感染症内科への道標

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アモキシシリン(サワシリン)

2010-04-25 | 抗菌薬・関連薬剤
経口Βラクタム剤の中では案外使い勝手のある安価で貴重な薬です。
以下に現在までの情報をまとめています。

日本での保険適用:250mg 1日4回まで
米国・欧州推奨量:500mg 1日3回(計1.5g) 市中肺炎1g1日3回(合計3g)2)  
薬価:14.3円(250mgカプセル) ジェネリック6.9円-8.6円 

経口吸収率:80%  食事による影響:食事無関係 半減期:1.2時間
組織移行性:胆汁移行性良好、髄液移行性13-14%、尿中排泄のため尿中へは高い濃度で移行する。眼、炎症のない髄液へは移行しない。60%が未変化体で尿中へ移行。
妊娠リスク:Category B

・静注したAMPCの薬理学的性質・作用変化はほぼABPCと同じ、英国及び欧州では静注の使用が可能。静脈注射での使用(欧州):髄膜炎2g4時間毎3)、心内膜炎100mg-200mg/kg 4-6回に分けて4) ABPCと同等に使用されている。3gABPCを1時間かけて点滴静注時した時のCmaxは血中で150μg/ml、半減期は0.98時間であった。5)
・80-90mg/kgの投与によりPRSPに対しても有効性を認めるため中耳炎の第一選択薬となる。
・EBウイルス感染症疑いの患者には皮疹を誘発する可能性があるため投与しない。
・日本での保険適用量はピロリ除菌を除き、極めて少量であるためアモキシシリン/クラブラン酸(オーグメンチン)との併用が望ましい。腎機能低下例に対するアモキシシリンの減量は薬物動態的には有用性が説明できない。

250mg単回内服時:最高血中濃度3.68μg/ml(内服2時間後) 1)

参考 Oral Penicillin, Streptococcus pneumoniae (CLSI 基準)
S : MIC ≦0.06μg/ml I: 0.12μg/ml≦MIC≦1 R: 2μg/ml≦MIC

1)サワシリンカプセル添付文書
2)Mandell LA, Wunderink RG, Anzueto A, et al: Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society consensus guidelines on the management of community-acquired pneumonia in adults. Clin Infect Dis 2007; 44:S27-S72
3)欧州細菌性髄膜炎ガイドライン European Journal of Neurology Volume 15 Issue 7, Pages 649 – 659
4)欧州感染性心内膜炎ガイドライン Guidelines on the prevention, diagnosis, and treatment of infective endocarditis
5)ビクシリン2g静注用添付文書
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