B

CQ52 重症例に対する選択的消化管除菌は重症例の感染性合併症および死亡率を低下させる根拠に乏しい。 推奨度C2

CQ53 急性膵炎に対する腹腔洗浄(peritoneal lavage)は救命率を改善させるか?
急性膵炎の救命率及び合併症発症率に対する腹腔洗浄の効果は明らかでなく、腹膜からの漏出蛋白量の増加など、有害事象の報告もある。推奨度D

CQ54 CHDFは重症急性膵炎の全身管理に有効か?
十分な初期輸液にかかわらず、循環動態が不安定で利尿の得られない症例に対しては、CHDFの導入を検討すべきである。推奨度B
重症急性膵炎発症早期のCHDFは、多臓器不全への進展を防止する可能性がある。推奨度C1

CQ55蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法は急性壊死性膵炎の治療に有用か?
発症早期の蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法は急性壊死性膵炎の死亡率および感染性膵合併症の頻度を低下させる可能性がある。推奨度C1

CQ56急性胆石性膵炎の早期のERCP/ESは施行すべきか?
急性胆石性膵炎のうち、胆管炎合併例、胆動通過障害の遷延を疑う症例には早期のERCP/ESを施行すべきである。推奨度B
上記に該当しない症例に対する早期ERCP/ES施行の有用性は否定的である。 

CQ57胆嚢結石を有する胆石性膵炎の再発予防にESのみで胆嚢を摘出しない選択は可能か?
胆嚢摘出術を選択し得ない特段の理由がなければ、ERCP+ES単独治療は勧められない。

CQ58急性胆石性膵炎に対する胆嚢摘出の適切な手術時期は?
胆石性膵炎鎮静化後、速やかに行われるべきである。推奨度B

CQ59 胆石性膵炎鎮静後の胆嚢摘出術の術式は?
腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択である。推奨度B

CQ60 腹腔鏡下胆嚢摘出術施行症例における胆動検索及び総胆管結石処置の方法は何が適切か?
現時点では術者の選択に任されるべきである。推奨度B

CQ61 感染性膵壊死はどのような場合に疑うか?
臨床症状や血液検査所見の増悪、血液細菌培養検査陽性、血中エンドトキシン陽性、CTによる膵及び膵周囲のガス像等が、感染性膵壊死を疑う間接的所見に挙げられる。 

CQ62 感染性膵壊死の確定診断に最も有用な方法は何か?
感染性膵壊死の確定診断には、FNAによる細菌学的検査が有用である。推奨度A

CQ63 壊死性膵炎の治療方針は何か?
非感染性膵壊死と感染性膵壊死では治療方針がお粉つ。

CQ64 非感染性膵壊死の治療方針は何か?
非感染性膵壊死では保存的治療が原則である。推奨度B

CQ65 感染性膵壊死の治療方針は何か?
感染性膵壊死はインターベンション治療(手術、IVR、内視鏡治療など)の適応である。推奨度B
ただし全身状態の安定している例では、抗菌薬による保存的治療で経過観察する事も可能である。推奨度C1

CQ66 壊死性膵炎に対する手術はどの時期に行うか?
壊死性膵炎に対する早期手術は推奨されない。推奨度D
手術(ネクロセクトミー)を行う場合は可能な限り後期に施行すべきである。推奨度C1

CQ67感染性膵壊死に対する適切なインターベンションは?
感染性膵壊死に対して手術を行う場合はネクロセクトミーが推奨される。推奨度A 

CQ68 ネクロセクトミー後の長期フォローアップは必要か?
ネクロセクトミーごには膵内外分泌機能や胆管・膵管狭窄等の合併症に留意した長期フォローアップが必要である。推奨度A

CQ69 膵膿瘍の管理はいかにすべきか?
膵膿瘍に対してはドレナージ治療(経皮的ドレナージ、内視鏡的ドレナージ、外科的ドレナージ)をすべきである。推奨度B

CQ70 膵膿瘍の外科的ドレナージの適応は何か?
経皮的又は内視鏡的ドレナージにより臨床所見の改善がみられない場合は、速やかに外科的ドレナージを行うべきである。推奨度B

CQ71 膵仮性嚢胞に対するインターベンションの適応は何か?
有症状、合併症併発、あるいは嚢胞径の増大を認める膵仮性嚢胞に対してはインターベンション治療を施行すべきである。推奨度A

CQ72 膵仮性嚢胞に対するインターベンション治療はどのように選択するか?
膵管との交通、消化管壁との位置関係などにより、個々の症例に応じて経皮的ドレナージ、内視鏡的ドレナージ、外科治療を選択する。推奨度A

CQ73 ERCP後膵炎の診断基準は何か?
現時点で統一された診断基準は存在しない。

CQ74 ERCP後膵炎の有効な予防法はあるか?
ERCP後膵炎高危険群に対する予防的ステント留置は有用である。推奨度B
予防的薬剤投与についてはNSAIDsが有用な可能性がある。推奨度C1
ステント留置とNSAIDsの併用に関しては十分なエビデンスがない。
ソマトスタチンのボーラス投与は有用な可能性がある。ただし、本邦ではソマトスタチンは販売されていない。

ジャンル:
ウェブログ
キーワード
超音波検査 胆嚢摘出術 アミラーゼ 蛋白分解酵素 収縮期血圧 厚生労働省 中心静脈栄養 拡張期血圧 多臓器不全 エンドトキシン
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック
« 日々 9月30日 | トップ | 静脈経腸栄養 9月号 必要エネ... »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。