感染症内科への道標

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肺炎診療ガイドライン2017

2017-06-17 | 臓器別感染症:呼吸器系
日本呼吸器学会 

総論
・肺炎球菌:成人では5-10%、小児では20-40%と高率に保菌。肺炎球菌予防に対して、PPSV23は効果が低いがカバーが広い(日本人のIPD69.6%)。PCV13は効果が高いがカバーが狭い(日本人のIPD48%)。現在、PPSV23(ニューモバックス)とPCV13(プレベナー)の両方のワクチン接種が推奨されている。

CAP診断において、重症度評価は推奨されるか?
1. CAP患者の治療に際する入院要否の判定および治療方針の決定においてA-DROP方式による重症度評価を推奨する。(強い)

CAP診断において、問診、身体診察と胸部X線画像で診断した肺炎に胸部CTを施行することは推奨されるか。
1. 胸部X線検査所見を基にCAPが疑われる患者に対してルーチンにCT検査を行わないことを弱く推奨する。(弱い)

CAP患者において、CRP測定を行うことは推奨されるか。
1. 肺炎診断が未確定な軽症下気道感染患者には、CRP測定結果を基準にした抗菌薬投与(もしくは、治療)を行うことを弱く推奨する。
プロカルシトニンは採用されず。

重症CAP患者の原因菌診断において、血液培養を施行することは推奨されるか。
1. 重症CAP患者の抗菌薬治療開始前に血液培養を行うことを推奨する。(強い)

「気道症状と発熱」を有する患者群において、胸部単純X線検査を全例に施行することは推奨されるか。
1. 急性気道感染症が疑われる患者にルーティーンには胸部X線検査を行わないことを弱く推奨する。

CAP診断において、尿中抗原検査を全例に施行することは推奨されるか。
1. CAP患者の診療において尿中抗原検査を全例に施行することを弱く推奨する。
(弱い)

CAPのエンピリック治療において、非定型病原体をカバーした抗菌薬の使用は推奨されるか。
1. CAPのエンピリック治療において、非定型病原体をカバーする抗菌薬治療を弱く推奨する。ただし、細菌性肺炎が疑われる場合にはβ-ラクタム系薬単独投与を考慮する。

CAPのエンピリック治療において、βラクタム系薬にマクロライド系薬を併用することは推奨されるか。
1. CAPに対するエンピリック治療として、β-ラクタム系薬にマクロライド系薬を併用しないことを弱く推奨する。ただし、重症例においてはβラクタム系薬単剤治療よりもβラクタム系薬+マクロライド系薬併用療法を行うことを弱く推奨する。

CAP治療において、抗菌薬投与に全身投与ステロイド薬を補助療法として併用することは、抗菌薬のみでの治療よりも推奨されるか。
1. CAPに対して、抗菌薬治療に全身投与ステロイド薬を併用しないことを弱く推奨する。ただし、重症CAPに対しては全身投与ステロイド薬を併用することを弱く推奨する。

CAP治療において、細菌培養検査の結果に基づく抗菌薬のde-escalationは推奨されるか。
1. CAPに対して、細菌培養検査結果に基づき、抗菌薬治療をde-escalationすることを弱く推奨する。

CAP治療において、症状・検査所見の改善に伴い、注射用抗菌薬から内服抗菌薬への切り替え(スイッチ療法)は推奨されるか。
1. CAPに対して、症状・検査所見の改善が得られれば、注射用抗菌薬から適切な内服抗菌薬への切り替え(スイッチ療法)を行うことを推奨する。(強い)

CAP治療の機関について、1週間以内の比較的短期間の抗菌薬投与は推奨されるか。
1. CAPの軽症~中等症例においては、初期治療が奏功していえる場合には、1週間以内の比較的短期間の抗菌薬投与を弱く推奨する。

HAP/NHCAP診断において、重症度評価は推奨されるか。
1. HAPでは、I-ROADで重症度評価することを弱く推奨する。
2. NHCAPでは、A-DROP, CURB-65, PSIのいずれかで重症度評価をすることを弱く推奨する。

HAP/NHCAP診断においてCRP測定は推奨されるか。
1. HAP/NHCAPの診断において、CRPの推移(3-5日目におけるCRPの定価)は生命予後を予測する因子として、科学的根拠に乏しいが、測定することを弱く推奨する。

NHCAPおよびCAP患者において、誤嚥のリスク因子を評価することは推奨されるか。
1. 実施することを弱く推奨する。

HAP及びNHCAP患者において、耐性菌のリスク因子評価を行うことは推奨されるか。
1. HAPおよびNHCAP患者において、耐性菌のリスク因子評価を行うことを弱く推奨する。

NHCAP外来患者のエンピリック治療において、ニューキノロン系薬を用いることは推奨されるか。
1. NHCAP外来患者のエンピリック治療において、レスピラトリーキノロンを治療薬の1つとすることを弱く推奨する。ただし、副作用、耐性化の可能性、および肺結核との鑑別を考慮することが必要である。

HAP/NHCAP治療において、de-escalationは推奨されるか。
1. HAP/NHCAPの治療において、de-escalation治療を行うことを弱く推奨する。

HAP/NHCAP治療において、耐性菌感染が疑われる場合、多剤耐性菌をカバーする初期治療は推奨されるか。
1. 耐性菌が疑われる場合、多剤耐性菌をカバーする初期治療を弱く推奨する。ただし、NHCAP、HAPの患者で、疾患末期や老衰などの不可逆的な死の過程にある終末期の患者に対しては、個人の意思を十分に確認し、医療チームとしてQOLを優先した抗菌薬投与の有無および種類の選択を決定する。

HAP/NHCAP治療において、1週間以内の比較的短期間の治療期間は推奨されるか。
1. HAP/NHCAP治療において、1週間以内の比較的短期間の治療期間を弱く推奨する。ただし、ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌では再燃のリスクがある。

Non-HIV患者のニューモシスチス肺炎治療において、ステロイド薬投与は推奨されるか。
1. Non-HIV患者のニューモシスチス肺炎に対するステロイド薬投与を弱く推奨する。

高齢者の肺炎予防において、肺炎球菌ワクチンは推奨されるか。
1. 高齢者の肺炎予防に対して、肺炎球菌ワクチンの接種を推奨する。(強い)

高齢者の肺炎予防において、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用接種は推奨されるか。
1. 高齢者の肺炎予防に対して、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用接種を推奨する。(強い)

成人のインフルエンザ関連肺炎の予防において、早期(2日以内)抗インフルエンザ薬投与は推奨されるか。
1. 成人のインフルエンザ関連肺炎の予防に対して、早期(2日以内)抗インフルエンザ薬投与を推奨する。(強い)

肺炎予防において、口腔ケアは推奨されるか。
1. 肺炎予防に対して、口腔ケアを行うことを弱く推奨する。


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