勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。

浅野太鼓楽器店の社長ご来山

2016-11-06 22:44:01 | Weblog
午前中は法事があり、午後からはブロッコリーや菜の花の苗を植えたり如常の1日。

さて、先週4日は石川県より浅野太鼓楽器店の社長が直々にご来山なされた。数ある太鼓メーカーの中でも同店は慶長14年創業という老舗で、和太鼓のメーカーの中では知る人ぞ知るトップメーカーの1つだ。

勝福寺では先般、檀家様より8寸の胴長太鼓をご寄贈頂いたことは以前(8月13日と29日のブログ)で紹介させて頂いている。明治19年(1886年)に新調されたこの小さな太鼓は130年歳、経年の劣化に伴う皮の張替え作業等を必要としていた。そして、太鼓屋を探している時に、備前瀬戸内呼松太鼓の打ち手でもある兄に浅野太鼓様を紹介してもらい、ご縁を頂いた。

修繕を終えた太鼓は先月10月15日に無事帰山。皮の張替えと、当時の風合いを残す手法は見事で、とても満足していた。ところが1つだけ気になるのが、要ともいうべき音。修繕前は皮が僅かに破れながらも「ドン」と響いていたものが「トン」。これは皮が新しく張り替えられたことによる自然現象なのだが、元のように低音で鳴るようになるには相当の時間を要するなと感じていた。

ふとそのことを浅野太鼓様に相談申しあげると、Gikoohの心を汲み取られ、「出来るだけ好みの音色に近づけよう」と、わざわざご来山頂くことになった。面会して直接という思いもよらぬご配慮に、Gikoohの心は鷲掴みにされた。

そしてご来山。お抹茶で一服頂いた後に、いよいよ作業開始。この度は「音下げ」という作業だ。

Gikoohは勝福寺の太鼓が秘めた可能性を極限まで引き出したいという想いがあり、作業を見守った。とても寡黙だが手慣れた手つきで、鋲を1本ずつ抜いては打ちの繰り返し、そして少しずつ低音が効くようになってきた。8寸の胴長太鼓はこれで限界というところまで音を下げて頂いた。そして、社長より、古来より太鼓は職人が作り、音色は打ち手が作るという言い伝えがあることを教わった。修繕前の低音には至らないものの、太鼓の音作りに参加させて頂いたことで、理解が深まった。これからはGikoohが魂を込めて太鼓を打ち、好みの音色にしていき、音を虹色のように輝かせたい、そう思った。

そして、勝福寺にはもう1つ、以前から使用している1尺2寸の平太鼓がある。欅製で杢目も美しく、良い音がしそうなオーラを放っているのだが、新調後15年経過しても、「カンカン」と甲高い音から殆ど変わらず、般若心経などを打つ法楽太鼓には向かなった。近年、購入店にこの太鼓の音下げを依頼し、相当な打ち込みをしてご尽力頂いたのだが、残念ながら思うような結果には至らなかった。しかし、Gikoohはこの太鼓が本来の力を発揮出来ていないことを感じていたので、複雑な思いは拭えなかった。

そこで、浅野太鼓様の社長に胸の内を相談申し上げた。「何とかしよう」と快諾、そして作業開始。社長自身自ら職人であり、その仕事の一部始終を見学させて頂いたのだが、その仕事ぶりはやはり凄く、不思議な光景だった。

その結果、本当に驚いたのだが1尺2寸の平太鼓は、Gikooh好みの「ドンドン」という低音が見事に鳴り響くようになっており、まるで別物と化していた。なんて凄い手腕なのだろうかと、ただただ驚いた。

太鼓の音色は天空に大地にも、そして人々の魂にも響く、神秘的な楽器だと思う。勝福寺では護摩供養などで法楽太鼓を打つが、ご参詣の皆様が晴れ晴れと満ちて帰られるように、この太鼓達を活用したいと思う。

どんな道でもそうだけれど、本物の世界、本物の人に出逢うことは有難い。
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