感染症内科への道標

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XDR結核に対するリネゾリド

2012-12-01 | 抗菌薬・関連薬剤
Linezolid for treatment of chronic extensively drug-resistant tuberculosis
Myungun Lee, M.D.
NEJM


リネゾリドは2000年に薬剤耐性グラム陽性菌に認可された。 
リネゾリドは細菌の50s ribosomal subunitの23S ribosomal RNA部位に結合する。
成人ではリネゾリドは600mgを1日2回投与する。 
長期投与に関するデータは限られているが、深刻な神経障害、骨髄抑制、hperlactatemiaが観察されている。これはmitochondrial protein synthesisの阻害によると考えられている。 

Linezolidは結核に対してMIC 1以下の高い感受性を示す。 
一方で臨床研究が限られているため今回調査。 

2008年12月から2011年5月まで20歳以上の成人で慢性XDR肺結核症の患者でisoniazid, rifampin, kanamycin, ofloxacin, and moxifloxacinに対して耐性又は臨床的不応性を示した患者。(過去6カ月以上の治療歴あり)
除外基準はリネゾリドでの以前の治療、anticipated surgical treatment, HIV陽性、specific baseline laboratory abnormalities, moderate-to-severe peripheral or optic neuropathy, 禁忌薬に対する治療の必要性。

Phase 2a randomized two group study(National Masan Hospital, National Medial Center)
リネゾリド600mg /day (add on);immediately又は2month dalayの2群に分類
糖尿病に関連した状態に応じてpermuted-block randomization
自然軽快などで説明できるリネゾリド以外の効果の可能性を最小限にするため2-month dalayを用いた。全ての患者は痰培養がconversionするまで入院。Microbiology staffは治療レジメを伏せられていた。 

Primary end point: 4か月時点での痰培養のconversion
リネゾリドは2週連続培養陰性又は4カ月経過するまで内服。 
副作用の際には300mgでの再投与は可能。(after a limited drug holiday)

41名がrandomization, 21 vs 20 (2名preexisting neuropathyのため脱落) 
4か月までに19名中15名がimmediate start groupでconversion, delayed start groupでは7/20でconversion(p=0.001) (solid medium)
(Liquid mediumでは19名中12名vs 20名中11名であった。(p=0.07)筆者はliquid mediumの方が感度が高いと考えている。)
6か月時点では38名中34名でconversionを認めていた。 
38名中33名でclinically significant adverse eventsを認めた。(多くは一過性であったが、3名は永続的にリネゾリドの中止を必要とした;2名optic neuropathy and 1名 anemia)
副作用群の再投与で600mg と300mg群で分類すると88% vs 69% (p=0.03)(Cox proportional hazards analysis)、2.7倍で600mg群の方が副作用が多かった。 


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